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Drop’s 中野ミホが語る、バンドが迎えた新たなムード「いままで通りじゃつまんない」

リアルサウンド

19/4/9(火) 18:00

 バンド結成10周年を迎えたDrop’sから最新ミニアルバム『trumpet』が届けられた。約2年半ぶりとなったスタジオレコーディングミニアルバム『organ』に続く本作は、春の華やかさとともに、“ここから始まる!”という新たな決意が込められた作品。前作の収録曲「Cinderella」に続く“Drop’s×多保孝一(作曲家・元Superfly)”のコラボレーションによる「毎日がラブソング」(瑞々しいホーンセッションを取り入れたソウルフルなナンバー)など新たな表情が感じられるのも本作の魅力だ。

 リアルサウンドではバンドの中心である中野ミホ(Vo&Gt)にインタビュー。2017年に地元・札幌から東京に拠点を移し、メンバーの脱退、新ドラマー・石川ミナ子の加入など、さまざまな出来事を経て完成した「trumpet」についてたっぷりと語ってもらった。(森朋之)

自分たちと同世代の人たちにも聴いてほしい 

ーーまずはここ2年間の活動を振り返りたいと思います。2017年に北海道から東京に拠点を移し、ドラマー、キーボードが脱退。新ドラマーの石川ミナ子さんが加入し、新体制でリスタートと大きな動きがありました。この2年間をどう捉えていますか?

中野ミホ(以下、中野):いろんなことがありましたね。前のドラムが抜けることが決まって、私とベース(小田満美子)とギター(荒谷朋美)が東京に出てきて。新しいドラマーのアテもまったくなく、“とりあえず行こう”という感じだったんですよ。そのあと、ミナ子さんと出会って、加入してもらって。とにかくライブの場数を踏んで鍛えようとしていたし、曲も作っていたんですが、CDをリリースできない時期が2年半くらいあって。もどかしさもありましたけど、バンドにとってはいい期間だったと思います。

ーー上京したとき、不安はなかった?

中野:ずっと札幌で活動してきたんですけど、居心地が良すぎたというか、「このままだとダメだな」と思ったんですよね。私自身は東京に憧れがあったし、「とにかく行くしかない」という感じで、不安はなかったです。

ーーなるほど。新ドラマーの石川ミナ子さんとは、東京で出会ったんですよね?

中野:はい。以前から顔見知りだったんですが、東京に来てから、ミナ子さんがやっていたバンドのライブを見に行って、「かっこいい!」と思って。その場で声をかけて、スタジオに入ったら、「これだな」とビビッときたんです。ミナ子さんも古い音楽が好きだし、いろんな音楽にも詳しくて。ずっと東京で音楽をやっている人だから、教わることも多いし、日々勉強になってます。

ーー生活環境が変わっても、音楽に集中できてますか?

中野:それが大変だったんですよ、最初は。ひとり暮らしもしたことがなかったし、東京は人が多くて、時間の流れ方も早いから、音楽と向き合う時間を自分で確保しないとどんどん流されちゃうなって。良くも悪くも情報が多いんですよね。私は映画が好きだから、そういう面ではすごくいいなと思います。ギターの荒谷もよくライブを見に行ってますね。

ーー上京したことで、曲にも影響があったのでは?

中野:札幌のときは自分に向き合って曲を作ることが多かったんですが、東京に出てきて、散歩しながら歌詞を考えることが増えて。街によって表情が違って、いろんな景色を目にするので、そこはぜんぜん違うかなって。あと、新しい音楽を聴くことも少しずつ増えてるんです。以前は古い音楽ばっかりだったし、気に入ったアルバムを何度も聴いてたんですが、そこも変わってきたと思います。初めてサブスクリプションを使って、いろんな音楽を聴いてみたら、“イントロがあって、ギターソロがあって”という形が主流じゃないことがはっきりわかったし、特に海外のトップチャートは電子音に近いサウンドがメインになってることも実感できて。私は流行りをまったく知らなかったんだな、と(笑)。自分には関係ないと思ってたんだけど、意識せざるをえないというか……。特に前作の『organ』の制作でご一緒した多保孝一さんとの出会いはカルチャーショックでしたね。

ーーというと?

中野:「Cinderella」という曲を一緒に作ったんですが、制作に入る前に「自分たちと同世代の人たちにも聴いてほしい」という話をしたんです。Drop’sのライブには私たちの親世代の方々が来てくれるんですよ。それもすごくありがたいんだけど、もっと若い世代にも届けたいなって。そのときに多保さんに「だったら、思い切ったサウンドのアプローチを試してもいいかもね」と提案してもらったんです。多保さんから「Cinderella」のデモを聴いたときは「これ、Drop’sでホントにやれるのかな?」というか、「そう来たか!」感がすごくあって。

ーーエレクトロの要素がかなり入ってますからね。

中野:そうなんです。Drop’sにとっては新しいテイストだったし、びっくりしちゃって。でも、メロディと歌詞はすぐにいいなと思ったし、新しいアプローチを楽しみながら制作できましたね。自分たちが好きな土くさい感じを残すためにアコギを入れたり、歌詞に関しても「ロマンティックな部分がほしい」という話をしたり、いいせめぎ合いができたかなって。歌詞とメロディの譜割りにしても、「こうやれば言葉がパッと耳に入ってくるんだな」という発見があって、すごく勉強になりました。

ーー“ルーツミュージックとJ-POPをどう融合させるか?”というテーマに取り組み続けてる方ですからね、多保さんは。

中野:そうなんですよね。ルーツミュージックを大事にしながら、「多くの人に聴いてもらうにはどうしたらいいか?」という大前提があって。自分たちだけでは思いつかないこと、わからないことがたくさんありましたね。

ーー「Cinderella」のライブでの反応はどうですか?

中野:初めて同期の音を使ったんですよ。ギターとドラムがクリックを聴いて演奏するんですけど、最初はガチガチに緊張してました(笑)。でも、初めてライブで披露したときに、1番が終わった瞬間に「おおー!」という歓声が上がって。それがすごく嬉しかったし、何度か演奏することで、最近はようやく慣れてきましたね。

Drop’s「毎日がラブソング」Music Video

ルーツミュージックを大事に、音は新しく 

ーー今回の新作『trumpet』でも、多保さんとのコラボ曲「毎日がラブソング」が収録されていて。ホーンを取り入れたソウルフルなナンバーで、「Cinderella」とはまったく違うテイストの楽曲ですね。

中野:そうですね。「次はどういう曲をやってみたい?」という打ち合わせのときに、“ルーツミュージックを大事に、音は新しく”という点で、Alabama Shakesの話になって。ああいう雰囲気を意識しつつ、多保さんがコード進行を持ってきて、そこからメロディと歌詞を一緒に作っていきました。

 ゴスペルっぽいコーラスやホーンを入れたのも初めてだったし、ベースとドラムをループさせてトラックを作るというやり方も初で。ちょっとヒップホップみたいな作り方なんですけど、すごく斬新でしたね。

ーーボーカルもソウルフルだし、開放感があって。

中野:少しずつ抑揚を付けながら、エモーショナルに歌えたと思います。ライブで歌っていても、すごく楽しいし、テンションが上がるんですよ。Drop’sでここまでブラックミュージックに寄った曲はいままでなかったんですが、改めて「私はこの感じが好きなんだな」と気づきました。聴くのは好きだったんですけど、自分で歌ったことはなかったんですよね。

ーー歌詞に関しては?

中野:前回の「Cinderella」に続き、譜割りなどは細かくやりました。テーマ自体は、自分が感じていることがもとになってますね。すごくハッピーで明るい曲なんだけど、それだけの歌にはしたくなかったというか……。東京に出てきて、生活が大変だったり、1日1日を乗り切るのがしんどかったときに、「こういうときこそ、大事な人だったり大事なモノだったり、ひとつの存在が力になってくれるんだな」と感じて。一歩を踏み出す力がなかなか出ないとき、明日が迎えられるかどうかもわからないことって、誰しもが経験していることだと思うんです。そういうときに力を感じてもらえる、大きな歌になったと思いますね。ライブでもちょっと前からやっていて、みなさんが手拍子してくれたり、すごく盛り上がって。もっともっと期待が持てる曲だし、ライブで育てていきたいですね。

ーーそのほかの収録曲も開放感、前向きな気持ちが伝わる楽曲が中心になっていますね。

中野:前作の『organ』は冬らしい曲が多かったので、連作というか、今回は春っぽい曲、新しいスタートだったり、「ここから始まる」という気持ちを表現した曲でまとめたくて。「RAINY DAY」と「SWEET JOURNEY BLUES」は北海道にいるときに書いた曲で、「空はニューデイズ」と「ムーン・ライト」は東京に来てからの曲ですね。

ーー時期が分かれているんですね。

中野:そうなんですよ。「RAINY DAY」は北海道から出てくる直前くらいに書いた曲で。さっき言ったように、「何とかなる!」「とりあえず行くしかない」という気持ちだったし、「もう戻らない!」と自分を奮い立たせるような感じで鳴らしている曲ですね。「SWEET JOURNEY BLUES」も、まさに北海道の景色を歌っていて。これは冬のイメージなんですが、ひとりで景色を噛みしめているというか。生まれ育った場所に“さよなら”を言ってるところもあると思います。

ーーそのときの感情がそのまま歌になってる。

中野:日記みたいな感じというか、そのときに感じていることしか歌えないんですよ。これまでの曲もそうですけど、聴き返すと「このときはこうだったな」と思い出せるんです。楽しいときは“楽しい!”と歌えばいいし、さみしいときは、その気持ちを歌にすればいい。それはずっと変わってないですね。

ーー「空はニューデイズ」は、今回のミニアルバムのなかでもいちばん解放感のある歌だなと。

中野:はい(笑)。これは言っていいのかわからないけど、東京に来て、最初に始めたアルバイトがすごく厳しくて、つらかったんです。それを辞めたときに書いたのが、この曲なんですよね。めちゃくちゃスッキリして……。

ーーそのまま歌になったと(笑)。音楽以外のことでつらい思いをするの、イヤですよね。

中野:そうですね、ホントに。ライブでやっていても楽しいです、この曲は。ミナ子さんのビートがカッコよくて。ミナ子さんが加入してから、リズムのバリエーションが広がったんですよ。「こういうリズムはどう?」と提案してくれることも多いし、歌っていても気持ちいいです。

ーーそして「ムーン・ライト」は、ちょっと憂いのあるミディアムチューン。

中野:夜、ひとりで散歩してるときに感じたことがもとになってる曲ですね。札幌のときは夜中に散歩することなんてなかったけど、東京に来てから、いろんな街を歩くようになって。オフィス街のビルって、人はいなくても電気はついてるじゃないですか。それを見ながら歩くのが好きなんですよね。すごく贅沢だし、自由な気持ちになって。完全にひとりで、寂しいんだけど、自由というか。東京の好きな一面ですね、それは。

ーー「ためいき」「未来」のライブテイクも収録。新体制になって、ライブに対するスタンスはどう変わりましたか?

中野:「ライブではカッコつけたい」というのは変わってないんですけど、東京に拠点を移してから、「もっとちゃんとしなくちゃ」という意識が芽生えました。いままでは好きなようにやっていたし、しっかりやってるつもりだったけど、振り返ってみると「甘かった」と感じる部分もあって。それもミナ子さんの存在が大きいですね。東京の風を吹き込んでくれたというか、ずっとこっちでドラムをやっていた人だし、音楽に対する向き合い方がストイックなんです。その姿を見て、私たちもすごく刺激を受けてるので。ライブを観に来てくれる方に対する意識も変わりました。せっかく時間を作って来てくれてるんだから、1本1本大事にして、いいライブをしないとなって。“いまさら”ですけど、改めて思いますね、それは。

ーー4月1日にはワンマンライブ『APRIL FIRST CLUB’19』 を新宿レッドクロスで開催。4月7日には大阪、12日には札幌で 『ツーマン自主企画 Drop’s 10th Anniversary「Sweet & Muddycheeks」』が行われるなど、ライブ活動も活性化。結成10周年については、どんなふうに感じていますか。

中野:“気が付けば”という感じで、アッという間でしたね。せっかくの10周年だから盛り上げたい気持ちはあるんですけど、むしろ「ぜんぜんこれからだな」というか、新しいことをどんどんやっていきたいなって。今のメンバーでやっとCDも出せたし、こだわりすぎず、怖がらず、いろんなことに挑戦していきたいです。特に私は「こうじゃなくちゃいけない」って凝り固まっていた部分があったと思っていて。「自分には関係ない」と思っていた物事にも興味を持って、柔軟に広げていけたらいいなと。

ーー音楽の幅も広がりそうですね。

中野:そうですね。いままでは私がアレンジの方向性を決めることが多くて、「こう来たら、こうなる」という流れがあったんですけど、それも意図的にはみ出してみたくて。もちろん「これは譲れない」というところもあると思うんですけど、バンド全体に「いままで通りじゃ、つまんない」というムードがあるんですよね、いまは。

(取材・文=森朋之)

■リリース情報
『trumpet』
発売:2019年3月29日(水)
価格:¥1,852(税抜)
01. 毎日がラブソング
02. 空はニューデイズ
03. ムーン・ライト
04. RAINY DAY
05. SWEET JOURNEY BLUES
06. ためいき*
07. 未来*
*「organ」Release Party “冬の日のおるがん” LIVE音源

■ライブ情報
<Drop’s ツーマン自主企画>
『Drop’s 10th Anniversary「Sweet & Muddycheeks」(Ms.April)』
4月7日(日) 大阪 2nd LINE
w/ w.o.d.
4月12日(金) 札幌 mole
w/ DOUBLE SIZE BEDROOM

<Drop’s イベントライブ>
『荒吐宵祭19 -GROWING UP TO 20-』
4月26日(金) 仙台Rensa 

『ARABAKI ROCK FEST.19』
4月27日(土) みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく 

『NAGANO CLUB JUNK BOX 20th Anniversary「COUNTER ROCK!!!!!」』
5月3日(金・祝) 長野CLUB JUNK BOX
w / The Birthday

『NIIGATA RAINBOW ROCK 2019』
5月4日(土) 出演会場(新潟市内11会場)・時間は後日発表

『SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARY『ええじゃないか歌舞伎町』』
8月1日(木)新宿LOFT
w/  noodles / BimBamBoom / THE STEPHANIES

〈中野ミホ 弾き語り自主企画〉
『中野ミホの「うたかたイン・ザ・ムード」vol.2』
5月12日(日) 新宿レッドクロス
w/ and more…

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