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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

第4回

アンジュルム和田彩花の「アートに夢中!」

オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展

月2回連載

18/11/20(火)

 今回紹介するのは、19世紀末のフランスでナビ派の一員として出発し、人気を博した画家ピエール・ボナール(1867‐1947年)を紹介する、国立新美術館で開催中の『オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展』。浮世絵の影響が顕著な装飾的画面により、「日本かぶれのナビ」との異名も取ったボナール。鮮烈な色彩の絵画を多数生み出し、謎多き画家としても知られるボナールの作品世界に和田さんが迫る。

つかみどころのない画家
ピエール・ボナール

 もともとナビ派には興味があったのですが、詳しくは知りませんでした。でも2017年に三菱一号館美術館で開催された『オルセーのナビ派展:美の預言者たちーささやきとざわめき』を観て、ナビ派のことをたくさん知ることができました。ただ、ひとりひとりの画家についてはそこまで追いきれなかったことが気になっていて。だから今回、ボナールを130点を超える作品や資料で見ることができ、とても充実した鑑賞となりました。

毎回細かくメモを取りながら鑑賞する和田さん。会場で配布される作品リストや取材用ノートにもびっしりと書き込みがされている

 私にとってボナールはちょっとつかみどころのない人。でも今回の展覧会で、その理由がわかったことが大きな収穫でした。ボナールといえば「日本かぶれのナビ」「装飾的な画面」という言葉で称されますね。今回の展示を見ていて「日本かぶれ」「装飾性」を強く実感するのは画業の前半期の作品でした。そんな中で私が注目したのが、《黄昏(クロッケーの試合)》です。

モチーフが溶け合う
《黄昏(クロッケーの試合)》

ピエール・ボナール《黄昏(クロッケーの試合)》 1892年 油彩・カンヴァス オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

 この作品はタイトルにもあるように、また画面右上の木々の間から見られるオレンジ色から想起させられるように夕方の光景です。そしてクロッケーが行われていそうなのは、画面中央辺りから左半分の女性二人と男性二人の間で。人物はクロッケーで使う道具を手に持ち、地面にはボールなども確認できます。描かれている情景やモチーフなどだいたい理解して頂けると思いますが、細部を見ると抽象的なんです。

 例えば真ん中でこちら側に背を向ける格子状の服を着た女性。黒とピンク、水色の格子柄の服であることがわかります。では、服の柄ではない部分、生地はどのような色でしょうか。私は緑色っぽく見えます。女性の生地の緑色を目で追っていると背景の木々の緑色にたどりつきました。まるで服と木々が溶け込むかのようで、それが木々なのか服なのか画面上で迷子になってしまいます。だからこそ抽象的とも感じることができるし、一番手前の木々も一つ一つの葉の輪郭が連なっているのか、又は大きな一つの木々の輪郭がいくつもあるのか、曖昧ではありますがこのような描写が画面全体を装飾するモチーフだと考えることもできるのではないかと思いました。

複雑で謎めいた
《親密さ》の絵画空間

ピエール・ボナール 《親密さ》 1891年 油彩・カンヴァス オルセー美術館 © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

 そしてそういった装飾性や、画面の中のモチーフの溶け合いということでは、やはりこの《親密さ》という作品が一番面白いと思いました。

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