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坊っちゃん劇場 ミュージカル「よろこびのうた」東京公演より。

坊っちゃん劇場ミュージカル「よろこびのうた」東京公演、「第九」の精神を次世代に

ナタリー

18/11/28(水) 22:42

愛媛・坊っちゃん劇場のオリジナルミュージカル「よろこびのうた」の東京公演が、本日11月28日に東京・ティアラこうとうで開幕。これに先がけて同会場で東京公演初日記者会見が行われた。

「よろこびのうた」は、ベートーベン作曲「交響曲第9番 第4楽章『歓喜の歌』」(以下、「第九」)のアジア初演100周年を記念したミュージカル。劇中では、徳島県において、日本で初めて「第九」が歌われた史実をもとに、ドイツ人俘虜と日本人との対立や交流、和解が描かれる。第一次世界大戦中の徳島・板東俘虜収容所には、1000名近いドイツ兵俘虜が収容されていた。ドイツ軍楽隊の若い兵隊・ミハエル(小林遼介)は、老舗旅館の箱入り娘・明子(名取えりか)に一目惚れし、明子もまた西洋音楽を教わるうちにミハエルに心惹かれていく。しかし明子の父・豪太郎(中村元紀)は2人の交際に猛反対し……。

初日公演を前に行われた記者会見には、駐日ドイツ連邦共和国大使館のダーヴィッド・メラー文化課長、愛媛県知事代理として小坂泰起愛媛県東京事務所長、脚本を手がける羽原大介、演出を担当しる錦織一清、音楽監督・作曲を務める岸田敏志、坊っちゃん劇場の越智陽一代表取締役が登壇した。

まず越智代表取締役は「坊っちゃん劇場では瀬戸内や四国を舞台とした作品を作ってきましたが、これまで徳島を舞台とした作品がなく、今年2018年が、板東収容所で『第九』が歌われてちょうど100周年という記念すべき年だったので、ぜひこの年に日本とドイツの友情の物語を作りたいと計画いたしました」と経緯を述べ、約1年間のロングラン公演を終えようとしている本作について、「今年1月から230回近く上演し、6万人を超える皆様に観ていただきましたが、今回は特に劇場で涙を流される方が多く、男性の涙も見受けられる感動的な作品に仕上がりました。先日の徳島公演では、子供たちにも大きな声援をいただいております。東京公演では、この瀬戸内の歴史物語を多くのお客様に観ていただきたいです」と挨拶した。

脚本の羽原は「まさか大使館の方に観ていただける作品になると思っていなかったので感無量です」とダーヴィッド・メラー文化課長に視線を送りつつ、2年前、脚本執筆のために徳島を取材したことに言及し、「当時ドイツ人俘虜の方と接した人々の子孫や、ゆかりのある方にお話を聞き、文献を読ませていただいて、ぜひラブストーリーでにしたいと思いました」と回想。「私は過去に、映画『パッチギ!』で日本人男性と在日朝鮮人女性の、テレビドラマ『マッサン』ではスコットランド人女性と日本人男性の恋愛を書きまして。今回の『よろこびのうた』はドイツ人男性と日本人女性のお話だったので、自分の中では今作を“国際恋愛三部作”の集大成にしようと思いました」と思いを語る。東京公演については「坊っちゃん劇場の倍くらいある劇場で、『よろこびのうた』がどのくらい進化するのか楽しみです」と期待をあらわにした。

また羽原は、稲垣吾郎が主演する舞台「No.9 ー不滅の旋律ー」を観劇したことを明かし、「200年前のベートーベンの生涯を描くお話と、100年前に『第九』が初めて日本で歌われたお話が日本で同時に上演されているということで、ベートーベンの偉大さを思い知りました。『No.9』には、『よろこびのうた』の倍以上のキャストが出演していたのですが、こちらも負けていないと思います」と言葉に力を込めた。

演出の錦織は、約1年前に本作の稽古に入ったことに触れ、「『演劇はこうである』という原点のようなものを感じさせていただき、演出家にとってこれほど幸せなことはなかった」と振り返る。また作品について、「1年間上演されることでブラッシュアップされていったので、カンパニーの皆さんには感謝の気持ちでいっぱい。今回の演出のお話をいただいてから、僕の母方の祖父が愛媛の人間だったことを知り、縁を感じておりました。東京公演ができることも、もちろんうれしいですが、劇場がある江東区の隣の江戸川区で育ったので、慣れ親しんだ場所で上演させていただけるのも感慨深いです」としみじみ語った。

音楽監督・作曲を担当した岸田は本作について、「坊っちゃん劇場へも何度も観に行かせてもらいましたけれど、キャストの皆さんはテンションを落とすことなく、作品に熱を込めてやってこられて、歌が始まったときに僕自身も涙が出てくるような作品です。素晴らしい作品に出会えたことを感謝しております」と笑顔を見せた。

さらにダーヴィッド・メラー文化課長は「(本作を)6万人の方が観られたというのは驚きの数字。ドイツ大使館としても喜んでおります。板東収容所での人道的な俘虜への待遇と、そこで『第九』が日本で初めて合唱されたことは、日独友好の土台になっていると言えるのではないでしょうか」と述べると共に、「『第九』の精神を次の世代に伝え、異なる文化の人々をひとつに結び付けてくれることを期待しています」と言葉を投げかけた。

最後に小坂事務所長は「坊っちゃん劇場は愛媛県・東温市で産声をあげ、13年目を迎えました。毎年素晴らしい作品を世に送り出し、1つの作品を1年間上演するという、地方にとりましても“奇跡の劇場”だと思っております。地方創生ということで、いろいろな取り組みをさせていただいておりますが、舞台芸術を地方から東京へ発信するのは並大抵のことではないと思います」と劇場の取り組みに賛辞を送り、「今回の東京公演で感動を胸にされた方は、ぜひ徳島県、そして坊っちゃん劇場のある愛媛県、そして四国へお越しいただき、新たな感動を得ていただけたら幸いでございます」とメッセージを送った。

上演時間は途中休憩15分を含む約2時間。東京公演は明日11月29日まで行われ、坊っちゃん劇場では12月16日まで上演される。

坊っちゃん劇場 ミュージカル「よろこびのうた」

2018年1月27日(土)~12月16日(日)
愛媛県 坊っちゃん劇場

2018年11月28日(水)・29日(木)
東京都 ティアラこうとう 大ホール

脚本:羽原大介
演出:錦織一清
音楽監督・作曲:岸田敏志
振付・ステージング:神在ひろみ
出演:小林遼介、名取えりか / 村上幸央、中山城治、中村元紀、脇山尚美、梶雅人、渡辺輝世美、小野佑子、瀧田和彦、松村桜李、松尾奈美、山下奈央子

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