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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

the GazettEが表現する、研ぎ澄まされた狂気 さらなる深化を遂げた『NINTH』ツアー“第2層”レポ

リアルサウンド

18/11/19(月) 15:00

 the GazettEが、全国6都市11公演のスタンディングツアー『the GazettE  Live Tour18 THE NINTH / PHASE #02-ENHANCEMENT-』をスタートさせた。本ツアーは今年7月から行われたホールツアー『PHASE #01-PHENOMENON-』に続く、アルバム『NINTH』ツアーの“第2層目”にあたる。


 初日の11月6日、CLUB CITTA’川崎公演は、演奏、サウンド、ステージング、照明、演出……どれをとってみても、the GazettEというバンドの徹底的にこだわり抜いた美学をこれでもかというほど魅せつけられた夜だった。7月に観た『PHASE #01-PHENOMENON-』ツアー初日は、ステージ上の彼らも、それを見守るオーディエンスも、まだ手探りな様子があったように思えた。しかし、この日は、RUKI(Vo)が「ホールツアーのときからライブハウスの空気を感じていた」と言っていたように、ライブを重ねるごとに深化していったエネルギーが、久しぶりのスタンディングという形式によって一気に弾けた、そんな夜だった。

「カワサキィィィィーー!!」

 RUKIが吠える。前髪に鮮やかな緑のメッシュを入れた麗(Gt)と、黒髪の短髪になった葵(Gt)はいつになくクールな面持ちで華麗に両翼を担い、青髪のREITA(Ba)は大きく脚を広げながら低く身構える。その4人を後ろから悠然と据えた戒(Dr)ががっしりと支えている。臨戦態勢の5人がステージ上から放つ音は重厚で濃密。それでいて鮮明に届き繊細さを垣間見せる。開演が30分押すというアクシデントからの幕開けであったものの、懸念するようなことなどはなく、身体中に感じた1曲目「Falling」の重々しいグルーヴは、7月の三郷市文化会館で体感したものとは明らかに異なっていた。

 数カ月ぶりに観て感じたそれは完全に“仕上がった”とでもいうべきなのだろうか。「Falling」を筆頭に、猛り狂うリフが応酬する「NINTH ODD SMELL」も「GUSH」も、さらに研ぎ澄まされた狂気が襲ってくる。

 ステージから矢継ぎ早に投下される狂気を前に、フロアは頭と手を振り乱しながら応えていく。RUKIが「MY DEVIL ON THE BED」で操っていたステッキを投げ捨てる、打ち鳴らされるリズムの嵐からの一瞬の静寂、RUKIの一声で畳み込む「裏切る舌」という流れで会場のボルテージは最高潮に。と思えば、「BABYLON’S TABOO」で混沌とした世界へと堕とされる。

 ホールツアーでも印象に残っている「虚 蜩」から始まった中盤のセクションは、この日のハイライトだった。RUKIの艶めかしい歌声とドラマチックなアンサンブルに耳を奪われ、まばゆい照明も相俟って目をも奪われる。赤い二本の筋が青白く変わっていくと「その声は脆く」へ。丁寧に歌い上げるRUKIと、歌に寄り添っていく4人。ドラマチックなギターソロを経て、真っ白に照らされるステージは神々しく、そして、ピアノの調べで始まった「REDO」のメロディアスさと小気味なアレンジに、the GazettEの優美な引き出しをあらためて思い知らされた。

 そんな余韻をぶった切るように、RUKIの足下から無数の真っ赤なレーザーが彼の周りを囲んでいく。まるでレーザーの檻だ。不穏なおどろおどろしさの中、蠢くようなリズムで始まる「THE MORTAL」。この曲もまた、ホールツアーで印象的な表情を見せていたが、これまた不気味さが増していた。淡々としながらもゆっくりと激情をまさぐっていく様にゾクゾクする。

 開演が遅れた旨を謝罪したあと、終盤へ向け、オーディエンスの心をさらに着火させる。

「ハコライブは久しぶりだと思うんですけど、わかってますね? みなさんのカッコいい姿だけを観にきているので…… かかってこい!!」

 「TWO OF A KIND」からのラストスパート。「INCUBUS」「ATTITUDE」とアッパーなナンバーを畳み掛けていく。

「こん中に暴れきれてねぇヤツ、いるんじゃねぇの? やるのは今しかねぇぞぉ! 恥なんか捨てちまえっ!!」

 ラストは「UNFINISHED」。怒涛のようなビートが一気に駆け抜けて本編は幕を閉じた。アルバム『NINTH』の世界観が今ここに完成されたといっても言い過ぎではない圧巻のステージだった。とはいえ、この“第2層目”はまだ始まったばかりだ。来月の新木場STUDIO COASTまで続いていく。

 アンコールは少し懐かしいナンバー「生暖かい雨とざらついた情熱」などを披露した。

 終演後、ステージに降りてきたスクリーンに映されたのは、真っ赤なガムテープで隠されていた“第3層目”だった。高田馬場AREAに、目黒鹿鳴館……まさに多くの者を欺いたような衝撃的なライヴハウスツアー『LIVE TOUR18-19 THE NINTH PHASE#03 激情は獰猛』が発表された。正直、どんな内容になるのかまったく予想がつかない。ただ、とんでもないことになる……そんなことは言うまでもあるまい。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログTwitter

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