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滝沢秀明は常に“等身大”の俳優だったーー最後の主演ドラマ『孤高のメス』を機にキャリアを振り返る

リアルサウンド

19/1/25(金) 6:00

 1990年代、まだデビューしていないにもかかわらず何十人というジャニーズJr.を束ねていた滝沢秀明。華々しくデビューした後も、後輩たちを牽引する存在として活躍してきた。そんな滝沢は、2018年末をもって芸能活動を引退。ジャニー喜多川社長の意思を受け継ぎ、プロデュース業に専念するという旨のコメントを発表。12月31日には、『ジャニーズカウントダウン2018-2019 平成ラストの夢物語!ジャニーズ年越し生放送』(フジテレビ系)に出演し、「23年間めちゃくちゃ楽しかったです」と笑顔でコメントをし、芸能生活に幕を下ろした。

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 滝沢は、デビュー前の1990年代から多くのドラマに出演しており、代表作も多い。例えば、デビュー作となった『木曜の怪談』(フジテレビ系)。ジャニーズ事務所入所後すぐということもあり、決して流暢な演技ではなかったが、初々しく可愛らしい演技で視聴者の心を掴んでいた。実際、『木曜の怪談』シリーズは2年続くヒット作に成長。滝沢の名前がお茶の間に一気に広がるきっかけにもなったと言える。そして、1999年に放送された『魔女の条件』(TBS系)。松嶋菜々子とW主演を務めた同作は、女教師と男子生徒の禁断の愛を描いた作品だ。滝沢はどこか冷めている大人びた一面と、少年特有の衝動的な一面を併せ持つ黒澤光役を好演。若手ジャニーズ俳優として、ポジションを築いた。

 その後も様々な役を演じ続け、再び注目を浴びたのは2001年に放送された『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』(フジテレビ系)の頃ではないだろうか。滝沢が演じたのは、ケーキ大好きな元ボクサーの神田エイジ。怪我で引退後は見習いパティシエとなり、奮闘しながら成長していく役どころだ。滝沢は真っ直ぐで明るい青年を等身大に演じ、これまでのキャリアの積み重ねを感じることができたのではないだろうか。それから4年後の2005年には大河ドラマ『義経』(NHK総合)の主演・源義経に抜擢。俳優のキャリアとして大きな節目を迎えた。その後、滝沢は舞台に力を入れていくようになる。

 数ある舞台の中でも『滝沢歌舞伎』は、彼の集大成とも呼べる作品だ。力強く、時に美しくもある舞台演技はもちろん、徐々に演出やプロデュース業にもこだわり始めていく。同作品を観ていると、出演者一人ひとりの演技という部分よりも、舞台構成や「次は何が起きるのか」というワクワク感が印象的なのである。これこそがプロデューサー・滝沢秀明の原点となっているのだろう。

 滝沢の役者活動を振り返ってみると、演じた役たちは滝沢の等身大であったように感じる。デビュー当時の初々しさ、少し背伸びした少年らしさ、順風満帆だからこそ表現できる真っ直ぐさ・明るさ、そして裏方への興味……。役者として無理やり役を作り込むのではなく、“その時の滝沢”が役に投影されていたのかもしれない。

 そんな滝沢にとって最後の主演ドラマとなるのが、1月13日から放送スタートした『孤高のメス』(WOWOW)だ。滝沢が演じるのは、「患者を救う」という信念を持ち続ける一本筋の通った外科医の当麻鉄彦。確固たるスキルと人間性を持つ当麻の前には、権力や古い慣習が立ちはだかるが、信念を曲げずに立ち向かっていく。この姿は、多くの人に求められ続けているにもかかわらず潔く表舞台を降り、裏方に回った滝沢の姿に通じるところがある。ブレない芯を持つ滝沢は、役者として最後にどんな演技を見せてくれるのだろうか。『孤高のメス』最終回まで、引き続き見守っていきたい。

(文=高橋梓)