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みきとP、2年ぶりワンマン公演で垣間見えた“シンガーソングライターとしての本質”

リアルサウンド

19/1/28(月) 16:00

 ボカロシーン発のクリエイターとして多面的な活動を展開するみきとPが、12月20日に東京・代官山 LOOPでワンマンライブ『MIKIROCK BYPASS Vol.4』を開催した。2010年にネットでの活動を開始して以来、「いーあるふぁんくらぶ」(2012年)、「サリシノハラ」(2012年)、「バレリーコ」(2014年)と数多くのボカロヒットを世に送り出してきた彼。近年はA.B.C-Zやわーすた、三森すずこなどのメジャーアーティストにも楽曲を提供し、『こみっくがーるず』『宇宙戦艦ティラミスII』といったアニメ作品の主題歌や、『第69回NHK紅白歌合戦』への出演でも話題となったミュージカル『刀剣乱舞』の楽曲制作を手掛けるなど、音楽作家としても目覚ましい活躍をしている。実に2年ぶりとなる今回のワンマンライブは、そんな彼のシンガーソングライターとしての魅力を余すことなく伝える公演となった。

 ギターを手にしたみきとP本人に加え、ギター、ベース、ドラムス、マニピュレーターというフルバンド編成で行われたこの日のライブ。ちょうど同人では6年ぶりとなるニューアルバム『DAISAN WAVE』を発表したばかりというタイミングもあり、セットリストは同作からのナンバーを中心に、新旧の人気曲を織り交ぜたものに。最新アルバムの冒頭にも置かれていたインスト曲「DAISAN GENERATION」と共にメンバーがステージに登場すると、まずは2018年の夏を爽やかに彩った「少女レイ」でライブをスタート。眩しい中にも胸を締め付けるようなセンチメントを宿したその曲調は、切な系ロックの旗手として知られるみきとPならではのものだ。

【ALBUM Teaser】みきとP新作VOCALOID ALBUM「DAISAN WAVE」2018.11.18 /mikitoP

 そこから一気にワイルドなロックへと振り切った「PLATONIC GIRL」では、ボーカロイドの歌声も同時に流され、みきとPはそれと掛け合うように歌ってみせる。ボカロと生声の違和感のないデュエットというスタイルは、彼が2018年に発表した特大ヒット「ロキ」でも追求されていたものだが、今回のライブではその成果を落とし込んだ場面も多く見られたのが特徴だったように思う。

 続いては代表曲「サリシノハラ」を皮切りに、その続編となる「ヨンジュウナナ」「アカイト」を連続で披露するレアな試みでファンを喜ばせると、これまたライブで歌われるのは珍しい「魔王の館は大騒ぎ(Satan’s Mey Cry!!)」(みきとPが歌い手のめいちゃんに提供したナンバー)をパフォーマンス。そこから初音ミク生誕10周年のタイミングで発表されたクリエイター讃歌「だいあもんど」を、ふたたびボカロの音声と共に歌唱。アイリッシュパンク調のサウンドも手伝って、会場は一気に陽気なムードに包まれる。

 この日のライブで非常に印象的だったのが、続いて歌われた「夏の半券」と「さよならはきえない」のパートだ。ひとつの恋の終わりとその喪失感を、それぞれ男性目線と女性目線で描いたこの2曲。スクリーンにはMVが映し出され、「夏の半券」では海辺の街のどこか寂し気な景色が次々と投影されるなか、みきとPのやるせない歌声とバンドの徐々にエモーショナルな熱を帯びていく演奏が胸を打つ。一方の「さよならはきえない」では、みきとPはギターの演奏に徹し、歌唱はすべて初音ミクが担当。本来感情を持つはずのないボカロの歌声は、どうしようもないほどに寂しく聴こえ、スクリーンに映る走行中の車から眺める夜の道路、メリーゴーランドやセピア色の風景が感傷的な気持ちを募らせる。映像やミラーボールなどを使った照明演出も含めて、ステージに惹き込まれてしまった。

 後半戦は最新アルバム『DAISAN WAVE』より性急なギターロック「信じる者は救われない」で始まり、バンドメンバーの紹介からソロ回しとジャムセッションに移行して盛り上げた「京都ダ菓子屋センソー」、さらにそこから間髪入れず人気曲「バレリーコ」を畳みかけ、フロアのお客さんもサビの〈ねぇ ディン・ディン・ダン♪ さあ 踊りましょう 〉という声に乗って楽しげに飛び跳ねまくる。さらに激情的なサウンドに陰りを帯びた旋律が映える「月陽-ツキアカリ-」で熱狂を生み出すと、ここでみきとPは2018年の活動についてあらためて振り返り、「とりわけ今年の注目はこの曲になるんですかね」と、同年のボカロシーンを最も騒がせた曲のひとつ「ロキ」の演奏へ。直前に開催されたイベント「YouTube FanFest 2018」でもmajikoとのコラボレーション(キズナアイ、ミライアカリがロキVerのカラーリングで映像コラボしたことも話題に)で披露していたが、ライブでこの曲をボカロとデュエットするのはこの日が初。生演奏ということも相まって、タフ&ソリッドなロックンロールがさらに熱いものとなって炸裂した。

 さらに銅鑼の音が鳴り響き、みきとPの「まさか知らないとは言わせませんよ~」という言葉で始まった「いーあるふぁんくらぶ」をお客さんと一緒に大合唱。いまやボカロシーンの枠を超えて愛されている楽曲だけに、みんな手拍子や合いの手を入れながら楽しそうに盛り上がる。そしてロック色を増したアレンジで披露された「39みゅーじっく!」では初音ミクが再度リードボーカルを取り、人気曲の連発に会場の興奮も頂点に。続くMCでみきとPは「みなさんがコメントやリプライをくれることが本当に力になってます。使い古された言葉ですけど、本当にうれしくて、『まだやれる』『まだ頑張れる』という気持ちになるんです」とファンに直接感謝の気持ちを伝え、最後の楽曲「僕は初音ミクとキスをした」へ。“初音ミク=ボカロ”で音楽を作ることへの尽きることのない情熱を切々と歌い上げるその姿に、彼の想いが滲み出ていたように思う。

 アンコールでは、まず『DAISAN WAVE』から「愛の容器」をボカロとのデュエットで披露。歌詞の内容はお互い依存しあっている男女の関係のようにも取れるが、直前のグッズ紹介の際にみきとPが自身の飼いネコの話で親バカぶりを発揮していたことから察するに、おそらく猫と飼い主の関係性について描いた楽曲なのだろう。そんなどこか温かく微笑ましいナンバーを経て、最後はリバーブたっぷりのギターサウンドが白昼夢めいた光景を描き出す「しゃったーちゃんす」で締め括り。終わってしまった青春の1ページを振り返るような、切ないけど、どこか甘やかな感触は、みきとPのアーティスト性の核にあるものなのだろう。

 クリエイターとして多彩な楽曲を生み出している彼だが、今回のライブではその本質が垣間見れたような気がした。

(写真=溝口元海)

■北野 創
音楽ライター。『bounce』編集部を経て、現在はフリーで活動しています。『bounce』『リスアニ!』『音楽ナタリー』などに寄稿。

<セットリスト>
01. DAISAN GENERATION
02. 少女レイ
03. PLATONIC GIRL
04. サリシノハラ
05. ヨンジュウナナ
06. アカイト
07. 魔王の館は大騒ぎ(Satan’s Mey Cry!!) ※めいちゃん提供曲
08. だいあもんど
09. 夏の半券
10. さよならは消えない
11. 信じる者は救われない
12. 京都ダ菓子屋センソー
13. バレリーコ
14. 月陽-ツキアカリ-
15. ロキ
16. いーあるふぁんくらぶ
17. 39みゅーじっく!
18. 僕は初音ミクとキスをした
EN1. 愛の容器
EN2. しゃったーちゃんす

■リリース情報
『DAISAN WAVE』
発売中
ロキ、少女レイ、新曲含む全15曲入りアルバム
価格:¥2,778(税別)

<CD購入情報>
アニメイトオンライン
Amazon

■配信情報
ドワンゴジェイピー
Spotify
Google Play Music
Amazon Music

ニコニコ動画

<配信コンテンツ(配信タイトル/アーティスト名)>
DAISAN GENERATION -instrumental-/みきとP
信じる者は救われない/みきとP
ロキ/みきとP
PLATONIC GIRL -VOCALOID ver.-/みきとP
だいあもんど/みきとP
NのONE/みきとP
愛の容器/みきとP
Tears River/みきとP
少女レイ -feat.みきとP-/みきとP

<配信サイト>
DL型配信サイト
国内:ドワンゴジェイピー/iTunes/Amazon/Google Play Music
国外:Amazon/Google Play Music

サブスクリプション配信サイト
国内:AppleMusic/LINEMusic/AWA/Amazon Music Unlimited
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YoutubeMusic
国外:Amazon Music Unlimited/Google Play Music/Spotify/KK BOX
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<販売価格>
単曲
ドワンゴジェイピー:216円(税込み)
その他:200円(税込み)
アルバム
Amazonのみ:1800円(税込み)

みきとP公式サイト

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