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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

第8回

アンジュルム和田彩花の「アートに夢中!」

フィリップス・コレクション展

月2回連載

19/1/20(日)

今回紹介するのは、三菱一号館美術館で開催中の『フィリップス・コレクション展』。1921年、アメリカで近代美術を扱う初の美術館として開館したフィリップス・コレクション。裕福な実業家の家庭に生まれ、美術に対して高い見識を持つダンカン・フィリップスの鋭い審美眼で選ばれたコレクションから、名だたる巨匠の作品ばかりが来日している同展。和田さんはどの作品に心奪われたのだろうか。

 まさに私が一番好きなモダンアート、そして巨匠が揃った展覧会。これも、これもある! とすごく興奮してしまいました(笑)。
 今回の展覧会は、誰か一人の作家をじっくり知るとか、何かテーマがあってそれに沿った作品が並ぶというものではありません。フィリップスさんという人がその眼で選んだ絵を、単純に楽しむということができました。最近そういうふうに思うこと、そういった感覚を失ってしまっていたなと反省です。

“空間の魔術”に魅せられる
マネの《スペイン舞踏》

エドワール・マネ《スペイン舞踊》1862年 油彩/カンヴァス フィリップス・コレクション蔵 The Phillips Collection

 もちろん触れなければいけないのは、私の一番好きな画家、エドゥアール・マネ(1832〜83)の《スペイン舞踊》ですね。マネがまだまだいろんなものを吸収している、初期に近い作品です。

 私はマネの絵の前に立つと、感覚がクラッとしてしまう体験がよくあります。それはどうしてかというと、画面の中の空間が歪んでいることが多いから。この作品もよく見ていただくと、どこか変だと思いませんか? 明らかに遠近法などは無視され、背景がどこか切断されているように見えます。壁がどこまで続いているのか、部屋の中の境目も曖昧です。そして描かれた人物たちも、生身の人間というより、人形のように見えます。そこに息遣いや動きが見て取れない。だからか、ミニチュアのドールハウスの中を覗いているかのような感覚に陥るんです。

 空間に対して人間がすごく小さく描かれているように感じるのですが、それは境界線が曖昧で、きちんと描かれているわけではないのに、天井が低く感じ、床面積が広いから。しかも人の寸尺もおかしく、ギュッと潰しているかのよう。そしてマネはいったいどこからの視点で描いているのかがわからない。俯瞰しているわけでもないし、真正面でもないし、下からでもない。なんだか不安定な視点なんですよね。

 そのなんとも言えない“空間の魔術”をかけるのがマネの魅力のひとつです。でも、時代が経つにつれてうまくなってしまうので、どこで空間が歪んでいるのかっていうのが、反対に難しくなってしまって、明確にはわからなくなってしまう(笑)。

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