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NICO Touches the Walls、『“N X A”TOUR』でつかんだ10周年の手応え ファイナル公演を見て

リアルサウンド

18/11/21(水) 14:00

 昨年12月6日にリリースされた『OYSTER-EP-』、今年7月25日リリースの『TWISTER-EP-』の2作で、大胆なチャレンジを聴かせてくれたNICO Touches the Walls。振り切った曲調に加え、攻撃的なサウンドとボーカルは、これまでのどの作品にもないほど実験的で刺激的だった。

(関連:NICO Touches the Walls、新たな充実期へ 最新EPから感じる“ロックバンドとしての衝動”

 さらに、6月からは形態の異なるツアー『NICO Touches the Walls“N X A”TOUR』を展開。ロックナンバー中心の『-Electric side-』、アコースティックセットの『-Acoustic Side-』、そして、山梨県河口湖ステラシアターの『-Lake Side-』を経て、東名阪のホールでの『-Funny Side-』で幕を閉じることとなった。

 ここでは、ファイナルにあたる千葉県幕張メッセイベントホールの模様をレポートしよう。

 期待が高まる場内にオープニングSEとしてチャビー・チェッカーの「Let’s Twist Again」が流れる中、メンバーが登場。大歓声に迎えられると、いきなりトップスピードの演奏で「N極とN極」が始まった。

 サポートメンバーとして参加しているキーボードの浅野尚志(Key/Violin)がベースを担当し、ベースの坂倉心悟はギターを担当。つまり、ステージ前には光村龍哉(Vo/Gt)、古村大介(Gt)、坂倉のトリプルギターが揃うという光景が広がることになり、音の厚みもさることながら、バンドの放つ熱量のすさまじさに冒頭から圧倒される。

 さらに「Broken Youth」や「THE BUNGY」など、ライブの定番曲が並ぶ。最初から盛り上がるナンバーを揃えた、このライブにかける意気込みの大きさがうかがえる導入部だ。そこに、はじけた最新曲の「FRITTER」が混ざることで、さらにテンションを高めていく。光村がシャウトを何度も繰り返し、最初の数曲で会場の熱気は最高潮に達する。

「今日は“-Funny Side-”ですから、一筋縄ではいかないと思っていてください。今年一番面白おかしいライブ、ひょっとすると、このバンド始まって以来、一番おかしいことをこれからやろうとしています。ここからは“ミステリーゾーン”です。ここに集まってくれた方々が、いつのまにかワケのわからない場所に到着している、そんなゾーンです。僕らの珠玉の名曲が怒涛のように押し寄せるコーナー。あなたは無事に生きて帰ってこられるでしょうか? ジェットコースター級に振り回しますから、酔い止めを飲むなら今。だいたい30分ぐらいの尺と伝えていましたが、今日はファイナルということもあり、40分を超えそうです。じゃあみんな、40分後、生きて会おうじゃありませんか」(光村)

 この“ミステリーゾーン”は、「夜の果て」から15曲を一気に通して演奏するという、思い切ったコーナーだ。フルコーラスというわけにはいかないが、曲の核となる部分を繋げながら、それでいて繋ぎ目がすぐにはわからないよう、巧みにアレンジされた内容で披露していく。さらに、オリジナルのリズムパターンをチェンジしたり、新たなフレーズが加わったり、一瞬で次の曲に移ったりと、めまぐるしく姿を変えていくから、観客もいい意味で戸惑いながらじっくりと耳を傾けることに。まさに“ミステリーゾーン”に連れて来られたように、聴き手のイメージがその場で攪拌されていく。

 「BAD ROBOT」と「バニーガールとダニーボーイ」のマッシュアップにハッとさせられ、「そのTAXI,160km/h」のようにインディーズ時代からの初期のナンバーも盛り込まれていたりと、新旧織り交ぜた楽曲が途切れることなく紡がれていく。

 切なくしっとりとした「プレイヤ」を間に挟み、“ミステリーゾーン”は後半へ。今度は、初期の曲「梨の花」から11曲をぶっ通しで演奏。ここでも、「image training」と「フィロローグ」がマッシュアップされていたりと、新たな驚きの連続だ。まさに怒涛の攻撃で、「手をたたけ」と「マシ・マシ」がいつのまにかミックスされていたり、一瞬たりとも目が離せない展開に。そんな複雑な構成を成り立たせている重要なポジションが対馬祥太郎(Dr)のドラムだ。細かいパーツに分解した曲を太いグルーヴで繋ぐ、丁寧かつ的確なクサビの役目を果たしていた。

「みんな、生きてるか! ミステリーゾーンでございました。こんなことをホールでやるバカは他にいないと思います(笑)。メジャーデビュー10年なわけですけど、10年前は頭が固くて、こんなことはやろうとも思わなかった。でも今は、自分たちの曲を切り刻んで繋げて、ライブで40分ぐらいの演奏をするまでに成長できたんじゃないかなと思います。そんな僕らに10年ついてきてくれてありがとう! すべて人力でお届けしましたが、ひたすら練習するという、基本に立ち返って成しえたわけです。そこらのバンドではできないので、これからも人力の限界を目指していきたいと思います」(光村)

 “ここから灼熱の後半戦”という光村の言葉に続く「SHOW」以降は、『OYSTER -EP-』『TWISTER -EP-』からの曲、つまり最新の濃いナンバーの連続だ。自由自在なメロディをハードなサウンドで聴かせる「VIBRIO VULNIFICUS」、古村のドラマチックなギターソロが映える「mujina」と、矢継ぎ早に場面が変わっていく。そして、「渦と渦」ではフロントの3人が中央に集まり、アイコンタクトでコンビネーションを確認し合う。

 本編ラストは「来世で逢いましょう」。この曲は「N極とN極」の後日談といえる歌詞の内容でもあり、1曲目と呼応する形で最後に登場し、爽快なサウンドで飛ばして終了した。

 アンコールにこたえて登場した4人。伸びやかな歌声を聴かせる「Ginger lily」に続き、ツアータイトルについて解説を始める光村。“「N」はNICO Touches the Walls、「X」は10、「A」はAnniversaryの略“としつつも、他にもタイトルに込められた謎をあれこれ語り始め、結局どれなのかわからないままになってしまう。

「何でもありです(笑)。みんななりに僕らの音楽に思いを馳せてくれればそれでOK。音楽の上では何をやったって自由ですから、これからもみんなと自由に音楽で遊んでいきたいと思います。10周年ということで音楽的欲求を爆発させた1年でしたけど、11周年もご期待下さい!」(光村)

 アンコールのラストは、これまでの歩みとこれからの決意を込めた「天地ガエシ」。40曲目にいたるまで、意味のあるセットリストで見事に締めくくった。

 音源もさることながら、今年1年でさまざまな形態のライブを行い、10周年の手ごたえを着実に掴んだNICO Touches the Walls。2019年以降も怯むことなく、ますますその力量を発揮し突き進んでくれそうだ。(岡本明)

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