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いかさんに起きたひとつの奇跡 仲間とともに輝かしい未来を祝福したバースデーイベント

リアルサウンド

18/9/27(木) 14:00

 男性顔負けの低音ボイスから可愛らしい少女の声まで、多彩に声を操ることで人気のアーティスト・いかさんが、誕生日の前日である9月22日に東京・duo MUSIC EXCHANGEで『いかさん生誕祭2018 ~Birthday Live Jewel~』を開催した。ゲストに+α/あるふぁきゅん。としゅーずを迎え、オリジナル曲からボカロ曲、アニソンカバーなど全19曲を披露したライブでは、ケーキやファンの寄せ書きが贈られるサプライズがあったほか、松岡侑李名義で2019年にアルバムをリリースすることも発表。MCでは、喉の不調からリハビリをおこなっていたことなど、この日を迎えるまでの苦しかった胸の内を涙ぐみながら語る場面もあり、いかさんとファンにとっての特別な一夜になった。

(関連:CUBERS、The Super Ball、はしやん、しゅーず、いかさんが集結した『PLAY LIST #1』レポ

■ボカロ、アニソン、道のりを振り返ったセトリ

 動画投稿サイトをメインに中学生のときに活動をスタートし、高校生時代にリリースした1stアルバム『ボクらの最終定理』(2015年発売)がオリコン週間アルバムランキング8位を記録。昨年はアニメ『南鎌倉高校女子自転車部』のエンディング主題歌「にじゆめロード」を担当。松岡侑李として舞台やミュージカルにも出演するなど、ネットの世界を超えたマルチな活動で注目を集めているいかさん。この日も、10代女性を中心に母娘連れなどたくさんのファンが会場を埋め尽くし、いかさんのカラーであるブルーのペンライトを揺らして彼女の誕生日を祝った。

 「わ~みんながいる!」と、普段はネットを介してコミュニケートしているファンとの、久しぶりの直接対面に顔をほころばせたいかさん。ライブのタイトルに付けた“Jewel”は思い出の宝箱のようなもので、「楽しかったことも悲しかったことも、みんなと共有しながら歩んできました。今日は、それを垣間見てもらえたらうれしい」と、“Jewel”に込めた気持ちを説明した。実際にこの日のセットリストは、いかさんがニコニコ動画の「歌ってみた」で発表してきた楽曲がずらりと並び、それこそ彼女の言うように、これまで歩んできた道のりを振り返るような内容になった。

 総再生回数300万回超えで人気の「ライアーダンス」(DECO*27)では、「ETA(EXIT TUNES ACADEMY)のイベントでもよく歌っていて、ライブの光景を思い出す曲」と紹介し、リズミカルなビートに合わせて実に楽しそうに歌う。少年時代のピュアな気持ちを思い出す「夏の日と、幽霊と、かみさま」(もふ@)では、「純粋な気持ちは、日が経てば薄れてしまう。今日の光景をしっかり焼き付けて宝箱にしまいたい」とコメントし、ステージを駆け回りながら壮快なサビをまっすぐ歌った。また、舞台で好評を得た「オーケストラが燃える」では、途中でセリフを織り交ぜながら披露し、客席をギッと睨むような眼差しに思わずドキッとさせられた。そしてボカロの伝説的名曲「Calc.」は、冒頭をいかさんのピアノ演奏で聴かせる演出で魅せた。リハでは上手く弾けなかったそうだが、本番での成功にひと安心といった表情を見せ、客席からも温かい拍手が沸き起こった。

 中盤は、人気のアニソン3連発で盛り上げた。「ドロドロとした世界観の物語が好き」とのことで、まずはアニメ『PSYCHO-PASSサイコパス』のエンディングテーマ「名前のない怪物」(EGOIST)をチョイス。続けてアニメ『銀魂』オープニングテーマ「プライド革命」(CHiCO with HoneyWorks)や、映画『君の名は。』挿入曲「スパークル(movie ver.)」(RADWIMPS)を披露した。「名前のない怪物」では原曲のフェイクやファルセットを忠実に再現しながら、力強い歌声で楽曲の新たな魅力と解釈を提示。「スパークル」では、ミラーボールが周って会場全体がキラキラとした光に包まれ、映画『君の名は。』の感動の名場面が脳裏によみがえった。

■いかさんとファンの願いが起こした奇跡

 まっすぐで凛とした男性的な力強さと、女性的なしなやかさや繊細さを兼ね備えたボーカルは、誰にもマネのできない唯一無二の存在感がある。表現の幅も実に広く、ファンを高揚させるパッションみなぎる歌もあれば、シアトリカルで巧みな歌い回しによって、1曲のなかでドラマを展開させるような表現もあって、次はどんな曲をどんな歌声でどんな風に披露してくれるのか? そんなワクワクが胸に広がる。いかさんのファンは、そうした宝箱を開けるときのようなワクワクに惹きつけられているのだろう。

 ライブの終盤には、+α/あるふぁきゅん。としゅーずが登場し、「虎視眈々」「威風堂々」「ロキ」といったアッパーのロックチューンを立て続けに披露する“神セトリ”で盛り上げた。「君色々移り」(風男塾)で、+α/あるふぁきゅん。と至近距離で向かい合って〈君が好き〉と歌った姿は、女性同士なのに何故か観ている側がドキドキして、客席からも黄色い歓声が上がる。いかさんの「いつもありがとう大好きだよ」という言葉に、赤面してしどろもどろになった+α/あるふぁきゅん。も印象的だった。しゅーずとは、背中を合わせて立って歌う姿が実に格好いい。ステージ上をハイタッチしながらすれ違う様子には、二人の友情を垣間見たような気持ちで、胸の奥が熱くなった。

 そしてアンコールのMCでは、「今日が来なかったかもしれなくて……」と、勇気を振り絞るように話を切り出した。実は、昨年の生誕祭のあとに喉の手術をしてリハビリをしていたが、高音の声(たこさん名義で歌う際の声)が戻らず、2カ月前に病院から再手術が必要だと言われていたそう。しかしこの日の生誕祭や舞台出演などがあったため、手術を延ばして改めてリハビリをおこなってこの日を迎えたと言う。

 「病院から再手術を言い渡されたときは、頭が真っ白になって。みんなと、どんな顔をして会えばいいかわからなくて……」と、言葉を詰まらせながら苦しかった胸の内を明かす。客席からは「頑張って」「ゆっくりでいいよ」など、温かい言葉がいくつも飛ぶ。「でも、これを奇跡って言うのかな。もう手術がいらないかもって言われました。頑張ることができたのは、みんなのおかげです。もう迷いはない。突き進むしかない。これからもすてきな世界、新しい世界をみんなに伝えていきます!」。不安から解放され、感情のままに今の気持ちを語ったいかさん。その声は、決して振り返ることなく、まっすぐ目の前のファンとその先の未来に向けて発せられていたように思う。

 最後に歌ったlivetune feat.初音ミクの「Tell Your World」は、まさしく今の彼女の気持ちを代弁していた。遠く離れた人と人が繋がり、想いがひとつになっていく願いを込めた歌詞。キラキラと輝きを放つようなイントロと、無限に広がっていくようなサビメロ。それは、いかさんに起きたひとつの奇跡と輝かしい未来を祝福するかのように響き渡っていた。(榑林史章)

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