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C・ブランシェット「異性愛者にも同性愛者を演じる権利はある」と主張 映画界の多様性を考える

リアルサウンド

18/12/2(日) 12:00

 最近のハリウッドでは同性愛者やトランスジェンダーなどのLGBTを題材とした作品が増えてきており、それに伴い、LGBTの社会運動が活発化、SNSのコミュニティーも拡大している。

参考:<a href=”http://www.realsound.jp/movie/2018/12/post-279230.html”>その他画像はこちら</a>

 記憶に新しいのが、俳優のスカーレット・ヨハンソンが映画『Rub & Tug(原題)』で1970年代のピッツバーグで犯罪王となったトランスジェンダーのダンテ・テックス・ジルを演じると発表された時だ。SNS上ではいかにトランスジェンダー俳優の活躍できる機会が少ないかと批判が勃発した。

 ヨハンソンは批判に対し、過去にトランスジェンダー役を演じた俳優たちの名前を引用し、「私じゃなくてジェフリー・タンバー、ジャレッド・レト、フェリシティ・ハフマンの代理人に聞いて」と語っていたが、SNS上で多くの批判を受けたため、2回目の声明として「トランスジェンダーのコミュティーでたくさんのことを学んだし、この映画の多様性について多くの人々が話したことを嬉しく思うわ」と述べ、役を降板することを表明した。批判に対し反感を示していたヨハンソンだが、数多くの批判に、折れる結果になったことは事実である。この出来事からいかにインターネットにおけるLGBTのコミュニティーが大きいかが垣間見える。

 この騒動に対して俳優のケイト・ブランシェットは、異性愛者の俳優が同性愛者の役を演じることを援護する発言をした。

 ローマ国際映画祭での質疑応答において、ブランシェットは「リアリティ番組などは役作りのために多くの影響を与えたと思うけど、今の米国では否定的な側面として、役に近い経験を持つ人だけが、その役と深いつながりを持てると思われている」と述べた。また、ブランシェットはそうした思い込みを超えて、自身の経験とは違った役を演じる権利を得るための努力を惜しまないと話し、同じ経験を持つ俳優のみが役を理解しているという考えを否定。なお、ブランシェットは、映画『キャロル』(2015年)でレズビアンの役を演じている。

 ここ数年トランスジェンダーを題材にした映画は増加しており、その表現方法も変化している中で、歴史的に差別されてきた背景をしっかりと描写する作品(『ダラス・バイヤーズ・クラブ』(2013年)や『リリーのすべて』(2015年)など)が増えてきたように感じられる。ブランシェットはLGBTの役を演じた経験からこのような発言をしたと考えられるが、実際にトランスジェンダーである俳優たちの意見は全く異なるようだ。

 トランスジェンダーではない異性愛者の俳優がトランスジェンダー役を演じることがほとんどで、実際にトランスジェンダーである俳優にチャンスは少ないことを、トランスジェンダーであることを公表している俳優トレース・リセットはヨハンソンの件に関連して苦言を呈している。

 リセットはハリウッドの全体を象徴する問題として「もし私がジェニファー・ローレンスとスカーレット・ヨハンソンとシスジェンダー(生まれたときに診断された身体的な性別と自分の性同一性が一致し、それに従って生きる人のことであり、トランスジェンダーを差別的に扱わないため非・トランスジェンダーを表現する言葉)役のオーディションを受けることができたらいいけど、それは起こらないことよ。めちゃくちゃだわ」と自身のTwitterで発言している。

 同じくトランスジェンダーを公表している、俳優のジェイミー・クレイトンも「トランスジェンダー俳優は絶対にトランスジェンダー役以外のオーディションは受けられないわ。これは本当の問題よ。私たちはオーディション会場にさえ入ることができない。トランスジェンダー俳優にトランスジェンダーではない役を与えるべきよ!」とTwitterで述べている。

 たしかにトム・ハンクスは映画『フィラデルフィア』(1993年)、ショーン・ペンは映画『ミルク』(2008年)、フィリップ・シーモア・ホフマンは『カポーティ』(2005年)で同性愛者役を演じアカデミー賞主演男優賞を受賞している。映画『キャロル』のケイト・ブランシェットを含め、今まで52人の異性愛者の俳優が同性愛者を演じ、アカデミー賞にノミネートされているのだ。

 LGBTに関連した作品を多く取り上げ、表向きはサポートをしているかのように見えるハリウッド業界だが、実際にトランスジェンダー俳優たちの意見を聞くと、LGBTの俳優に対する扱いはまだまだ整っていないようにも思える。それを包み隠さず表現することができるSNSはヨハンソンやトランスジェンダー俳優たちの「本音」を発言できる貴重な場所へと変化してきている。 

 同性愛者の役を異性愛者の俳優が演じることが未だに高く評価され続けていることは確かであり、LGBT俳優だけではなく、女性やマイノリティのノミネートが少ないことからもハリウッドにおける多様性への意識の低さが伺える。

 これらのことから、依然としてLGBT俳優の活躍の場が整っていないとも取れるハリウッド業界。それはトランスジェンダー俳優たちの意見、またアカデミー賞のノミネートを見れば明らかである。

 最近のハリウッドでは、今回取り上げたLGBTの社会運動の他に「#MeToo」運動など、俳優たちが声明をあげ、それがSNSの拡散によって影響力が増してきている。今回のブランシェットの発言はどう影響していくのだろうか。今後のハリウッド業界の動向に注目したい。

参照記事:
https://www.bbc.com/news/newsbeat-45926322(日本語版:https://www.bbc.com/japanese/45936956)

(文=ひろこがね)

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