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ゲイアイドル 二丁目の魁カミングアウトに心を掴まれる理由 シリアスで泣ける世界観に推しが急増中

リアルサウンド

18/10/27(土) 10:00

 正統派から個性派まで、多くのアイドルたちがひしめく「アイドル戦国時代」もいよいよ終焉かと囁かれているなかで、一風変わったアイドルグループがじわじわと知名度を上げている。その名も、「二丁目の魁カミングアウト」。インパクト大なグループ名からもわかるように、彼らは新宿二丁目を拠点に活動する“ゲイアイドル”だ。パンチのありすぎるネーミング含めて一見イロモノ風の彼らだが、その世界観は意外にもシリアスで奥深い。“ゲイアイドル”という唯一無二の存在だからこそ、一度ハマったら抜け出せなくなってしまう、二丁魁(にちょがけ)の魅力を紹介しよう。

 ミキティー本物、ぺいにゃむにゃむ、きまるモッコリ、白鳥白鳥(しらとりはくちょう)の4人で構成される二丁魁は、メンバー全員がゲイであることをカミングアウトした上で、「ゲイでもアイドルになれる」をコンセプトに掲げるアイドルグループだ。2011年の結成当初は「二丁ハロ」の名で活動していたが、メンバーの脱退・加入を重ね、2017年5月に「二丁目の魁カミングアウト」に改名。ゲイアイドルでありながら、@JAMやアイドル甲子園、TOKYO IDOL FESTIVALといった女性アイドル中心のイベントにも多数出演してきた。

LADYBABY “ニッポン饅頭 / Nippon manju “Music Clip

 リーダーのミキティー本物は、多くのアイドルグループに振付を提供する振付師(コレオグラファー)としての顔も持っている。13歳の時にアイドルに憧れ、モーニング娘。を中心としたアイドルの振りコピを開始したミキティー。そのレパートリーは、300曲以上にものぼるという。18歳からJ-POPイベント等にダンサーとして出演するようになり、2012年、BiSの「歩行者天国の雑踏で叫んでみたかったんだ」での振付担当を皮切りに、コレオグラファーとして活躍の場を広げていくこととなった。YouTubeで2,500万回以上再生されている(2018年10月時点)LADY BABYの「ニッポン饅頭」のほか、私立恵比寿中学やMaison book girlといったアイドルグループにも振付を提供している。

マイノリティーサイレン【LIVE】 /二丁目の魁カミングアウト / 2017.12.30 白金高輪SELENE b2

 さらに、アイドルとしては珍しいことに、二丁魁のオリジナル楽曲すべての作詞もミキティーが担当している(なんと、一部楽曲では作曲も担当しているという多才っぷり!)。そのミキティーが書く詞には、ゲイとして生まれ育ってきた上での苦悩や迷い、ひたむきさがこれでもかというほど凝縮されていて、私小説的な魅力を放っている。これがもう、聞いていると本当に泣けて泣けて仕方ないのだ……。〈誰もが過ごしやすい世の中だなんて言われたって 今日も矛盾抱え窮屈さ感じている〉(「マイノリティーサイレン」)、〈まだ間に合うから 生まれた意味だって 響かせなくちゃ〉(「若くない者のすべて」)など、屈折しつつも前を向こうとする心情を描いた歌詞が目立つ。

 同性への叶わぬ恋を経験した思春期以降、自身の過去について「自分がゲイであることを理由にいろんなことを周りのせいにして、諦めてきたかもしれません」(参考:私は「ゲイだから」って何かを諦めない!二丁目の魁カミングアウト ミキティー本物インタビュー)と語るミキティー。そうしたプライベートはもちろんのこと、ゲイアイドルとしての活動当初もなかなか思い通りにいかず、苦しい時期が続いていたという。

 だが、アイドルとしてステージに立ち、たくさんの「おなカマ(二丁魁ファン)」に囲まれる現在の二丁魁は、本当に心の底から幸せそうに見える。アイドル活動を通して自己を肯定できるようになったと語る彼らは、とにかくおなカマへの愛もピカイチ。ファンのCD大量購入を促すようなアイドルも少なくないなか、二丁魁は「おなカマにはCDを2枚以上買わせたくない(金銭的に無理をさせたくない)」というスタンスを一貫している。こうしたメンタリティに触れると、いっそう彼らを推したくなってしまう。

まるもうけ (music video)/ 二丁目の魁カミングアウト

 なんだか精神的な話ばかりになってしまったが、二丁魁のライブパフォーマンスもなかなかのものだ。時には女性アイドル的なかわいらしい衣装を身につけつつも、やはり体は男性とあってダンスはキレッキレ。ミキティーの振付はすぐに覚えられるような簡単なものが多いため、ライブでは観客も一緒に踊りながら、一体感のあるステージを楽しめる。

 2018年9月には3rdミニアルバム『Good As Yesterday❸』を発売し、10月からは初の全国ツアー『JAPAN GAY TOUR』も開催中の二丁魁。YouTubeの公式アカウントには、多くの楽曲動画がアップされているため、まずはこちらで音楽や振りをチェックしてみてほしい。全国ツアーの合間にも、新宿二丁目のAiSOTOPE LOUNGEにて無料ライブ『FREE GAY LIVE』が頻繁に開催されているので、まずはこちらの現場に足を運んでみるのもオススメだ。

■まにょ
ライター(元ミュージシャン)。1989年、東京生まれ。早大文学部美術史コース卒。インストガールズバンド「虚弱。」でドラムを担当し、2012年には1stアルバムで全国デビュー。現在はカルチャー系ライターとして、各所で執筆中。好物はガンアクションアニメ。Twitter

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