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odolの音楽は身体を踊らせ、胸を躍らせる 『往来』ツアーファイナル公演を振り返る

リアルサウンド

18/12/27(木) 16:00

 6人組ロックバンドのodolが、12月16日に東京・渋谷WWWで、ツアー『odol TOUR 2018 “往来”』のファイナル公演を行った。これは、約2年半ぶりの最新アルバム『往来するもの』のリリースを記念して全3公演開催したツアーで、12月1日の福岡・INSA公演ではゲストにAttractions、12月2日の大阪・CONPASS公演ではゲストにLILI LIMITを迎えている。ワンマンライブとなったこの日は、「僕らのすべてをお見せします」とアルバム全曲を披露。ロックバンドという既成概念を覆す、この1年の集大成とも呼べるファイナル公演となった。

(関連:odol ミゾベ&森山が語る、バンドの“ムードと変化”「新しい扉が開きそうな予感がある」

 ニュー・オーダーやディスクロージャーなど、早川知輝( Gt )が選曲した楽曲が迎える中、観客が続々と入場し客席を埋め尽くしていく。ステージには、キーボードやドラム、アンプ、さらにデジタル機材が所狭しと並んでいる。期待に胸を躍らせる観客の視線の先で、さまざまな機材のインジケーターランプだけが、薄暗い中でチカチカと点滅を繰り返していた。その様子は、まるで秘密基地か宇宙船の内部のようで、昔観たYMO(YELLOW MAGIC ORCHESTRA)のワールドツアーの映像もこんな感じだったかなと、ふと思い出す。

 「大人になって」のループするフレーズが流れ、メンバーが順番に現れると、観客の大きな拍手が、彼らを迎え入れた。あまりに静かなライブの始まりに意外さを感じていると、静寂をぶち破るように楽器の音が鳴り響き、ライブの始まりを告げた。1曲目の「大人になって」は、速くも遅くもない淡々としたビートの中で、ミゾベリョウ(Vo/Gt)の透明感ある特徴的な声が際立つ。やがてビートは変則的になり、エッジの立ったギターが裏で暴れまわるように鳴り響いた。

 続けて「four eyes」では、井上拓哉(Gt)とShaikh Sofian(Ba)が、楽器を抱えたままシンセを、早川がサンプラーを操り始める一方で、森山公稀のピアノと、垣守翔真のドラムの生演奏が、スリリングさを醸し出す。曲の後半はバンドサウンドのターンで、ミゾベはビートに乗って、ジャンプしたり客席に向けて手を伸ばしたりしながら、クールながらも熱さを内包した歌声で観客を圧倒した。

 デジタルとバンドサウンドを行ったり来たりしながら、静寂と轟音、混沌と秩序を繰り返すodolのサウンド。その中で、実に生々しく赤裸々に気持ちを吐露していくボーカル。決して明るくはない、逆光気味のシンプルな照明が、怪しくも美しくメンバーのシルエットを映し出す。所々に置かれた真空管のようなランプのオレンジ色の灯りも、周囲をやさしく照らし出し、幻想的な空間が演出されていた。

 「ツアーもこれで最後。ということで、僕らのすべてをお見せします」と、ミゾベ。

 アンコールの5曲を含めた全17曲で構成された同ライブでは、最新アルバム『往来するもの』以外の作品からも楽曲を披露。たとえば、2016年にリリースされた2ndアルバム『YEARS』からは、「綺麗な人」「退屈」「夜を抜ければ」「years」の4曲を演奏した。「綺麗な人」ではミゾベもあわせて、合計3本のエレキギターの音が会場を響きわたる。轟音の中で美しくきらめく森山のピアノ。ノイズとポップさのバランス感は、どこかMy Bloody Valentineを彷彿とさせた。「退屈」は、アップテンポでポップなナンバー。心地よいバンドのアンサンブルに、サビではキャッチーなメロディが広がる。ほかにも、2015年にリリースされた1stアルバム『odol』からの「あの頃」「飾りすぎていた」「生活」の3曲、2017年の1st EP『視線』から「狭い部屋」「GREEN」(『往来するもの』にも収録)の2曲が披露された。

 「1年前にWWWでワンマンをやってから、ライブをやることにこだわって活動してきました。音を行き交わせるライブで、お客さんといろんなものを往来させてできたのが、『往来するもの』というアルバムです」(ミゾベ)。「昔はライブが苦手だったけど、ライブをたくさんやって、いろんなことに気づけました」(森山)。

 odolのライブステージは、まるでアート空間のようだ。絵画を観てそこに込められたメッセージやストーリーを感じ取るように、緻密に計算された音と詩的な言葉から、観客は自由に物語を想像し、その主人公になってドラマを展開させていく。解釈は10人いれば10通り。それだけに、みんなで声を出したり同じ振り付けを楽しんだりするような、ステレオタイプの盛り上がり方とは異なる。自由と言えば簡単すぎるが、実際にジッとステージを見つめて没頭する人もいれば、グッズを身に着けて盛り上がる人、お酒を飲みながらユラユラと身体を揺らす人と、観客の楽しみ方は実にさまざまだった。odolがこの1年で培ってきたもの。それは、身体を踊らせ、胸を躍らせる。そんな五感を刺激する音楽なのかもしれない。(取材・文=榑林史章)

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