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中村倫也が明かす、“ブレイク俳優”としての心境 「世の中の流れが速くて自分が追い付いていない」

リアルサウンド

18/11/17(土) 6:00

 2018年、1年間に渡って様々な顔を見せてきた俳優・中村倫也。『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)、『半分、青い。』(NHK)、『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)と話題作への出演が続いていた。放送中の土曜ドラマ『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』(日本テレビ系)では、捜査一課出身の元エリート刑事・皇子山隆俊を演じ、主演の中島健人や遠藤憲一らとともに、物語を動かしていく人物として活躍している。バラエティ番組から雑誌の表紙まで、引っ張りだこな中村に、今後の目標について話を聞いた。(編集部)

【写真】『ドロ刑 』登場シーン&インタビューカット

■「うな重における山椒」

ーー“超ドS”旦那の渡、マシュマロ男子・マアくん、ツンデレ兄さん江口に続き、今回は“謎のエリート”で“変態”という役どころに挑戦しています。皇子山には謎が多い印象です。

中村倫也(以下、中村):アットホームなシーンが多い作品なので、その中で皇子山として、うな重における山椒のような、スリリングでピリッとさせる役割を果たせたらと思っています。多くを語らない彼の、ちょっとした目線の動きを意識して、謎を感じてもらえたらと。ちょっと刺激があった方が、観てくれる人も色んな想像が膨らみますし、作品の求心力になるよう働きかけていきたいですね。

ーー「皇子山」(おうじやま)という役名を略して「皇子」(おうじ)と呼んでいるファンもいるようです。

中村:きっと、脚本家の林(宏司)さんの中でポンっと浮かんできて、ニヤニヤしながら名付けたんだろうなと勝手に思っています。キャッチーな名前というのは、名前を覚えてもらえることにも繋がりますし。まあ、でも、主演が王子みたいな人なので。

ーーそうですよね。

中村:最初の頃にメイクさんが、役者さんのあだ名を決めると言っていたんです。その時に「中村さんを皇子って呼ぼうと思います」と言われて断ったんですけどね、「王子はこっち(中島健人)だ」って(笑)。

ーー会見で、中島さんのセクシーへのこだわりをいじっていましたが、現場でも?

中村:みんな「セクシーだ」って言ってるけど段々と雑になっていて(笑)。現場では、ずっとキャッキャ、キャッキャしてます。ケンティー(中島)は、僕が言ったことを何でも拾ってくれるんです。真面目に律儀に全部を拾ってツッコんでくれるので、ずっと遊んでいます。

ーー中島さんの印象はいかがですか。

中村:可愛いです。犬と猫のそれぞれの良さを持ったきつねが、海外ではペットとしてのポテンシャルが見直されているらしく。ケンティーはちょうどそんな可愛さだと感じています。ちょうどいい距離感で、ちょうど良く人懐っこくて、決して嫌みがないし、良いやつだというのがどこを切り取っても分かる。うなじを見ても「良いやつ」って書いてありますよ。

ーーそうなんですか(笑)。他の刑事モノにはない『ドロ刑』の魅力はどんなところでしょう?

中村:泥棒の手口を知れますし、警察と泥棒という対極の存在がタッグを組んでいる面白さもありますね。そして、ケンティーとエンケン(遠藤憲一)さんの安心できる親子感、師弟感も。一癖も二癖もある登場人物が多いので、キャラクターの魅力もあると思います。

ーー中村さんは、『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)などで、これまでも警察、刑事役を演じてきましたね。

中村:今まではピシッとスーツを着て、グレーのネクタイだったけど、皇子山は紫とかマスタードとか、ネクタイの色が派手なんです(笑)。衣装合わせの時にいろんな色のネクタイがあって、皇子山のクセの強さを出すことを考えた時に、光沢がある深緑の玉虫色のネクタイを見つけて、これがいいなと。この髪型も含め、演じる上で気持ちも入りやすくなるので扮装は大事です。

ーー刑事役を演じる楽しみはありますか。

中村:正義っぽいというか、何かの事件を経て、アクションシーンもあったりしながら最後に手錠をかけて、成敗! というノリが面白いですね。でも、あまり職業を考えて芝居はしていないです。どの作品もどの役も違って当たり前なので、その人間をどういうアウトプットで切り出すか、やっていることは変わらないと思います。

ーー「捜査三課13係」の現場でのチーム感はどうですか?

中村:みんな仲良く喋っていて現場は明るいです。物語の中では、やる気のないやつが集まっていて、その中で僕が一番チームワークを乱しているキャラクターでもあるので、チーム感がいつ発揮されるのかなと僕は思っています(笑)。

ーー『崖っぷちホテル』でも従業員の一致団結感が描かれていましたが、チーム間のやりとりで展開していく物語として、今回意識していることは?

中村:この作品の中で皇子山は、物語を進めていくシーンと、ピリッとさせるシーンと、ほんわかするシーンの何種類かを演じているんです。警視庁三課の一人として存在しているシーンでは、くだらない話をしている流れが多いので、その中で皇子山という人物としてちゃんと存在感を発揮しつつ、物語の流れを阻害しないように、乗る時は乗って、そらす時はそらしていこうと意識しています。

■「世の中の流れが速くて、自分が追い付いていない」

ーー最近バラエティー番組などの出演も多いですね。舞台やドラマ、映画以外で表に立つことは緊張したりするのでしょうか。

中村:だいぶ慣れてきました。番宣を一方的にさせてもらうだけじゃなく、番組が楽しくなればいいなと思って、MCの方を頼りつつも会話ができればと思っています。ただ、単純に「中村倫也の話を聞かせてよ」となると、ちょっと緊張して一瞬困ってしまうこともあって。

ーー困った時はどうするんですか?

中村:困った時は、前日から赤飯を炊いて、ちょっとゴマ塩振って食べて、「これで大丈夫だ」と自分に言い聞かせてからカメラの前に立ちますね。

ーーそれが中村さんのルーティンなのですか?

中村:そうですね。高校受験の時からそうしてました。赤飯炊いてゴマ塩かけて。

ーー何がきかっけで、そのルーティーンが生まれたのでしょう?

中村:何でですかね? 僕も今嘘ついているので、分からないです。

ーーえ? 全部嘘ですか?

中村:全部嘘です。こういうの挟んでおいたほうがいいですよね?

ーー料理もすると聞いていたので信じてしまいました……。

中村:たまに簡単なものだけです。冷ややっこくらい。最近、焼き冷ややっこが流行ってるの知っていますか?

ーー知らないです。

中村:嘘です(笑)。

ーーえーっ?(笑)。雑誌の表紙にもたくさん登場されていますが、芝居以外の仕事はどんな気持ちで臨まれているのでしょう。

中村:緊張します。やっと最近「表紙」と言われても、「なんで俺が?」って聞き返さなくなりました。14年間くらい下北沢でラーメン屋をやっていたら急にミシュランが来たみたいな感じで、なんで? みたいな。この例えしっくりこないな。

ーー慣れてきたというのはどういう感覚なんですか?

中村:僕も分からないです。世の中の流れが速くて、自分が追い付いていないのかも。求めてもらえることはもちろんありがたいですし、嬉しいですけど、ひとつひとつに「なんで?」と思ってしまうんです。気持ちとしては落ち着かない、でも、それにもう慣れていかないといけない。一生懸命慣れる努力をして、だんだんと心がふわふわしなくなってきました。

■「出会いに支えられている」

ーー一番達成感を感じる瞬間はいつですか?

中村:ないです。本当は、良い芝居できたぜ、今日はちょっとお酒飲んじゃおうかな、みたいな気持ちになりたいんですけど、できなくて。自惚れたりしたいなってたまに思います。一秒後には過去になっていく感覚で、常に反省点や次の課題が出てくるし、なので人生飽きずに生きてこれていますけど、その分充足感みたいなのは全然ない。カットがかかった瞬間にもう反省してます。誰かが「OK」と言ってくれないとOKにならない性格なんだと思っています。

ーー中村さんが役者を続けてこれた理由はなんだと思いますか。

中村:好きなことですし、やりたいと思って始めた役者なので、ちゃんとやり抜きたいという思いと、その都度、課題や新たにやりたいことが出てくるので、単純な向上心や好奇心がゆえに続けられているのかなと。あとは、これまでを振り返ると良い出会いがいっぱいあったので、その出会いに支えられている部分もあります。

ーー中村さんは、目標を立てる時に、どういうふうに設定していますか? 小さい目標から立てていくのか、大きな目標があってそこに向かっていくのか。

中村:両方同時にいくつもありますよ。

ーー今だと具体的に目標にしていることはなんでしょう?

中村:教えない。

ーー教えない……。

中村:人に教えないようにしているんです。自分の目標は、具体的な何かというより、いつか「中村倫也ってこういう役者だよね」という声が聞こえた時に叶ったと感じるというか。目標を口にしてしまうと、それを意識して褒めてくれる人もいるだろうから、何もない真っさらな状態で、何か言われた時に「お、しめしめ」となりたいですね。

(取材・文・写真=大和田茉椰)

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