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ナユタン星人、はるまきごはん、ピノキオピー……自らの意志が強く表れたMVを生み出すボカロP

リアルサウンド

18/11/25(日) 10:00

 MV(ミュージックビデオ)は、アーティストや、個々の楽曲のイメージを可視化させるために使われる映像作品だ。ネットでの活動を主とするボカロP、歌い手におけるMVも、年々花を咲かせており、いまやアーティストの世界観を印象付ける強力な武器の1つだと言っても過言ではない。初音ミクが誕生した2007年当初は、一枚絵で描かれるシンプルなMVが多かったが、いまではプロ並みのアニメーションを施したMVも生み出されるようになった。ほとんどの場合、ボカロPが絵師(イラストレーター)とタッグを組み、共同でMVを完成させるが、中には、作詞・作曲・編曲もさることながら、1人でMVの絵・動画までをも手がけるボカロPも存在する。1人でMVも含めた作品を完成させることで、自身の理想とする世界観を築き上げているのだ。今回はそんな自らの意志が強く表れているMVを生み出すボカロPを取り上げたい。

(関連:そらる、動画投稿から広がった音楽活動への思い「知ってもらえるきっかけを増やしていきたい」

■ナユタン星人

 2015年7月に「アンドロメダアンドロメダ」でボカロPデビューしたナユタン星人。“地球から10の60乗光年(1那由他)離れたナユタン星に生まれた宇宙人”を自称している。2018年8月にリリースした3rdアルバム『ナユタン星からの物体Z』で、2016年、2017年と続けてリリースしたX、Y合わせて全三部作が揃った。一度耳にしたら病み付きになる中毒性あるバンドサウンドは、主に恋と宇宙がテーマ。MVには、赤・青・緑の背景にナユタン星人作の脱力感ある“アンドロメダ子”、“アンドロメダ男”の愛称で親しまれるキャラクターが登場し、主張の激しい文字が印象的な一枚絵のMVだ。ハイスペックなMVが生み出される中、あえてシンプルにみえるMVを手がける制作意図の裏側には、技巧を凝らしたアニメーションMVが作れないボカロPであってもシーンに参入できるようにという彼なりの思いが働いているという(参照:ナユタン星人『「ナユタン星からの物体Z』インタビュー/音楽ナタリー)。その理由を知れば、一枚絵がより輝き、より彼が魅力的に映ってくるだろう。

■はるまきごはん

 音声ファイル共有サービス・SoundCloudでVOCALOID楽曲の投稿をはじめ、2014年2月に初音ミクオリジナル楽曲「WhiteNoise」をニコニコ動画に投稿し、ボカロPとしての名を広めることとなったはるまきごはん。彼のターニングポイントは、2016年1月に投稿し、初の殿堂入りを果たした「銀河録」。同曲を皮切りに界隈で一気に注目を集める存在へと飛躍した。アンビエント寄りのエレクトロポップサウンドに、チャーミングな調声を施した初音ミクの歌声が、センセーショナルな歌詞をより一層リリカルに仕上げる。しかし、彼の最大の魅力を知る上では、MVが欠かせない。MVに描かれるのは、ファッショナブルな彩りで魅せた現実とは一線を画すバーチャルな世界。例えば、「アスター」のMVでは、オリジナルの手書きフォントを使うなど細かいこだわりも見える。新しい幻想的な価値観をもたらしてくれるのが彼のMVなのだろう。そんなはるまきごはんは12月26日にニューアルバム『ネオドリームトラベラー』をリリースする。それに付随して、コラボカフェ「ごはんキッチン 下北沢」、ミニライブ&サイン会発売記念イベントのほか、2019年3月2日には本人歌唱によるバンド編成、アニメーション映像による初のワンマンライブ『ドリーム シネマ』も開催予定だ。

■ピノキオピー

 2009年2月に「ハナウタ」でボカロデビューしたピノキオピー。2011年1月に公開された「腐れ外道とチョコレゐト」は彼の代表作である(11月22日現在、ニコニコ動画では240万回再生)。初音ミクへの思いを歌った2017年8月公開の「君が生きてなくてよかった」や、ボカロはダサいけど楽しい、と歌った同年12月公開の「ボカロはダサい」など、ボカロの根本、さらには人間をテーマとしているのが彼の楽曲の特徴だろう。それらに一貫しているのは、それぞれの価値観の多様性を容認し、最終的にはポジティブな思考へと収斂させるところだ。そんな歌詞からは、自分の気持ちには正直でいたいという彼の心の在り方が表れている。MVに度々登場するピノキオピー作の“アイマイナちゃん”、”どうしてちゃん”の愛称で親しまれるキャラクターにしても、初音ミクを描くことが多いことにしても、彼が初音ミクへの愛が強いボカロPだということを象徴づけているといえる。そんな彼は、すでにアーティストへの楽曲提供も決まっており、祭nine.の12月5日リリースのシングル『がってんShake!』パターンD収録曲「勇者なら」では編曲を担当する。

 このように、MVは音源のみでは伝えきれない思いを絵によって可視化させることで間接的に伝える役割を担っているとも言える。MVをじっくりと観ることでアーティストのさらなる魅力に気付くことができるのだ。今後も、どのような主軸で新たなMVが生み出されていくのかを心待ちにしたい。(小町碧音)

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