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V系バンドが他ジャンルフェスで残した爪痕 lynch.『ROCK IN JAPAN FES』出演への期待

リアルサウンド

19/5/25(土) 8:00

 先日ヴィジュアル系バンドのlynch.が8月10日の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』に出演することが発表され、ボーカルの葉月は自身のTwitterに「夏空の下に闇属性が参ります」と悪魔の顔の絵文字と共に投稿した。この発表でSNSは大きく賑わい、lynch.の名がTwitterでトレンド入りを果たした。本稿では彼らが真夏の太陽降り注ぐフェスのステージに降り立つことに、どんな意義があるのか紐解いていこうと思う。

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 8月10日には、同じくヴィジュアル系のMUCCも出演する。彼らは何度も同フェスへの出場経験がある。もともとMUCCはアニメのタイアップやメタル系フェスへの出演などV系以外の音楽好きの耳にも届く機会が多く、エレクトロやヘヴィネスを見事に昇華した完成度の高い音楽性ですでに他ジャンルにも多くのファンを獲得しているバンドだ。過去には『SUMMER SONIC』などにも出演しており、V系の夏フェス進出の先駆者ともいえるだろう。

 さらに、2018年の『氣志團万博』にはthe GazettEが登場。このように、今までは縁遠かった他ジャンルフェスとV系という文化が近しくなりつつあるような動きがここ数年で見られるようになってきているのだ。ではメイクをし、ダークな世界を構築している彼らは、一見真逆ともとれるフェスの空気感の中でどのような爪痕を残しているのだろうか。

 過去のフェス出演の中で、MUCCは一歩引いて見られることもあったようだが、彼らの演奏力の高さによりその一歩をあっという間に詰めた。いつからかV系はメイクをしてチャラチャラしているから演奏がヘタ、というデマのような思い込みが蔓延しているのだが、それらを軽く吹き飛ばすような圧巻のサウンドメイクと説得力のあるパフォーマンス。軽い気持ちで覗きに来た観客の足に根を張り、心を奪っていった。

 また『氣志團万博』にthe GazettEが出演した際には開演前から客席前方にいわゆる“バンギャ”が集結。後ろ半分に他ジャンルのファンが集まるといった状況だったが、いざ彼らの轟音が鳴り響くやいなや、前も後ろも関係なく激しいヘッドバンギングの嵐に。皆一様にギラついた様子で彼らのパフォーマンスを楽しんでいた。

 このように過去の例を見ても、V系の他ジャンルフェス進出はとても良好な状況のように感じる。しかし、ここまで例に挙げたMUCCやthe GazettEは武道館公演などを成功させるような、V系界隈でもかなりのビッグネーム。かつ音楽性は他ジャンルに通ずるものがあるし、大きな舞台の場数も段違いなのだ。

 では、果たしてそういった場慣れしているバンドしかフェスで受け入れられないのだろうか?

 そうではないことを証明する事例を挙げよう。『ニコニコ超会議』である。過去にはアルルカン、ペンタゴンといったいわゆるV系らしい音楽性の若手バンドが多々出演しているのだが、どのバンドも大盛況。ライブの模様は生中継され、ニコニコ動画上でコメントが付くのだが、最近ではアルルカン出演時には最初はアウェーだったコメント欄が、みるみる彼らを称賛する声に変わっていった。彼らは自分達のノリを強制せず、「よくわからないだろ、適当に真似してろ!」と自由に楽しむよう観客に投げつつ、思わず身体を動かしたくなるような楽曲を畳みかけた。コメント欄は「さすが盛り上げ方が違う」、という文字で溢れた。日頃、いかに自分達を知らない観客を楽しませることが出来るかを考え続けている彼らが生むエンタメ性が、会場にいた観客だけでなく画面越しに見ていた視聴者すらも引き込んだに違いない。

 V系文化が他ジャンルイベントでも楽しまれつつある最中、満を持してlynch.が『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』の舞台へ上がる。過去には『COUNTDOWN JAPAN』、『A.V.E.S.T』といったイベントで音楽ファンの心を完全に掌握。ライブが終わる頃にはフロア全体から怒号にも似た大歓声を浴びるなど注目度を上げ、出演する度にTwitterでトレンド入りを果たしてきた。

 MUCC、the GazettEに引けを取らない演奏力、コアなファンすら唸らせるヘヴィサウンド。さらに、初見の観客を惹きつけるキャッチーなメロディセンスと自然と身体が動かされてしまう明瞭なライブパフォーマンス。lynch.は、過去に様々なV系バンドが他ジャンルイベントで受け入れられてきた全ての要素を兼ね備えていると言えるだろう。

 この日の彼らのパフォーマンスを観て他のV系バンドにも興味が湧いた、反対にlynch.を観に来たけど他のバンドもかっこよかったと、いった声が溢れるのではないだろうか。

 徐々に開きつつある、V系というジャンルを囲う壁。その風穴を大きく広げ、音楽ファンが自由に行き交う道を切り開くのはlynch.なのかもしれない。(タンタンメン)

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