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ドレイクからSHINeeまで 高橋芳朗が選ぶ、マイケル・ジャクソンへのオマージュ10曲

リアルサウンド

18/9/2(日) 10:00

 今回のキュレーション連載は、8月29日で生誕60年を迎えたマイケル・ジャクソンのオマージュ楽曲をここ数カ月でリリースされた話題作のなかからピックアップしてみました。ちょうどマーク・ロンソンによる誕生日を祝してのトリビュートミックス「Michael Jackson x Mark Ronson: Diamonds are Invincible」が公式音源として公開されましたね。

Michael Jackson – Michael Jackson x Mark Ronson: Diamonds are Invincible (Audio)

 さて、ここ最近のマイケル・ジャクソンをめぐる最注目トピックといえばやはりこちら、現在大ヒット中のドレイクのニューアルバム『Scorpion』収録の「Don’t Matter to Me」でしょう。すでに全米チャートで9位にランクインするヒットになっているのでご存知の方も多いと思いますが、ここではマイケルが1983年にポール・アンカと行ったセッションの未発表音源を使用、ドレイクとの擬似デュエットに仕立てています。ノア“40”シェビブとナインティーン85が織り成す幻想的なOVOサウンドとマイケルのナイーブなボーカルとの相性はすこぶる良く、結果的にザ・ウィークエンドがいかにマイケルの強い影響下にあるかを改めて立証する楽曲になった印象も。以前に「Hold On, We’re Going Home」(2013年)でもマイケルにオマージュを捧げていたドレイク(曰く「あの曲は俺とプロデューサーの40とでマイケルとクインシー・ジョーンズを憑依させてつくったんだ」)は今回実現したマイケルとの「共演」が余程うれしかったのか、現在Migosを引き連れて行なっている全米ツアー『Aubrey & The Three Migos Tour』ではセットリストに「Rock With You」(1979年)のカバーを組み込んでいます。これが短いながらもドレイク/OVO流儀のアレンジが施されたなかなか興味深い仕上がりで、いずれフルバージョンの公式音源化を望みたいところです。

Drake – Hold On, We’re Going Home ft. Majid Jordan

 続いては、先日の『FUJI ROCK FESTIVAL ’18』に出演していたDirty Projectorsの新作『Lamp Lit Prose』より「I Feel Energy」を。前作『Dirty Projectors』(2017年)でR&B要素を導入していたとはいえ「まさかDirty Projectorsがマイケルを?」と半信半疑の方もいると思いますが、これはまぎれもなく「Don’t Stop ‘Til You Get Enough」(1979年)のDirty Projectors流リコンストラクション。原作のパーカッシブな魅力を抽出しつつ、きっちりグループのカラーに落とし込んだ技アリのナイスオマージュとなりました。かつてThe Strokesが「Tap Out」(2013年)で「Rock With You」をモチーフにしていたときも興奮しましたが、これはそれをも凌駕する衝撃。以前に当欄でEP『Conexao』を取り上げたアンバー・マークが客演しています。

Dirty Projectors – I Feel Energy (feat. Amber Mark) (Official Audio)
Michael Jackson – Don’t Stop ‘Til You Get Enough (Official Video)

 3曲目はフランス人シンガーソングライターのエロイーズ・ルティシエによるソロプロジェクト、Christine and the Queens。ワールドワイドで130万枚を超えるセールスを記録した『Chaleur Humaine』(2014年)に続く、9月21日リリース予定の2ndアルバム『Chris』からの第2弾リードシングル「Doesn’t Matter」を。もともとマイケルへの憧憬を露わにしていたChristine and the Queensはアルバムデビュー前の2011年に「Who Is It」(1992年)をカバーしていたほか、フランス最大の音楽祭『Les Victoires de la Musique』で最優秀ミュージックビデオ賞を受賞したデビューヒット「Saint Claude」のMVでも強烈にマイケルへのリスペクトを打ち出していましたが、この「Doesn’t matter」に関してはポール・マッカートニーが「今度の彼女の新曲はマイケルを彷彿とさせる」と絶賛。マイケルのオマージュといえば「Off The Wall」(1979年)と相場が決まっている(?)なか、なんと「Beat It」(1982年)をモチーフにしたと思われる80’s調のダンスナンバーを披露しています。これはアルバムが俄然楽しみになってきました。

Christine and the Queens – Doesn’t matter (Official Music Video)
Michael Jackson – Beat It (Official Video)
Christine and the Queens – Who is it

 デヴ・ハインズのソロプロジェクト、Blood Orange待望のニューアルバム『Negro Swan』から、The Internetのスティーヴ・レイシーをゲストに迎えた「Out of Your League」。出世作となった『Cupid Deluxe』(2013年)での「You’re Not Good Enough」や前作『Freetown Sound』(2016年)での「But You」など、彼もアルバムをリリースするたびにマイケルのオマージュ曲をつくっていますが、回を重ねるごとにその表現がストレートになっているようです。この「Out of Your League」はおそらく「I Can’t Help It」(1979年)あたりがモチーフになっているのだと思いますが、ソングライティングをスティーヴ・レイシーと共作している影響でしょうか、メロディの美しさは前述した楽曲と比較しても頭ひとつ抜きん出ています。

 実は8月の初め、マイケル・ジャクソンの正統後継者であるクリス・ブラウンが自身のSoundCloudに「Rock With You」をサンプリングした直球オマージュソング「Had To Do It… Sorry DJ Khaled」をアップしたのですが(DJキャレドのアルバム用に録った未発表曲?)、これが残念なことにわずか数日で削除。このままお蔵入りになりそうな気配が濃厚なので、その代打としてSHINeeの三部作『The Story of Light』シリーズの第一弾より「JUMP」を取り上げておきます。ソングライティングを手掛けたカーティス・リチャードソン(ジェニファー・ロペスが2002年に放った全米ナンバーワンヒット「All I Have」で名高い)は『Off The Wall』期のマイケルにインスパイアされたことを自身のTwitterで明かしていますが、どちらかというとハウスフィールなThe Jacksons「Show You The Way to Go」(1976年)といった趣き。ともあれ、抗えない気持ち良さを備え持った曲であることに変わりはありません。

 K-POPといえばTWICEが映画『センセイ君主』のテーマソングとしてJACKSON 5の「I Want You Back」をカバーしていましたが、いま映画絡みで「I Want You Back」といったらやっぱり『カメラを止めるな!』の主題歌、謙遜ラヴァーズ「Keep Rolling feat. 山本真由美」で決まりでしょう。TVアニメ『ゆるキャン△』オープニング曲の亜咲花「SHINY DAYS」なども含め、2018年は「I Want You Back」カバー/オマージュの当たり年といえそうです。

TWICE「I WANT YOU BACK」Music Video
亜咲花「SHINY DAYS」Music Video Short ver.(TVアニメ『ゆるキャン△』OPテーマ)

■高橋芳朗
1969年生まれ。東京都港区出身。ヒップホップ誌『blast』の編集を経て、2002年からフリーの音楽ジャーナリストに。Eminem、JAY-Z、カニエ・ウェスト、Beastie Boysらのオフィシャル取材の傍ら、マイケル・ジャクソンや星野源などライナーノーツも多数執筆。共著に『ブラスト公論 誰もが豪邸に住みたがってるわけじゃない』や 『R&B馬鹿リリック大行進~本当はウットリできない海外R&B歌詞の世界~』など。2011年からは活動の場をラジオに広げ、『高橋芳朗 HAPPY SAD』『高橋芳朗 星影JUKEBOX』『ザ・トップ5』(すべてTBSラジオ)などでパーソナリティーを担当。現在はTBSラジオの昼ワイド『ジェーン・スー 生活は踊る』の選曲も手掛けている。

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