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ストレイテナーが貫き続ける“自分たちの信じる音楽” 未来への歩みを進めた幕張ワンマンを見て

リアルサウンド

19/1/27(日) 10:00

 メジャー10thアルバム『Future Soundtrack』や、ファン投票を元に収録曲を決めたベストアルバム『BEST of U -side DAY-』『BEST of U -side NIGHT-』のリリース、全国ライブハウスツアー『My Name is Straightener TOUR』の開催と、多数のトピックとともに駆け抜けた結成20周年を締めくくる、ストレイテナーの幕張ワンマン。遅ればせながら、私は今回初めてストレイテナーのワンマンライブを観た。今思えば、ストレイテナーの活動が始まった頃は小学生にもなっていなかった。音楽に興味を持ち、彼らの存在を初めて知った時にはすでにシーンの真ん中にいたため、“ロックリスナーや後輩バンドに慕われる、偉大な実力派バンド”というイメージをかねてから抱いていた。

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 だから、冒頭のメンバーを端的に紹介するVTRの中で、若き日のナカヤマシンペイ(Dr)が身体ごとドラムセットに突っ込んでいっているのを見た時は正直ビビッてしまったし、「BERSERKER TUNE」の獰猛なグルーヴは新鮮に感じられた。元来これほど尖っているバンドが、今では8,000人のファンに囲まれながら、突き上がる拳、張り上げられた歌声の中で演奏をしている。この光景はとても感動的だが、同時に非常に珍しいものであるように思えた。

 ストレイテナーが多くのロックファンに愛されるに至った理由は何だろうか。捻くれていると自称しているのに“まっすぐにする人”という名を持つこのバンドは、この20年間、何を貫き、何に対し自由であり続けたのか。そのことについて考えてみた。

 まず、ストレイテナーは“バンド自身を更新すること”を怠らずにやってきたバンドだった。それは今回のライブでも同様。アニバーサリーライブとなれば、これまでの道のりを振り返るような構成にもできたと思うが、そのような場面は、「BERSERKER TUNE」直前の、ホリエアツシ(Vo/Gt/Key)→ナカヤマ→日向秀和(Ba)→大山純(Gt)の順に音を重ねたセッションのみ。演奏曲の半数は2013年の日本武道館公演以降に発表されたものだった。選曲には「今日はもう次に行きたいなって思って。今までのストレイテナーじゃないものを見せたいわけですよ」(ホリエ)と語るこのバンドの現在進行形っぷりがよく表れていたし、その中に、ベスト盤収録曲(ファンに支持されている曲)が多かったことも特筆しておきたい。それはつまり、バンドの進化をファンも歓迎し、それを追うことを楽しんでいるのだということだ。

 今回のライブのタイトルは「21st ANNIVERSARY ROCK BAND」。これはもちろん、1つ前のベストアルバムのタイトル『21st CENTURY ROCK BAND』をもじったものであるが、それだけでなく、結成20周年を”締めくくる”――つまり21年目以降に向かっていくためのライブであるのだという意思が込められているのだと読み取ることもできる。また、客席を見る限り来場者の年齢層は幅広かったが、ライブ終盤にホリエが語っていた“来る者拒まず去る者追わず”的なバンドのスタンスも、ファンにとっては心地よいものなのかもしれない。みんなそれぞれの人生があるのだから、いつかストレイテナーの音楽が必要なくなる時が来るかもしれないが、人生のどこかでまた出会うことができたならそれでいい。懐の深い発言を支えるのは、バンド自身に対する確かな自信ではないだろうか。

 そして、普段のライブハウスより圧倒的に大きな会場でも、ストレイテナーは“いつも通り”の感覚でステージに立っていた。高精度でしなやかなアンサンブル、鳴る音一つひとつを喜びアイコンタクトを取り合うメンバーの姿、それを観て純粋に熱狂するオーディエンス。先述のように私はワンマン初見だが、それでも、4人がいつもと変わらないように演奏していて、だからこそみんな嬉しくてしょうがないのだということは十分に伝わってきた。そのくらいナチュラルな高揚感だったのだ。3曲目の「Alternative Dancer」では〈踊ろう いつもの僕らのように〉と歌詞が替えられ、歓声が上がる場面も。幕張メッセであれだけゆるいMCができるバンドも他にはいないだろう。

 ライブを通じてバンドの軸がはっきりと打ち出されていたからこそ、わずかながら存在していたお祭り的要素も全体の演出と馴染んでいた。例えば、アリーナエリア中央部のサブステージに移動するシーン。サブステージと言えば音響などの関係で通常アコースティック編成での演奏となるケースが多いものだが、彼らの場合はここであえてダンスチューンを鳴らすことを選択。ミラーボールを回しながら「瞬きをしない猫」「KILLER TUNE」「DISCOGRAPHY」を連続で演奏。バッキバキのバンドサウンドを轟かせた。会場に入りサブステージの存在を確認したあと、「アコースティックをやるのかな?」などと軽率に推測してしまったことが恥ずかしい。この捻くれっぷりが自分たちらしいのだと、4人は大笑いしていた。

 また、中盤では秦 基博が登場。秦と共に演奏したのは、リリースから1年を経てライブ初披露(!)の共作曲「灯り」、そしてハイテンポにアレンジされた秦の楽曲「鱗(うろこ)」(このバージョンを“疾走鱗”と呼ぶらしい)。バンドサウンドの上を悠々と泳いでいくような秦の歌声も素晴らしいが、どこまでも伸びていってしまいそうなホリエの歌声もすごい。両者のボーカリストとしての実力に唸らせられた。

 未来のことはまだ分からないと前置きしながら、ホリエは、「でも1つだけ確実なことは……ストレイテナーは今までもこの先も、ずっとこの4人でやりたいと思います。俺たちは自分たちの信じる音楽を作って、みんなと楽しいライブをやるだけです」というふうに語っていた。そのまっすぐな戦い方こそがストレイテナーを輝かせ、そうしているうちに彼らはいつの間にか、シーンの真ん中に立っていたのだろう。ビリビリとした衝動を身に纏っていたあの頃も、豊潤な音楽を鳴らすようになった今も、もしかしたら、貫くべきことは何一つ変わっていないのかもしれない。留まることなく旅を続けるのだという意思を歌う「ROCKSTEADY」で以ってライブは締めくくられたのだった。(蜂須賀ちなみ)

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