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日向坂46、ひらがなけやきラストライブ&日向坂デビューライブで見つけた“空色の可能性”

リアルサウンド

19/3/7(木) 14:00

「今日でひらがなけやきのメンバーはいなくなるけど、私たちの心の中、皆さんの心の中で生き続けると思います、ありがとう! 以上、私たち、ひらがなけやき坂46、でした!」(佐々木久美・けやき坂46としての最後のMCより)

参考:日向坂46、小坂菜緒が新エースとなりデビューへ 「キュン」フォーメーションから感じたこと

 日向坂46が、3月5日と6日に横浜アリーナで『日向坂46 デビューカウントダウンライブ!!』を開催した。

 これまで、けやき坂46(以下、ひらがなけやき)として活動してきた彼女たちだが、2月11日のSHOWROOM特番で単独でのシングルリリースと、日向坂46への改名を発表。そんな背景事情もあって、この日のライブは“ひらがなけやきとしては最後の、日向坂46としては最初のライブ”という特別な公演となった。

 そもそも、ひらがなけやきは、“長濱ねる”という1人のメンバーの存在からスタートした異端のグループだった。欅坂46のオーディション最終審査まで進んでいたものの、家庭の事情で一度辞退。再び加入する際に特例措置として彼女を中心に“ひらがなけやき”が立ち上がり、オーディションで11名が加入した。ライブはそんなグループの歴史をなぞるように、長濱が過去のライブで見せた「聴いてください、『ひらがなけやき』」という曲振りVTRを経て、彼女たちの“最初の楽曲”「ひらがなけやき」がスタートした。

 ビジョンには『おもてなし会』『欅共和国』『欅坂46ワンマンライブ』といった過去のライブの映像が、会場にいる同じメンバーの顔と重ねて映し出される。MCではキャプテンの佐々木久美が「改名は皆さんと一緒のタイミングで知ったので、ご挨拶ができないままで。最後にひらがなけやきとしてのご挨拶ができればと思って、この形にしました」と今回のライブの意図を説明。その後、彼女たちの代表曲のひとつであるライブアンセム「誰よりも高く跳べ!」を披露。佐々木久美が「ひらがなけやき最後の『誰跳べ』だぞー!」と煽るなど、ライブを通して成長した姿を見せつける。学業のため休業している影山優佳や、長濱ねるのソロパートもしっかりとVTRで表現し、“12人のひらがなけやき1期生による最後の「誰跳べ!」”がエモーショナルに立ち上っていた。

 その後のVTRでは、欅坂46という壁が彼女たちに立ちはだかっていたこと、ひらがなけやきだけの魅力を探してもがいていた時期の裏側、初のワンマンライブである2017年3月21日と22日のZepp Tokyo公演と、そこで発表されたZepp全国ツアーを通して、自分たちの強みを勝ち取ったことが映し出された。VTRの最後には、同年7月6日のZepp Nagoya公演の開演前、メンバーに声をかける佐々木久美の姿が。「不安なこともあるかもしれないけど、楽しめばそれがきっと伝わるから」。ひらがなけやきの最大の魅力といっていい“ハッピーオーラ”は、このあたりからしっかりと色を帯びていった。

 その後は「僕たちは付き合っている」「永遠の白線」と続け、長濱の欅坂46専任による衝撃や、その空いた椅子を“埋めない”ことで前に進んだ「それでも歩いてる」を終えたところで、VTRは2期生加入の瞬間へ。登場した2期生は、『おもてなし会』を思い出させる乃木坂46のカバー「おいでシャンプー」を披露する。この短い期間でパフォーマンス面で大きく成長し、ひらがなけやきとしての個性をさらに増大させた彼女たちの成長を改めて実感した。

 1期生による「イマニミテイロ」を経て、楽曲は初の単独アルバム『走り出す瞬間』のパートへ。この日初めて1期2期が合同でパフォーマンスした「ひらがなで恋したい」、小坂菜緒の存在感が際立った2期生単独の「半分の記憶」、リード曲としてこの時期を駆け抜けた「期待していない自分」と、ライブの勢いはさらに増していく。

 そんななか、加藤史帆から「ひらがなけやきとしての楽曲はこれが最後になります。私たちがいつもハッピーでいられるのはみなさんのおかげです!」と“終了宣言”が飛び出し、最後に披露したのは、ひらがなけやきのコンセプトを曲名に冠した「ハッピーオーラ」。楽曲中には改名直前のタイミングでひらがなけやき3期生として加入した上村ひなのが登場。体調不良で不参加となった濱岸ひより、休業中の影山を含む21人のひらがなけやきにハッピーなお別れを告げた。

 冠番組『ひらがな推し』(テレビ東京)でもオンエアされた改名時のVTRのあと、ビジョンには「一本の欅から、青空が生まれる」というメッセージが映し出され、新たな「overture」とともに“日向坂46”となったメンバーたちが登場。小坂がセンターを務めるデビューシングル表題曲「キュン」をパフォーマンスした。作編曲を野村陽一郎が手がけたこの曲は、タイトルのフレーズを使った頭サビかと思いきや、それとはまた別のキャッチーなサビが存在する“二段階”のサビを持つ楽曲。1列目には加藤、齊藤京子、柿崎芽実、佐々木美玲とセンター経験者が取り囲み、3列目センターに上村が位置する、新しさと盤石さを兼ね備えた布陣だ。

 その後のMCで佐々木久美が“おひさま”(ライブを目前にしたSHOWROOMで決まった、日向坂46ファンの総称)への感謝を述べ、上村が初参加となった「キュン」について「私にとっても宝物なので、たくさん聞いてくださいね!」とお願いし、会場中がメロメロになったあとは、さらなる新曲ラッシュが続く。御子柴リョーマが作編曲を手がけ、引き続き小坂がセンターに立つ「ときめき草」、作曲を西井昌明、編曲を若田部誠が手がけた1期生曲「耳に落ちる涙」、サトウシンゴと長田直也による2期生曲「沈黙が愛なら」、野井洋児が手がけ、高本彩花をセンターに加藤・佐々木美玲・佐々木久美・小坂が顔を揃えた“専属モデルユニット”による「Footsteps」と、デビューシングル『キュン』収録の楽曲を初披露した。

 「誰よりも高く跳べ!」あたりから今に至るまで、サウンド面からみた彼女たちの代表曲における“らしさ”を紐解くならば、「ベースラインが耳に残る」「キックの音がイーブン」「歌謡曲チックなメロディ」が挙げられると思う。GSサウンドを今のアイドルポップにアップデートしたもの、とするのは言い過ぎか。しかし、今回の日向坂46名義の楽曲たちをライブで聴いた時、かつての楽曲との共通点として感じられたのは事実だ。今後はバラードなども増えてくるだろうが、看板になる曲はその“グルーヴ”を継承していくのかもしれない。

 その後は欅坂46『黒い羊』の収録曲である「君に話しておきたいこと」と「抱きしめてやる」を披露。ライブ初パフォーマンスとなった「抱きしめてやる」は、強力なギミックの施された1曲。編曲は若田部誠が、作曲をバグベアが手がけているのだが、サビの振り付けの一部は同作曲者の過去作であり、坂道の先輩である欅坂46「サイレントマジョリティー」の動きそのもの。実質ひらがなけやき名義では最後の楽曲である「抱きしめてやる」にその振りを取り入れたのは、“欅の木”から枝分かれしても、その始まりは欅坂46であった、ということを示す、グループとしてのリスペクトを込めたものなのだろう。

 客席のペンライトが綺麗に七色に分かれた「JOYFUL LOVE」のあと、本編最後では「シングルには収録されない、この日のために用意された曲」として、新曲「日向坂」がパフォーマンスされた。イントロからエレピの音が鳴り、どんなファンクナンバーが始まるのかと構えてしまったが、彼女たちらしい、大団円に向かうライブにぴったりのスケールの大きな楽曲だ。〈唇噛み締めながら頑張ってきた〉日向坂のメンバーが〈やっと空が広がり 僕たちにも陽が当たる〉と歌う姿が眩しかった。

 アンコールでは、佐々木久美が「ライブは大好きだけど皆さんがいないと成立しない。デビューする前から一緒に坂を上ってくれるみなさんがいてくれて、すごく嬉しいですし、絶対後悔させないグループになります。そんなに上手くいかないことも沢山あったり、悩んだこともあったけど、デビューが決定して、漢字欅さんに学んだことも沢山あったし、漢字欅さんに恥ずかしくないグループになっていきます」と決意を新たにし、「NO WAR in the future」「約束の卵」を披露して、今回のライブは終了した。

 先述したアンコールでのMCで、佐々木久美はこうも述べていた。

「日向坂46のグループカラーは空色なんです。空色って水色みたいな色ですけど、本当の空は時間帯とか天気によって色々変わるじゃないですか。そんな色んな色に変わるのが私たち。どんな色にも染まれるグループになりたいと思います」

 かつての先輩たちがそうであったように、数々の表現形態を経験し、様々な色に染まってみることで、それぞれの個性は色んな花となって開く。日向坂46がこの先、どんな鮮やかな空模様を見せてくれるのか、今はただ楽しみで仕方ない。(取材・文=中村拓海)

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