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04 Limited Sazabys、メロコアの歴史と同時代を繋ぐ存在に シーンの“楔”を担った独自性を考察

リアルサウンド

18/10/9(火) 18:00

 Hi-STANDARD「STAY GOLD」で胸を鷲掴みにされ、その数年後にELLEGARDEN「ジターバグ」で再び心を揺さぶられる。 シンプルでラウドなサウンドと誰でも口ずさめるキャッチーなメロディを前にしてこんな気持ちになった人が、90年代後半からゼロ年代前半を“キッズ”として過ごした層の中には一定数存在するのではないかと思う。そして、何を隠そう筆者もその1人である。

04 Limited Sazabys「Milestone」(Official Music Video)

 2018年10月時点でこの2つのバンドが並び立つ状態が実現しているが、いわゆるメロディックパンクが広く市民権を獲得するポジションに押し上げられる過程において彼らの果たした功績は計り知れない。

 数年前に04 Limited Sazabys「Terminal」を聴いた時に感じたのは、前述した2つのバンドの楽曲に触れた時と同様の衝撃だった。実際に彼らはこれらのバンドの影響を大きく受けていることを明言している。そういった背景も含めて、“日本のメインストリームで鳴らされるメロディックパンク”という文脈の正当な後継者はこの人たちなのではないか? という大きな期待を抱いた。

 “日本のメインストリームで鳴らされるメロディックパンク”という字面だけを見れば、現在この位置を占めているのはWANIMAだとするのがフェアな評価かもしれない。一方で、04 Limited Sazabys(フォーリミ)はいわゆるメロコアの範疇にとらわれない音楽を鳴らしながら、独自のポジションを築いてきた。

 たとえば、“4つ打ち”的なアプローチの導入も含めた昨今の“邦ロック”的な世界への接近。特に前作『eureka』はフォーリミのそういった側面を魅力的に表現した作品であり、“メロコア”と“邦ロック”が美しいメロディとGENのハイトーンボイスを軸にバランスよく共存した非常にクオリティの高いアルバムとなっている。

 また、特定ジャンルに居場所を作らない一方で、自らが主体となって『YON FES』というホームグラウンドを築き上げたのも彼らの活動における大きな成果である。今年は動員数を24,000人(2日間)まで拡大し、 Hi-STANDARDの『AIR JAM』や10-FEET『京都大作戦』といった先輩バンドの催しと並べても遜色のない存在感を徐々に放ちつつある。

 その『AIR JAM』に関連してHi-STANDARDを中心としたラウドロック勢が“AIR JAM世代”と呼ばれるように、フォーリミは同世代の面々の動向を常に気にかけている。

 「(同世代を意識するか、という問いに対してのGENの回答)僕らは意識しますね。同世代が一番リアルに悔しかったり羨ましかったりする感情が芽生えるので。(中略)WANIMAやブルエン(BLUE ENCOUNT)、後輩だったらマイヘア(My Hair is Bad)とか、いろんなバンドが活躍しているし、曲もライブも本当にいいからで。そうやって刺激がもらえる存在がいるのは本当に恵まれてると思います」(参考:04 Limited Sazabysが語る、結成10周年での“原点回帰”と同世代バンドへの意識

 基本的に多くのポップミュージックは“縦”=積み重ねてきた歴史と“横”=時代のムードの結びついた場所で生まれるが、そういった構造に自覚的なミュージシャンほど普遍性と耐久性の高い音楽を生み出している印象がある。Hi-STANDARD、ELLEGARDENに連なるメロディックパンクの系譜に位置づけられる存在であるとともに、同時代のロックバンドとの共闘がバンドのストーリーにおける重要なファクターとなっているフォーリミは、まさに自分たちが“縦”と“横”の結び目にいることを明確に理解している。フォーリミがメロコアファンに閉じずに幅広いリスナー(それこそ筆者のような、“リアルタイムのロックバンドを聴くには少し年を取り過ぎた”層も含めて)を獲得できている裏側には、彼らのこういった佇まいが影響しているのではないかと思う。

 “縦”と“横”の関係の中で自分たちの存在のあり方をクレバーに見据えているそんなフォーリミのスタンスを理解したうえで、10月10日にリリースされる新作『SOIL』に至るまでのGENの発言を探っていくと、いくつか興味深いものを拾うことができる。

 「「シーンがどう」とか「お客さんがどう」とか、そういうのは一旦どうでもよくなった気がしますね。」(2017年8月「Squall」リリース時のインタビュー

「10周年だからこそ初期衝動を思いだそう、取り返そうというのがテーマです」(2018年3月「My HERO」リリース時のインタビュー

 〈メロディーに引っ付いた思い出達が 今も僕を支えてくれている〉(和訳)という言葉で始まり(「message」)、〈あの頃のままじゃ 届かないよ 五月雨 降れ降れ 生まれ変われ〉(「Squall」)で終わる今作の根底にあるのは、バランスや目配せではなく、バンドとしての根源的なエネルギーの発露である。『eureka』に比べるとパンキッシュな成分強め、かつそんな中に音楽的な遊び心がエッセンスとしてまぶされた全12曲で構成されたこのアルバムは、自身のルーツと素直に向き合ったうえでさらに新しい場所に進もうというバンドとしての決意表明になっていると言えるだろう。

 ギターの鳴りにJUDY AND MARY的な趣も感じられる「Password」や中村一義「犬と猫」とも同期する〈どう?〉の譜割りが耳に残る「memory lane」などディテールへのこだわりが感じられる楽曲も収録されている『SOIL』だが、やはり今作の印象を引っ張っているのは「My HERO」「Squall」のシングル楽曲や「Utopia」「Milestone」あたりのラウドな楽曲。フェスを中心としたロックバンドシーンがさすがに飽和しつつある空気も感じられる中で、改めて自分たちが何者かを示した今回のアルバムは、今後の彼らのキャリアにとっても重要な位置づけのものとなるはずである。

 先日の『AIR JAM』ではトリのHi-STANDARDの前のスロットを任されるなど、先人たちからもその存在意義を認められつつあるフォーリミ。原点を見つめ直したうえで彼らがこの先どんな世界をリスナーに見せてくれるのか、この先も追っていきたい。

■レジー
1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題になり、2013年春から外部媒体への寄稿を開始。2017年12月に初の単著『夏フェス革命 -音楽が変わる、社会が変わる-』を上梓。Twitter(@regista13)

■リリース情報
3rdフルアルバム『SOIL』
10月10日(水)発売
初回盤CD+DVD:¥3,500+税
通常盤CD:¥2,700+税

<CD収録曲>
1. message
2. My HERO(テレビ東京系ドラマ24 第50弾特別企画「オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~」オープニングテーマ)
3. Brain sugar
4. Utopia( NHK Eテレアニメ「ラディアン」オープニングテーマ)
5. Milestone
6. Password
7. Alien
8. Kitchen
9. Galapagos
10. memory lane
11. Shine (ロート製薬「スキンアクア」CMソング)
12. Squall(カロリーメイト「ニコイチメイト」テーマソング)

<初回盤DVD>
“YON FES 2018” live & document
“SOIL” Recording document

※初回プレス(初回盤・通常盤共通)封入特典 :「SOIL tour 2019 ~one man series~」先行応募ID 封入
購入者特典などの詳細はこちら

■ライブ情報
『SOIL tour 2018』
10月24日(水)千葉LOOK
10月26日(金)高崎 club FLEEZ
10月27日(土)HEAVEN’S ROCK Kumagaya
10月29日(月)水戸LIGHT HOUSE
10月30日(火)HEAVEN’S ROCK Utsunomiya
11月07日(水)長野JUNKBOX
11月10日(土)浜松窓枠
11月11日(日)岐阜CLUB-G
11月17日(土)旭川CASINO DRIVE
11月18日(日)帯広MEGA STONE
11月21日(水)高松festhalle
11月23日(金・祝)高知CARAVANSARAY
11月28日(水)金沢Eight Hall
11月29日(木)京都MUSE
12月01日(土)和歌山SHELTER
12月02日(日)神戸太陽と虎
12月05日(水)秋田club SWINDLE
12月06日(木)盛岡club change WAVE
12月10日(月)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
12月11日(火)周南RISING HALL
12月13日(木)鹿児島CAPARVO HALL
12月15日(土)宮崎WEATHER KING
12月16日(日)熊本B.9 V1
※全箇所対バン有

チケット : 前売 ¥4,000/当日 ¥4,500(※販売未定)
一般チケット販売 : 2018年9月23日(日) 10:00 ~

『SOIL tour 2019~one man series~』
1月06日(日)Zepp Sapporo
1月11日(金)新潟LOTS
1月12日(土)新潟LOTS
1月15日(火)Zepp Tokyo
1月16日(水)Zepp Tokyo
1月25日(金)Zepp Fukuoka
2月03日(日)BLUE LIVE HIROSHIMA
2月08日(金)仙台PIT
2月11日(月・祝)松山市総合コミュニティーセンター
2月13日(水)Zepp Osaka Bayside
2月14日(木)Zepp Osaka Bayside
2月20日(水)Zepp Nagoya
2月21日(木)Zepp Nagoya
チケット : 前売 ¥4,500/当日 ¥5,000(※販売未定)
一般チケット販売 : 2018年12月2日(日) 10:00 ~
『SOIL』初回プレス封入先行 : 2018年10月10日(水)12:00 ~10月21日(日)
詳細

■関連リンク
Official HP
Twitter:@04LS_nagoya
04 Limited Sazabys オフィシャルモバイルファンサイト「YON TOWN」
Columbia Official Page

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