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深川麻衣が振り返る、初主演映画『パンとバスと2度目のハツコイ』での経験と思いの変化

リアルサウンド

18/11/30(金) 12:00

 映画『パンとバスと2度目のハツコイ』のBlu-ray&DVDが11月21日にリリースされた。『サッドティー』『退屈な日々にさようならを』の今泉力哉監督がメガホンを取った本作は、「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし、ずっと好きでいられる自信もない」と、独自の結婚観を持つパン屋勤務の主人公・市井ふみが、ある日、中学時代の“初恋”の相手・湯浅たもつと偶然再会したことから物語が始まるラブストーリーだ。

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 今回リアルサウンド映画部では、本作のBlu-ray&DVD発売を記念して、主人公・市井ふみ役で映画初出演にして初主演を務めた深川麻衣にインタビュー。ロングランヒットを記録した本作を改めて振り返ってもらいながら、今泉監督と2度目のタッグとなった『愛がなんだ』や、本作の演技でTAMA映画賞新進女優賞を受賞した喜びについても語ってもらった。

ーー『パンとバスと2度目のハツコイ』はロングランの大ヒットとなりましが、劇場公開を振り返っていかがでしょうか?

深川麻衣(以下、深川):今回は舞台挨拶もいろんな場所をたくさん回らせていただいたのですが、初めて観てくださった方はもちろん、リピーターの方がかなり多かったんです。「舞台挨拶の話を聞いて、もう1回観たくなって観に行った」という方がたくさんいらしたのがすごく嬉しくて。私や監督が意図していなかった感想をいただいたり、観た方それぞれの考えや意見があったりして、皆さんの中でどんどん新しい見方が生まれていたのが嬉しい驚きでしたし、いい意味で映画が一人歩きしているような感覚がありました。

ーー「意図していなかった感想」で印象に残っているのは具体的にどのようなものだったんでしょう?

深川:ラストシーンの朝焼けの青とか、二胡(志田彩良)が描いてくれたふみの似顔絵の背景の青、洗い流すときの絵の具の青など、色に注目して観てくださった方が結構いらして、「それは意図的に入れているんですか?」と聞かれたのは印象的でした。自分では全く気づかなかったので。あと、たもつ(山下健二郎)とふみが初めて居酒屋に行ったときの帰り道で、偶然立川のバスが通るんですけど、そこに注目して、「あれはあえて何ですか? 偶然なんですか?」と聞いてくださる方もいました。本当に皆さん細かいところまで観てくださっていたので、皆さんの感想を聞くたびに嬉しい気持ちになりました。

ーー映画の公開前と公開後では、作品に対する考え方も変わってきそうです。

深川:そうですね。公開前は早く皆さんに届いてほしいという気持ちがすごく強かった一方で、初めて主演を務めさせていただいたことの怖さや不安も大きかったです。でも、公開されてからは、皆さんが自由に映画を解釈してくださったり、自分の実体験に当てはめて考えてくださったりしているのを目の当たりにして、映画が皆さんのものになっていっているような感覚になり、「映画って本当に素敵だな」と思えるようになりました。

ーー劇場公開時には今泉監督と対談をしていただきました。その際に「何年か後にこの作品を観返したときには、絶対違う見え方になっていると思う」と発言されていましたが、見え方は何か変わりましたか?

深川:まだそんなに大きくは変わっていませんが、その後また『愛がなんだ』という作品で今泉監督とご一緒させていただいた時に、共通のスタッフさんが「深川さん、『パンバス』のときよりリラックスしてたね」とおっしゃってくれていたらしいんです。そういうお話を聞くと、やっぱり『パンバス』の時は緊張しているように見えていたんだなと実感します。私は結構自分の粗を探してしまうタイプなので、今またこの作品を観返してみると、「ここが硬かったかな」とか「こうしたらよかったな」と思うことはところどころにあります。でも、こうやって振り返った時に、その時の自分にしか出せないものが出せたと考えると、それはそれでよかったのかなと最近は思えるようになりました。

ーー『愛がなんだ』で再び今泉監督の作品に出演することが決まった時はどのような気持ちだったんですか?

深川:こんなに早くまた映画でご一緒させていただけるとは思ってもいなかったので、お話をいただいた時は本当に驚きましたし、ものすごく嬉しかったです。今まで私がいただいてきた役は、あまり感情を表に出さないけど芯が強い子とか、喜怒哀楽があまり表に出ないタイプの女の子が多かったんです。そんな中で、色男や流行りものに目がない女の子という、自分にとってもまた一つの挑戦となるような役を今回いただけたことは、とても光栄でした。

ーー『パンとバスと2度目のハツコイ』での経験が『愛がなんだ』に繋がった部分も大きかったように感じました。

深川:今泉監督とのお仕事は2回目でしたし、人柄もよく分かっていたので、『愛がなんだ』の撮影は安心感もあったんですけど、岸井ゆきのちゃんと成田凌くんというメインの2人がいる中で、自分が映画の中でどんな役割を果たせばいいのかは考えました。『パンバス』は自分のことで本当にいっぱいいっぱいだったんです。でも、『愛がなんだ』は参加させていただく1人として、私が作品をちょっとでも面白くするためにはどうしたらいいんだろうと、作品における自分のポジションや役割を考えることができたので、それは大きな成長だったかもしれません。今泉監督は相変わらず物腰がすごく柔らかくてユーモアのある方ですけど、映画を撮ることはもちろん、自分の作品や出演者の方々に対しての愛情がものすごく大きい方なんだと、『愛がなんだ』で再確認しました。情熱もすごくあって、本当に愛情深い方だなと思います。撮影でも1人1人にものすごく深く向き合ってくださるので、演じるキャラクターの感情面が少しずれていたら的確に修正してくださるので、本当に信頼して臨むことができました。

ーー今回のBlu-ray(初回生産限定版)には、ビジュアルコメンタリーをはじめたくさんの特典映像が収録されています。その中でも、深川さんが泣かなければいけないシーンでなかなか涙が出せない時の、今泉監督とのやり取りを捉えたメイキング映像はとても見応えがありました。

深川:私自身はまだメイキングを観れていないのですが、その時のことはよく覚えています。自分が思った通りにやってみて、監督に演出をしていただいたのですが、やっぱり頭で考えすぎてしまっていたんですよね。泣くこと自体が目的になってしまって、お芝居が全然違うものになってしまいました。それで緊張とプレッシャーが一緒になって、頭でっかちになってうまくできなくなってしまったんです。休憩をとっていただいたのですが、悔しさや申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまって、そこで自然と涙が出てきてしまいました。

ーーちなみに、前回の対談では、今泉監督が深川さんに対して、「もっと自我が見えるとさらに魅力的になると思います」と言っていたのですが、そのことは覚えていますか?

深川:もちろん覚えています。乃木坂46を卒業して、グループでの活動から個人での活動になってからは、協調性ももちろん大事ですけど、やりたいことや思っていることを自ら発信していくことの大事さを痛感することがとても多くて。でも欲を出し過ぎてもよくないと思っているので、そのバランスはなかなか難しいのですが、「もっとこういうことをやってみたい」とか「こういうお仕事をしてみたい」というような欲は、自分の中で以前よりは出てくるようになりました。きっと性格的な部分もあると思うのですが、監督からの助言は私の中でしっかりと胸に響いています。

ーー今後やってみたいことは具体的に?

深川:お芝居で言うと、時代劇はずっとやりたいと思っています。あと、私が憧れたり好きになる人は、お芝居もそうなんですが、ちゃんとその人の魅力が滲み出ている人なんです。それは、お芝居をしていく上でも、その人にしかできないという説得力にも繋がってくると思うので、自分の好きなことだったり、お休みの日の過ごし方だったりも充実させて、表現力を高めていきたいと思っています。私は踊ることが好きなので、落ち着いたタイミングで日本舞踊を習って、そこで身についたものをお芝居にも活かせたらなと今は考えています。

ーー第10回TAMA映画賞最優秀新進女優賞も受賞した、今回の『パンとバスと2度目のハツコイ』での経験は、深川さんの今後の女優人生においても大きなターニングポイントになりそうですね。

深川:TAMA映画賞最優秀新進女優賞受賞は本当に信じられないようなことで、受賞のお知らせを聞いた時、ものすごくビックリしました。少し泣いて、数分固まってしまいました。私にとって初めての映画のお仕事で、しかも主演という大役を務めさせていただいた『パンバス』で、このように今泉監督(最優秀新進監督賞)と(伊藤)沙莉(最優秀新進女優賞)ちゃんと一緒に賞をいただけたのは本当に嬉しいことです。私にはまだまだダメなところもたくさんありますので、今泉監督をはじめ、この作品に携わってくださった皆さんに助けていただいたおかげだと思っています。『パンバス』は、本当に皆さんの日常に寄り添ってくれるような作品です。映画館で観るのとお家で観るのとではまた感じ方も違うと思いますので、今回のBlu-ray&DVDで、二度と言わず、三度四度と何度も観ていただいて、ぜひまたその感想も教えていただけたら嬉しいです。(取材・文=宮川翔)

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