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宇多田ヒカル、“プロフェッショナル”のあり方を語る「自分の聖域を守るっていうこと」

リアルサウンド

18/7/17(火) 12:40

 ドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)の7月16日放送回では、宇多田ヒカルの曲作りの舞台裏に初密着した「宇多田ヒカル スペシャル」の模様がオンエアされた。

(関連:宇多田ヒカルが語る、“二度目の初恋” 「すべての物事は始まりでもあり終わりでもある」

 宇多田ヒカルが6月27日にリリースした7thアルバム『初恋』。1月のロンドン、10カ月前から始まった同アルバムの制作は、まさに佳境を迎えていた。

 宇多田ヒカルのレコーディングは決まって、バンドの演奏から始まる。メンバーは事前に宇多田ヒカルが音楽ソフトで作ったメロディや仮の歌が入ったデモ音源を基に演奏を行う。楽曲作りにおける宇多田ヒカルの役割は、すべて。歌のメロディを作る作曲、作詞、楽器の編成、バンドやオーケストラなどの旋律やリズム、弾き方に至るまでを設計する。宇多田ヒカルは一人で作ることに長年こだわり続けてきた。

 『初恋』の収録曲「Good Night」で描いたのは、“思春期の恋心”。制作過程で宇多田ヒカルはドラムを担当したアールに「(主人公の)少年は年上の女性に恋してしまう」「サウンドに若々しさや純粋さが必要なの」「でも実際には12歳の曲は書けないから、彼が20代になって昔を思い返している曲にした。だから12歳のサウンドでなくていいけど、ほろ苦いノスタルジーが必要なの。思いきりやって」と楽曲の詳細を説明しながら、出して欲しい音やニュアンスを伝える。宇多田ヒカルが大切にするのは、“曲に込めた感情”だ。

 自身の音楽作りで貫き通す想いについて尋ねられた宇多田ヒカルは、「やれることをやっても本当に意味がないと思っているので、やってみてどうなるのかわからない、もしくはやれるかどうかわからないことをやるっていうのが、物をつくる現場なので、探検隊みたいな感じで入っていって、うっそうとしたジャングルなのか荒野なのか。冒険という意味では(ミュージシャンたちが)同じ風景を見ようとしてくれるので、そこへの行き方のルートを一緒に考えてくれるみたいな感じで、自分じゃ絶対できなかった、自分だけでは行けなかったところにも行けますね」と答え、彼女にとって、ものづくりは冒険であることを語る。

 また宇多田ヒカルは、すべての演奏を録り終えたあと、作詞に取りかかっていた。「作業部屋で(歌詞が)あと1時間ぐらいで終わらなかったら、終わっているなって思って。終わっているっていうよりも、もう無理だと思って」と話す宇多田ヒカル。歌詞が完成したのは今朝だと言い、「今回は本当、終わらないっていうか間に合わないと……」と苦戦していたことを明かす。歌詞は、幾度もの演奏を積み重ねたその先に、ようやく姿をあらわすという。「音楽が脚本で、そこにストーリーとか感情が全部入っているから、それを演技するみたいなのが歌詞と歌うこと」と宇多田ヒカルは自身の考えを述べた。

 そんな宇多田ヒカルは、どのようにして曲を生み出しているのか。新曲のレコーディング3カ月前、宇多田ヒカルは自宅で音楽制作に取りかかっていた。「自宅で誰もいない状態で一人で曲を書いたり、編曲したりというのが、私の仕事の時間的に一番長いところ」と話す宇多田ヒカル。「いろいろ弾いてみて、これと思ったらその感覚をたぐり寄せてというか、全く自分の中にないものやない場所に行くとか作るということはないんですよね。だから自分の中にあるんですけど、触れないものを取り出すみたいな。思い出そうとしていて、何かを。“いや違う、それじゃない”という感覚に一番近いです」と曲作りは宇多田ヒカルにとって、自分の中にある“何か”と向き合う孤独な作業であることを明かす。

 最後に宇多田ヒカルは、自身にとってのプロフェッショナルを尋ねられ、「正直であること。自分と向き合うっていうのは、そういうことですね。自分に嘘ついててもしょうがないけど、でも自分にいっぱい嘘つくじゃないですか。見なくていいものは見ないし。……っていうのじゃなくて、かっこ悪いことも恥ずかしいことも認めたくないことも全部含めて、自分と向き合うということなので。音楽に対して正直であることですね。自分の聖域を守るっていうことです」とコメントした。

 次回23日の放送では、「遺品と心を、整理する~遺品整理士・横尾将臣」の模様をオンエア予定だ。(文=向原康太)

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