Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

LOOΠΔやIZ*ONEも……K-POPシーン最前線で活躍する映像集団、DigipediがMVで表現する世界

リアルサウンド

19/4/23(火) 7:00

 コンポーザー、アレンジャー、プロデューサー、プレイヤーなど、音楽関連の仕事は数多い。中でもミュージックビデオ(MV)の制作は、歌手の人気や評価を左右するものとして楽曲制作と同様に重要視されている。今やそれは世界のどこの国でも同じ状況だろう。

 通常は既存のアーティストイメージを尊重しながら演出・構成することが多いMVだが、オーソドックスな発想を嫌い、独自の美意識で仕上げる映像作家も少なからずいる。しかしながら、そんな稀有な存在は商業的なフィールドにいるのか――。この問いに即座に「イエス」と答える者が韓国にはいる。10年以上もK-POPシーンの最前線で活躍するDigipedi(デジペディ)というチームだ。

(関連:公園少女、K-POPガールズグループ期待のニューフェイスが初来日「私たちを見守ってください!」

 Digipediの特徴をワンワードで表現すると「奇抜」。代表作のひとつ、Orange Caramel「Catallena」(2014年)が最も分かりやすい例かもしれない。お高くとまったごう慢な女性を題材にした懐メロ風のダンスポップで、歌詞から連想されるアイテムや演出は一切なし。メンバーらは寿司ネタに扮して陽気に歌い踊る、ただそれだけだ。ストーリーは特になく、メッセージもない。とにかくカラフルでコミカルな映像がテンポ良く流れていく。だからこそ視聴者は気軽に繰り返し見てしまう。動画配信サイトが音楽を聴くための主なツールとなった現代にはまった手法とも言える。

 彼らは曲のタイトルから感じるものだけで制作することもある。その場合もストーリーやメッセージを特に意識することはあまりない。ひたすらスタイリッシュな映像が続くのみ。OH MY GIRLの「WINDY DAY」(2016年)やHEIZEの「Shut Up & Groove(Feat. Dean) 」(同年)などが代表格で、いずれの映像も余韻はそれほど残らないものの、観たあとの満足感が相当ある。このあたりもチームが得意とするところだ。

 2007年に登場して以来、独自のセンスと手法で数々の名作を生み出してきたDigipedi。今の時点で代表作をあげろと言われれば、LOOΠΔ(LOONA/今月の少女)の映像作品が真っ先に思い浮かぶ。彼女たちは楽曲のクオリティの高さやビジュアルの良さに加え、唯一無二の世界観を持つMVのおかげもあって、ライバルに圧倒的な差をつけたという印象が強い。

 DigipediはこれまでにLOOΠΔ関連の映像をたくさん制作している。フルメンバーで曲を出す前にメンバーのソロシングルを順々にリリースして知名度を上げてきたユニークなグループらしく、MVも相当ユニークだ。そのうち、ヨジン「Kiss Later」(2017年)とチュウ「Heart Attack」(同年)は王道のアイドルポップスであり、親しみやすい歌詞と明快なメロディが最大のセールスポイントにもかかわらず、前者のMVでは童話『カエル王子』を、後者のMVはルネ・マグリットの絵画「盗聴の部屋」をベースにしてシュールな世界を作り上げた。どちらも鮮やかな色を使い、キュートな演出を施し、比較的狭い空間で物事が進んでいくという、彼らの好きなアイテムやこだわりがこれでもかと詰め込まれた作品である。

 曲名からイメージした世界を作り上げる手腕も相変わらず絶好調だ。LOOΠΔのデビューシングル扱いの「Hi High」(2018年)は、少女が青い空に駆け上がっていく映像を通してグループの希望にあふれた未来を見せる。続く「Butterfly」(2019年)では、宮殿のようなスペースで蝶のように舞い踊る場面と、世界各地の女性たちの姿を組み合わせることで、“自立した女性”を強烈にアピールした。

 主にこのような二つの手法で作られてきたLOOΠΔの映像作品はどれも一見に値するものばかりで、彼女たちの個性はDigipediなしでは完成しなかったと言っても過言ではない。両者の蜜月ぶりを羨ましく思って声をかけたのか、ここ1、2年は他の人気アーティストのMVでもDigipediの名前をよく見かけるようになった。最近ではIZ*ONE「Violeta」がそうだ。

 K-POPアイドルの楽曲に風変わりな映像を添えるとJ-POPにも洋楽にもない世界が広がってくる。彼らが起用される理由はまさにここにあるだろう。Digipediの作品でK-POPに興味を持った海外のリスナーは多いはずだ。少なくともK-POPがワールドワイドな人気を得ていく段階において一助を担ったことは間違いない。韓国のエンターテインメントの進化と奥深さを感じさせる一連の作品群はもっと評価されても良いと思う。今後、国内外でさらに注目度が高まることを期待したい。(まつもとたくお)

アプリで読む