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有機酸、seeeeecun、ピコン、大沼パセリ……セルフカバーでも人気を博すボカロP

リアルサウンド

18/11/15(木) 8:00

 平成最後の年にJ-POPシーンで功成り名遂げたアーティストといえば、米津玄師だろう。「Lemon」(TBS系ドラマ『アンナチュラル』主題歌)は、2月12日の配信後にウィークリーランキング1位獲得で13冠、オリコン週間デジタルランキング(単曲)で同ランキング史上初となる累積100万DLを突破している。さらには、YouTubeミュージックビデオ再生回数が2億回を突破するなどの豪傑ぶりだ。

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 そんな米津はもともとボカロP・ハチを名乗り、ボカロシーンを出自としたボカロ出身アーティスト。2013年10月28日、YouTubeにて公開した「ドーナツホール」を2014年4月23日リリースの2ndアルバ厶『YANKEE』にセルフカバーで収録。さらに、2013年10月6日にYouTubeにて公開していた「沙上の夢喰い少女」は、2017年6月21日リリースの7thシングル『ピースサイン』に「ゆめくいしょうじょ」としてセルフカバーで収録した。また、「ドーナツホール」や「アイネクライネ」は歌い手のライブではカバーされることが多い馴染みのある楽曲となっている。

 このように、ボカロPが自作曲をセルフカバーする流れはボカロシーン全体においてもここ最近特に目立っている。そこで本稿では、自作曲をセルフカバーし、動画サイトに投稿する新進気鋭のボカロP4名を紹介したい。

■有機酸(神山羊)

 YouTubeで「quiet room」のセルフカバーが138万回の再生回数を突破するなど、いま、最も話題のボカロPの一人が有機酸だ。11月3日には今後、神山羊(かみやまよう)としても活動を行なっていくことを発表。ボカロ曲は今まで通り“有機酸”名義で公開するという。言葉を切り貼りしてできたような独特な歌詞世界とエレクトロポップなピアノサウンドが織り成す、独特な世界観が支持されている。すでにアーティストへの楽曲提供も決まっており、ずっと真夜中でいいのに。の11月14日リリースのミニアルバム『正しい偽りからの起床』の「君がいて水になる」では編曲を担当。さらにDAOKOの12月12日リリースの3rdアルバム『私的旅行』収録曲「涙は雨粒」では作曲編曲を担当し、「24h(feat.神山羊)」では、作曲・歌で参加する。今後さらなる注目を浴びることは間違いない。

■seeeeecun

 2000年代以降のUKロックの影響を色濃く受けてきたseeeeecunのサウンドはギターロックテイストであることから、使用するボーカロイドも基本的にはロック調な楽曲に適したv flowerだ。「ローファイ・タイムズ」をはじめ、不協和音を取り込んだ前衛的かつ皮肉めいた歌詞はまさしくアンダーグラウンドであり、理不尽な現代社会に疑問を持つような若者から圧倒的支持を得ている。ボカロPである一方でサラリーマンとして働く彼は今後も、沸々と煮え滾るようなシニカルな楽曲を呈するだろう。来年2月2日には高円寺Highにて、ボカロP・和田たけあき、MI8kと共に、ライブ『チュルリイタイムズ&デストロイ』を開催予定だ。

■ピコン

 ソロユニット・ボクモスケルトンとして活動するピコン。 彼の初の殿堂入りは「ガランド」。Eveなどの人気歌い手に歌われ、YouTubeでの再生回数は99万回を突破している。アンビエント風な柔らかなピアノなどのシンプルなサウンドに、物憂げな歌詞を乗せた楽曲が非常にシックだ。この楽曲構成は、実は洋楽からの影響も受けており、「ガランド」のアレンジ時には、Electric Guestの「Oh Devil」を聴いたそう(参考:ピコンTwitter)。今後、より洋楽テイストの楽曲が誕生するのか、彼なりのアレンジに注目だ。

■大沼パセリ

 11月8日には「Corruption」初音ミク歌唱ver.が100万回再生を突破した大沼パセリ。楽曲の特徴としては、ダンサンブルでEDM調にアレンジの効いたサウンドであることだ。主な使用ボーカロイドは初音ミクだったが、過激なロックテイストの楽曲を呈するようになってからは、v flowerの使用も増加。11月1日には、羽生まゐご、Misumiと共にDJとして『WEIRD』に出演した。さらに11月18日には『「memento mori」e.p.』をリリースする。ますます前進していきそうなボカロPである。

 自作曲をセルフカバーするボカロPや、カバーするのみならず作詞・作曲を手がけるようになる歌い手など、異才も存在するため、ボカロシーンは侮れない。既存のシーンに斬新なアイデアを叩き込むのが、ボカロシーンの役割になってくるのかもしれない。今後、さらなるマルチクリエイターへと覚醒するアーティストによって、音楽シーンに予想だにしないストーリーが展開されることに期待したい。(小町碧音)

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