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『なつぞら』広瀬すずが語る、朝ドラヒロインへのアプローチ 「皆さんのエネルギーになれたら」

リアルサウンド

19/4/1(月) 6:00

 NHK連続テレビ小説『なつぞら』が4月1日より放送される。朝ドラ第100作目となる本作は、戦後、北海道の大自然、そして日本アニメの草創期を舞台に、まっすぐに生きたヒロイン・なつの夢と冒険、愛と感動のドラマが紡がれていく。

 リアルサウンド映画部では、本作の主人公・なつを演じた広瀬すずにインタビュー。これまでも映画『ちはやふる』シリーズ、ドラマ『anone』(日本テレビ系)など、主演として圧倒的存在感を放ってきた広瀬が、朝ドラヒロインとしてどんな撮影の日々を送っているのか。自身となつとの共通点や、作品の魅力までじっくりと語ってもらった。

参考:『なつぞら』広瀬すず、安藤サクラに背中押されバトンタッチ! 「100人以上ヒロインがいるから」

●「せっかくだから」を大事にする1年に

ーー朝ドラ100作目、そして元号発表の日に第1話がスタートと、さまざまな節目の中でのヒロイン抜擢となりましたが、広瀬さんにかかるプレッシャーはかなり大きなものかと思います。

広瀬すず(以下、広瀬):本当はプレッシャーを重く受け止めないといけないのかもしれないのですが、意外にそこまで感じていないんです。私が演じる主人公・なつは、幼い頃に両親を亡くし、兄妹とも離れ離れになりますが、柴田家に引き取られて大切なことを学びながら生きていきます。上京してアニメーターの道を歩んでいく過程でもそうなんですが、なつはとにかく出会う人に恵まれているんです。私自身もその点は同じで、いただいたお仕事、作品、出会う方々とのめぐり合わせに本当に恵まれてきました。めぐり合わせの運の強さには自信があります。今回もまた運を使っちゃったという気持ちもあります(笑)。

 紅白歌合戦で司会をさせていただいたときも「平成最後」という特別な言葉に出会えて、本当に光栄で幸せだと思う一方、こんな自分でいいのかな……という思いもありました。以前、ドラマの撮影中に不安になることがありました。同世代の方がいない現場で、相談できる相手もいないときに、共演させていただいた先輩から「せっかくだから楽しみなよ」と声をかけていただきました。その言葉にすごく救われたんです。それ以来、後ろ向きになりそうなときや、不安に思うときに、「せっかくだから」と思うと、前を向いて楽しめるようになりました。この1年間は、「せっかくだから」を大事にして、楽しんで演じることができればと思っています。

ーー昨年の6月に撮影がスタートして、これまでなつを演じていて手応えは?

広瀬:なぜか、親がいない役を演じることがこれまでも多くあって……(笑)。なので、孤独を感じる感覚はこれまでにも経験していたので、演じやすい部分はありました。ただ、これまでの作品よりも「1人だな」とふいに感じるシーンが『なつぞら』は多いです。母さん(柴田富士子/松嶋菜々子)や父さん(柴田剛男/藤木直人)、じいちゃん(柴田泰樹/草刈正雄)を、本当の家族のように思い、幸せを噛み締めているんだけど、ふとしたときに「血は繋がっていない」という感覚がなつにはあります。なつは「ありがとう」と「ごめんなさい」を言う機会がすごく多いです。それは幼い頃に家族と離れてしまったからこそ、周囲に気を遣う癖のようなものが自然と身についてしまっているから。家族だと恥ずかしい気持ちもあってなかなか感謝の言葉を言えないことも多いと思うのですが、自然に「ありがとう」と言えるなつの性格に、本当の家族ではないという距離感が表れているのかなと感じています。なつは柴田家のみんなをはじめ、沢山の人と出会い交わっていく中で少しずつ変化していきます。その中でも、周囲への感謝の気持ちはずっと変わらないので、演じる上でもそれはずっと大事にしていきたいです。

ーー大森寿美男さんが手がけた脚本の魅力について教えてください。

広瀬:とにかく“まっすぐ”です! 台本を読んでいて、こんなに心が動かされることはこれまでありませんでした。一回読み始めると止まらなくなります。登場人物全員の気持ちが丁寧に描かれていて、ひとりひとりの裏側の感情まで見えてくるんです。人の幸せを自分の幸せと思える素敵なキャラクターばかりです。今は早くこの物語を世の中に届けたいという思いで溢れています。

ーー沢山のキャラクターが登場しますが、広瀬さんお気に入りの人物は?

広瀬:「劇団小畑家」とスタッフさんとも呼んでいるんですが、高畑淳子さん、安田顕さん、仙道敦子さん、山田裕貴くんが演じる小畑家のやり取りがとんでもなく面白いです。なんて表現していいんだろう、あの雰囲気……。観ていただければ分かるんですが、幸せな気持ちで溢れていて、小畑家の皆さんとの撮影は本当に楽しいです。なつは、山田くんが演じる雪次郎と親友として幼い頃から歩んでいくのですが、小畑家の存在があったからこそ救われたことも多かったと思います。親と子、祖母と孫の関係性だったり、小畑家のシーンは家族の愛情が詰まっているので、視聴者の皆さんにも楽しみにしていただければと思います。

●朝ドラヒロインとしての決意

ーー『なつぞら』の舞台は、戦後1946年から始まります。この時代を演じる上で改めて感じたことは?

広瀬:戦後の時代を生きた皆さんは、人間的にすごく強いと思いました。家族で支え合うという気持ちは台本を読んだときも、演じたときも、強く感じました。人と関わっている時間が、今よりもいい意味で重さがあるというか。今はSNSなど瞬時に繋がれるものが沢山あります。でも、かつては気持ちを伝える手段は限られていて、手紙一枚の重さも今とは違います。電話で声を聞くことができる瞬間、それもすごくいいなと。なつが人との関わり合い、繋がりを大事にしているのは感じるので、それを演じる上でも大事にしたいと思っています。

ーーなつが暮らす柴田家が酪農家ということで、これまでにない挑戦もあったかと思います。

広瀬:馬に乗って学校に行くことになるとは思いもしませんでした(笑)。北海道の自然、生き物と触れ合う機会が本当に多いです。家族全員で朝早く起きて、ご飯を一緒に食べて、一緒に仕事をする。小学生の子でも手伝う。台本を読みながら、映像を観ながら、いいなあと思いました。人と人との距離感は今よりもグッと近いし、支え合っている。役の中でそれを感じる瞬間はすごく多いです。

ーー物語中盤からなつはアニメーターを志して上京します。酪農とアニメーターと、一見まったく異なるもののように感じますが、このふたつにはどんな共通点がありましたか。

広瀬:「開拓」が作品のひとつのテーマとなっています。戦後、北海道に移住した方々が新しい地を切り拓いていったのと同じように、アニメーションの世界でなつは新しい挑戦を行っていきます。酪農で得た粘り強さ、好きなものを挫折したときにどれだけ踏ん張れるか、どうバネに変えていくのか、というのはアニメーターになっても繋がっていくのかなと。

ーー「朝ドラのヒロインは過酷」とよく言われますが、ここまでを振り返って広瀬さんはいかがですか。

広瀬:『わろてんか』に出演した姉(広瀬アリス)からも「ヒロインじゃないけど、私でも大変だった」とメールが来ました(笑)。実際、長丁場のシーンが多く、私はほぼ毎日現場に行くのですが、キャストの方によっては1週間に1度の方も多いんです。そうすると、「大丈夫、寝れてる? 食べれてる?」と聞かれるんですが、「全然大丈夫です!」と。これだけ長い期間、同じ役を演じ続ける経験はこれまでなかったので、今はお芝居が本当に楽しいです。スタッフさんからは「これからだよ」と言われているので、どうなるんでしょうね……。

ーーこれまでも主演として作品を引っ張ってきた広瀬さんですが、ヒロインとして現場で意識していることなどはありますか。

広瀬:初めて主演を務めた現場のときから心がけていることではありますが、まずは自分のできることをしっかりやろうと。歴代のヒロインを務めた方の話を聞くと、こんなに頑張っていたから周囲の皆さんも頑張れたんだろうなと感じました。「なっちゃんはいつも笑っているよね」とスタッフ・キャストの皆さんから思ってもらえるように、皆さんのエネルギーになれるような姿で現場にいることができたらいいなと思っています。

(取材・文=石井達也/写真=三橋優美子/スタイリスト=梶原浩敬(Stie-lo)/ヘアメイク=河北裕介)

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