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福士蒼汰が語る、役者としての現在地 「ようやく自分の足で、振り出しに戻ってもいい」

リアルサウンド

18/10/26(金) 13:00

 2018年公開作では『曇天に笑う』や『BLEACH』など、アクション俳優としての活躍が目覚ましい福士蒼汰。彼の次なる主演作『旅猫リポート』が10月26日より公開された。

 数々の賞を受賞した有川浩の同名作を実写化した本作は、1人の青年と1匹の猫が新しい飼い主を探す旅物語を通して、人間同士の関係を超えた2人の絆を描いた物語。「自分自身を投影してキャラクターを作りました」と語る、主人公の悟役を演じた福士蒼汰にインタビューを行った。

【写真】福士蒼汰撮り下ろしカット

■「こちら側が信じてあげることが大事」

ーー有川浩さん原作作品への出演は『図書館戦争』に続いてですね。

福士蒼汰(以下、福士):はい。今回は主役として出演させていただいたので、初めは有川先生の作品という意味ですごくプレッシャーを感じました。ですが、現場に入ってからは、役に関してすごく自由にやらせてもらうことができて、すぐ慣れていきました。有川先生は現場にも頻繁にいらっしゃったのですが、お会いする前の方が緊張していたなと思います。有川先生の作品の登場人物は基本的に良い人が多いんです。『旅猫リポート』に至っては悪い人は1人も出てきません。キャラクターがすごく魅力的なので、感情移入しやすい作品が多い気がします。

ーー現場で有川さんとはどんな話を?

福士:猫の話しかしていないです。有川先生自身が猫を大好きでいらっしゃるので。そうですね……本当に猫の話しかしてないです(笑)。

ーー今回その猫のナナちゃんと共演して、どんな魅力に惹きつけられましたか?

福士:ナナは、毛がくりくりしていて、自分の好きな外見だったんです(笑)。以前トイプードルを飼っていたのですが、猫版のトイプードルのようで、抱き心地も良くて。ツンが多い猫ですが、デレた瞬間が特別可愛いんです。たとえツンデレの割合が何パーセントずつでも、両方持っていたら可愛いんだなと思いました(笑)。 あと、舌がとてもザラザラしていて、舐められるシーンの時にちょっと痛いくらいだったので、それはびっくりしました。

ーー悟とナナのように、人と動物が通じ合う関係性は素敵だなと感じました。

福士:実際は猫が何を考えているかは分からないから、本当に聞いてみたいです。でも、こちら側が信じてあげることが大事なのかなと。信頼関係を築くのは、お互いがそう思わないとダメだと思うんです。片方が相手を思わなかったら、信頼関係は生まれないので、人間から動物に信頼を寄せてあげることで、その関係性が生まれるんじゃないかと思います。まずこちらからやってあげることが大事なのかもしれません。

■「装わないというのを大事に」

ーー回想シーン以外では、一切悲しい過去などを彷彿とさせない悟の姿が印象的でした。

福士:悟は過去に色々な経験をしているんです。でも、その背景がエネルギーになって、人に依存しない性格や、優しい部分が生まれてくるのだろうと思ったので、その根本の部分はどのシーンでも忘れないよう、大事に肝に据えて置こうと意識しました。悟は、自分自身を投影してキャラクターを作っていった部分が大きかったのですが、出来上がった作品を観た時に、悟がこんな映り方するんだというのは、新しい発見でもありました。

ーー今年は『曇天に笑う』や『BLEACH』などアクション作品への出演が印象的でしたが、本作のようなハートフルな作品の主人公を演じる時に意識したことはありますか?

福士:『曇天に笑う』や『BLEACH』など原作が漫画である作品は、キャラクターを着なければいけないんです。今回に関しては、強いキャラクターがあると、逆に人の心が見えにくくなってしまうから、あまり装わないというのを大事にしていました。

ーーアクションだと臨場感などが醍醐味になってきますが、『旅猫リポート』にはどんな楽しみ方があるのでしょうか?

福士:アトラクションではなくて、絵画を見ているような感覚なのかもしれません。同じ映画でも文系な作品というか。だから観る人によっても感じ方が違う作品になると思っています。アクションは、ジェットコースターのように「これ乗ったら楽しいよ!」という感じで、観る方全員を楽しませる方に持っていくことが多いと思うんです。今回のような作品は、絵画を見た時にその方たちがそれぞれの感想を持たれるように、観る方それぞれの受け取り方をしていただけたらと思います。

■「1ミリサイズだとしてもひとつ“愛情”があれば」

ーー現場でのナナちゃんを含めた共演者とのやり取りはありましたか?

福士:意図はしてないと思うんですが、共演者に動物好きが多くて(笑)。広瀬(アリス)さんは今、猫と犬の両方を飼っているらしく。猫の可愛い部分、犬の可愛い部分を大野(拓朗)さんと話したりもしました。

ーーナナちゃんが一番なついていた人は?

福士:トレーナーさんです(笑)。 自分は一緒にいることが多かったので、映画内で言ったら自分なのか、悟なのか? という感じでしょうか……。悟を演じたことで猫に対しての想いが、すごく大きくなっていったのは事実で、自分自身は飼ったことがあるような感覚になってしまうくらいでした。

ーー悟とナナちゃん、そして友人や家族のつながりが軸に描かれていきますが、人とのつながりについてはどのように考えていますか?

福士:色んなつながり方があると思います。でも、小さくてもいいから“愛情”があると、つながることができるのかなと思います。サイズは色々あって、どう向かっていくのか方向性も違うかもしれないけれど、1ミリサイズだとしてもひとつ“愛情”があれば。

■「振り出しに戻ってもいいなと感じています」

ーー福士さん自身、役者としての現在地はどう考えていますか?

福士:ようやく自分の足で、振り出しに戻ってもいいなと感じています。「『振り出しに戻る』を踏んじゃった!」ではなくて、「『振り出しに戻る』を踏んでみようかな」と思えるというか。一からまた役者というものを考えてみるようなことをしてもいいのかなと。これから先は、今までダッシュで駆け抜けていたマスを一個一個、どんなマスがあったのかを確認しながら、進んでいけたらいいなと考えています。

ーーこれまでのキャリアの中で、『旅猫リポート』は福士さんにとってどういう作品になりましたか?

福士:今回、自分を投影したキャラクター、自分の要素が大きいキャラクターとして悟を演じて、自分自身が出演している完成作品を観て泣いたのは初めてでした。すごく不思議な感覚のある一作になったと思います。ただ感動できたという作品でもなくて、作っていく過程を含めて新しい発見がたくさんあって、猫や役者としての自分自身に対しても多くのことに気づかされた作品になりました。

(大和田茉椰)

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