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伊万里有が語る、俳優/歌手としての強みと表現への意欲「両方の視点で物事を見ることができる」

リアルサウンド

19/4/3(水) 18:00

 人気ミュージカル『刀剣乱舞』で刀剣男士の長曽祢虎徹を演じ、昨年大晦日には『NHK紅白歌合戦』に出演するなどして注目を浴びている俳優、伊万里有。昨年8月に1st EP『My Name Is…』で念願の歌手デビューも果たした彼が、2nd EP『My Love Is…』を完成させた。プロデュースは前作に続き、三浦大知やEXILE TRIBEなどの楽曲を手掛けるUTA、SUNNY BOY、そして新進プロデュースユニットのD&Hが担当。アーバンな香りを漂わせるR&B/ポップスが展開されている。中学時代にヒップホップに夢中になったという彼が、どのような道を歩んで音楽活動を始めたのか。新作EPに込めた思いを中心に、アーティスト・伊万里有のこれまでとこれからを語ってもらった。(猪又孝)

恐怖心が探究心に変わった 

ーーまずは昨夏の1st EP『My Name Is…』を振り返りたいんですが、リリース後のリスナーの反応をどのように受けとめていますか?

伊万里有(以下、伊万里):最初に「音楽をやります」と発表したときの反応は、普段、舞台役者をやっているせいか、マイナスに受けとめられている印象が強かったんです。ただ、UTAさんやSUNNY BOYさんが作った楽曲だったんで自信もあって。いざ出してみたら、アーティストとしての顔を印象づけることができたし、逆に音楽で僕のことを知ってくださる方も結構いて嬉しかったですね。音楽を聞いてイベントに来てみたら「伊万里くんって役者なの?」みたいな。そこから舞台を見に来て下さるようになったファンの方もいらっしゃって。入り口をもう1つ作れたと思うし、最初は不安だったけど、足を踏み入れて良かったなと思いました。

ーー昨年8月26日にお台場ヴィーナスフォートで行ったイベントでは、ライブも行いました。歌手としてステージに立ってみてどうでしたか?

伊万里:ミュージカルで大きい舞台、それこそ日本武道館とかさいたまスーパーアリーナには立たせてもらいましたけど、決められた役で立つのとはまったく違って、素で楽しめましたね。自分が好きな楽曲、好きなテイストで、伊万里有としてステージに立てたというのは全然違いました。

ーー大袈裟に言うと、夢が叶った感じもありますか?

伊万里:デビュー前にヴィーナスフォートの隣のゴハン屋さんで食事をしていて「あそこでできたらいいな」と話してたことがあるんです。小さな夢かもしれないけど、それが本当に現実になったなっていう思いはありました。

ーー当日は緊張しましたか?

伊万里:ステージに出るギリギリまでフザけてました(笑)。舞台とかで人前に立つことに慣れちゃってるんで、緊張しなさ過ぎてヤバかったです。

ーー歌手としてのファーストステージなのに!?

伊万里:自分でも緊張するかなと思ってたんですけど、全然しなかったですね。ひたすら楽しかった。1曲目の「I’m Talkin To U」はフリーで歌って、2曲目の「My Place」は振付があったんです。バックダンサー2人をつけて3人で踊ったんですけど、振付の練習が2時間しかなかったんですよ。しかも、練習のあとは大阪のリリイベに行かなきゃならなかったんで、2時間しか合わせてない状態で当日を迎えて。本番前に30分くらい合わせて出たんですけど、緊張というより、振付覚えてるかな? ちゃんと踊れるかな? っていう不安がありました。今回の初回盤に付くDVDには、その「My Place」のパフォーマンスが入ってるんで、そのときの様子を見てもらえると嬉しいです。

ーーCDリリースやリリイベ、ライブなどを経て、アーティスト・伊万里有としての気持ちにどんな変化が起きていますか?

伊万里:楽曲をリリースする前は恐怖心があったんです。めちゃくちゃ音楽が好きだったぶん、自分に表現できるんだろうか? っていう目に見えない怖さがあって。でも、フタを開けてみて、それが探究心に変わりました。それまでに比べて表現に対する視野も広くなりましたね。

ーー以前、別の媒体で取材したときに、音楽が好きだからこそ距離を置いていた時期があると話していましたよね。

伊万里:小学生の頃はパンクロックが好きで、中学生になった頃から兄姉の影響もあって洋楽のヒップホップやR&Bを聞くようになったんです。その影響でダンスを始めて、本当はダンスの専門学校に行きたかったんですけど、親の承諾を得ることができず美容専門学校に進みました。ただ、美容専門学校に行きだしたらめちゃくちゃ時間がなくて。平日は朝から夕方まで学校で、終わったらバイト。生活費を稼ぐために土日もバイトで。

ーー音楽どころじゃなくなった。

伊万里:美容師になったらなったで余計それどころじゃないし。結局、その生活に疲れて美容師を辞めることになって、空白の時間を埋めるためにスケボーとかBMXをやり始めたら、自分の中に音楽が戻ってきたんですよね。そういうストリートスポーツと音楽はセットなんで。で、やっぱり音楽が好きだなと思っていたときに、BMX仲間を通じて偶然ディーン・フジオカさんと出会い、彼に「俳優になったほうがいいよ」と言われて、この世界に入ったんです。その後、小劇場とかに出演していたんですが音楽との繋がりはゼロなんですよ。別になにもない。そういう状況がしばらく続いたこともあって、一度、この世界を辞めて、福岡でバーテンダーをやってた時期もありました。

ーーそんな伊万里さんの音楽愛に火を付けることになったきっかけは?

伊万里:福岡にいるときに今のマネージャーさんに声を掛けて頂き、また東京に戻ってきて舞台の活動を始めるんですけど、『刀剣乱舞』に出会って、高校のときからの空白を埋めるように音楽にまた目覚めるんです。でも、当時好きだったヒップホップやR&Bとはジャンルが違うし、ミュージカルという役があっての表現だから、最初は自分の中でどう表現していいか、なかなか掴めなかったんです。

ーー好きな音楽ではあるんだけど、何かがちょっと違うと。

伊万里:そう。しかも、最初の『刀剣乱舞』のときは稽古して1カ月半くらいで本番を迎えて、そのままずっと60公演以上やってたんで、とにかく慌ただしくて。それが3年前くらいかな。

ーーでも、縁があって、自分の好きなヒップホップ/R&Bをやれるようになっていく。

伊万里:それはHOOD SOUNDのスタジオに遊びに行ったことがきっかけ。『刀剣乱舞』に出会う少し前の話なんです。そのときに、高校生の頃、DJ PMXさんのイベントとかに行ってた思い出がよみがえってきて。で、PMXさんを通じて、今のレコード会社のスタッフさんと出会い、試しにレコーディングさせてもらったんです。そのときに「いいじゃん」って言ってくださって。でも、すぐに形にすることはできないとわかっていたし、まずは今決まっている『刀剣乱舞』に集中しようと。

ーーそうしたら光が見えてきた。

伊万里:まさに。そこからの2年は舞台漬けだったんです。本当に舞台だけやって役者のことしか考えない毎日。そうこうするうちに、芝居というものが自分の中に落とし込めるようになってきて、じゃあ、次にどんなことをする? って考えたときにパッと出てきたのが音楽だったんです。そのときにもう一回、自分の原点を振り返ってみようと。地元への愛情とか自分自身のことを表現したので、1st EPを「My Name is…」というタイトルにしたんです。

ファンの人たちや家族、自分の仕事に対しての恩返し

ーー今回の2nd EP『My Love Is…』は、どのようなテーマで作り始めたんですか?

伊万里:今回は愛をテーマにしようと。LOVEを通して、ファンの人たちや家族、自分の仕事に対して伊万里有から恩返しっていう。役柄を通して愛を表現することはめちゃくちゃありますけど、伊万里有としては正直、「愛してる」とか言うことは普段ないんですよ。周りのスタッフはよく知ってますけど、僕のキャラはお笑い担当というか、愛とはかけ離れたキャラなんで(笑)。

ーー愛を伝えることに照れがある。

伊万里:ありますね。どっちかというと九州男児なんで、そんなこと絶対言えないタイプなんです。だから、普段口に出さないことを歌にして言おうと。

ーーサウンド的にはどういったものを作りたいと考えていましたか?

伊万里:一言で言うとシンプルですね。特に「離さないで」はそう。聞こえ重視というか、すんなり入ってくるというか、シンプルイズベストなものを目指そうと。LOVEを表現するにあたって、雑味がないものにしたかったんです。

ーー「離さないで」を聞いたときの第一印象は?

伊万里:眠る前に聞きたくなる曲だなって。何回も聞きたくなる曲、繰り返し聴ける曲だなぁと思いました。僕、根本的にそういうR&Bがいちばん好きなんです。

ーー包み込まれるような浮遊感もあって、優しい雰囲気が漂う曲でした。

伊万里:今回は「My Love Is…」というタイトルですが、女性が共感できるようなLoveを集めたんです。女性がこう言われたいとか、女性が聞いたら嬉しくなるようなラブソングをイメージしました。

ーー女性をうっとりさせるスウィートな曲という感じでしょうか。あまりクドくないし、爽やかさもあるし。

伊万里:そう。女性を疲れさせない曲ですね。

ーーひと口にラブソングと言っても、ほっこり系もあれば、切ない系もあります。「離さないで」はどのような気持ちを伝えようと考えましたか?

伊万里:僕の愛というよりも、どこに向かって歌えばいいかな? と考えて、“仕事”に向けて歌いました。僕のモットーでもあるんですが、常に「この仕事を一生続けたい」と言ってるんです。それって到底難しいことだと思っていて。一生続けるにあたってやらなければならないことはたくさんあるし、仕事を続けるっていう意味でも「離さないで」なんです。僕は1回この仕事を辞めて、また戻ってきているから、余計、仕事に対する愛情がファンに対する愛情にもなってるんです。だから、そういう気持ちで歌いました。

ーー歌唱にあたってのアプローチが役作りに近いんでしょうか。

伊万里:そうかもしれないです。普段、役をもらって演じてるんで。音楽の作り方がもともと歌手の人たちと違うような気はします。

ーー「離さないで」のMVは、どんなコンセプトで撮ったんですか?

伊万里:MVも女性の目線を考えてつくりました。たとえば僕とのデートとか、僕との昔の思い出とか。女性が見たときに、「伊万里くんってこういう表情するんだ」「男の人ってこういう場所ではこういう感じなんだ」とイメージできるようにしたかったんです。

ーーデートをコンセプトにした伊万里有のイメージビデオみたいな感じ?

伊万里:ですね。だから、僕は特に演じるでもなく、素で映ってます。寝起きのシーンも本当に眠かったから「眠そうだね」ってスタッフに言われたくらい(笑)。

伊万里有「離さないで」 Music Video (Edited Version)

ーー2曲目「Come Now」は、D&Hのプロデュースによる楽曲で、最近の軽やかなラテン〜レゲトンのノリを感じる曲でした。伊万里さんは最初に聞いたとき、どのような印象を受けましたか?

伊万里:僕、K-POPが好きなんですけど、この曲のデモはD&HのHさん……ヒョットコさん(Hyottoko Jr)が韓国語で歌っていたこともあって、K-POPみたいだなって。

ーー「Come Now」はどんな男女関係を歌った曲だと捉えていますか?

伊万里:2人だけの世界っていう感じかな。恋愛をしているときに、周りには見られたくない感覚ってあるじゃないですか。最後の歌詞がまさにそうですけど「俺たちだけでいい」みたいな。この曲は「離さないで」とは違って、男の強さを表現してると思います。

ーー歌詞の設定は三角関係のようにも思えたんです。密かに好意を寄せていた女性がもうひとりの男性に失恋し、その女性を慰めつつ奪う男みたいな。

伊万里:確かに。そういう捉え方もできますね。でも、歌うときはそこまでは考えてなかったです。けど、そういう強引さも愛情のひとつだろうなと思います。

ーーそういう「奪う」強さ。強引さというか。そういう男性に惹かれる女性もいるんじゃないかなと。

伊万里:そうですね。でも、前回の「Am I Your Boyfriend」に参加してくれたspiにこの歌詞を見せたとき「下ネタやん!」とも言われて(笑)。結果的にいろいろな捉え方ができる曲になりましたね(笑)。

ーー3曲目「Beautiful」は開放感のあるリズミカルなナンバーですね。

伊万里:これは歌い出しが特に好きです。見慣れてる景色も、あなたと2人で見ると光って見えて全然新しく感じるっていう。なんか高校生に戻った感じがするというか(笑)。

ーーアオハルだなと(笑)。

伊万里:そう。高校生の頃って、ひとりで帰ったらめっちゃ長く感じる帰宅路も、好きな人と一緒に帰るとすぐ家に着くじゃないですか。ひとりで映画を観るより、好きな人と観た映画はずっと印象が残るし。そういった感覚を思い出させてくれるんですよね。

ーーこの曲は爽快な中に、ほのかな切なさが漂っていて、センチメンタルな感情をくすぐります。

伊万里:切なさっていいですよね。僕も切なさ、好きなんですよ。上手くいかなかったことでも、あとで振り返ると良い思い出になるというか。そういう感覚は好きですね。

ーー中学生の頃からヒップホップやR&Bを聞いているということですが、最近はどんなアーティストをよく聞いていますか?

伊万里:最近はマジでいろいろな曲を聞いていて。Spotifyのプレイリストをシャッフルで流して聞くことが多いですね。

ーー今回のタイトル曲の題名にちなんで、伊万里有が今の気分で選ぶ“離したくない”3曲は?

伊万里:今よく聞いてるのは「リラックス」っていうテーマのプレイリストなんです。車に乗ることが多いんですけど、特に仕事帰りの車中ではうるさい音楽は聞きたくないんですよね。そのプレイリストの中だと、Mokita「Love Alone」、DJ TATSUKI「Invisible Lights feat. Kvi Baba & ZORN」、NU’EST W「Gravity&Moon」ですね。エレクトロポップとジャパニーズヒップホップとK-POPだから本当バラバラ(笑)。特にZORN が好きなんです。

ーージャンルは違うけど、チルな感じが共通してますね。

伊万里:無心になれる曲が好きだから。今回の「離さないで」も、そういう曲だと思うんです。ぶっちゃけ、歌詞は途中から耳に入ってこなくなるくらいの感覚で聞ける曲というか。ボーッと聞いていられる曲っていうのがいいんですよね。

ーーアーティストとしては今後、どのような活動を考えていますか?

伊万里:やっぱりライブをやりたいですね。あとは、こういうペースで作品制作も続けていきたいです。3枚目、4枚目、ゆくゆくはアルバムとか、そこまで繋げていきたいなと思ってます。

ーー芝居と歌の二足のわらじはどのように履きこなしていきたいと考えていますか?

伊万里:芝居は仕事、音楽は趣味という感じです。これはずっと変わらないと思います。だから二足のわらじという感覚でもないのかも。芝居の方は演出家がいて役柄もあって求められる表現をしなければいけない。でも音楽って固められる部分が芝居より少ないと思っていて。与えられた歌詞をどう歌うかとか、そういう部分から自分の表現なので。

ーー芝居より表現の自由度が高い。

伊万里:そう。そこが大きく違うんです。だから、芝居でインプットして、音楽でアウトプットする感じ。芝居をやっているから表現の幅も広がるだろうし、役者もやりながら音楽をやるから、その両方の視点で物事を見ることができる。それが僕の強みでもあると思ってます。

ーー俳優業と歌手業が互助関係になってると。

伊万里:そう、良い結びつきになってるんです。なので、このスタイルを変えず今後もずっと続けていきたいと思ってます。

(取材・文=猪又孝/写真=三橋優美子)

■リリース情報
『My Love Is…』
発売:2019年4月3日(水)
初回限定盤(CD+DVD)¥2,900(税抜)
通常盤(CD)¥1,600(税抜)

収録曲
CD:初回限定盤/通常盤共通
01:離さないで
02:Come Now
03:Beautiful
04:Am I Your Boyfriend feat. spi (T-GROOVE Remix)
05:離さないで (Instrumental)
06:Come Now (Instrumental)
07:Beautiful (Instrumental)
DVD:初回限定盤のみ
01:離さないで (Music Video)
02:離さないで (Music Video Making)
03:I’m Talkin’ To U (Music Video)
04:My Place (Live Music Video)

■2nd EP『My Love Is…』リリース記念イベント
【日時】2019年4月4日(木)19:00集合 19:15スタート
【場所】タワーレコード福岡パルコ店
【内容】ポスターお渡し会

【日時】2019年4月6日(土)
<第1部>12:30集合 13:00スタート
<第2部>15:30集合 16:00スタート
【会場】お台場ヴィーナスフォート 2F教会広場
【観覧】無料(※CD購入者先着抽選「優先観覧エリア」設定あり)
【販売】CD会場販売開始時間 9:30AM~
<イベント内容>
ミニライブ+特典会(握手会、抽選で2ショット撮影会)
<出演>
伊万里有/spi(第2部ミニライブのみ出演)
詳細は以下HPにて

オフィシャルサイト

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