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店長たちに聞くライブハウスの魅力 第4回 京都・磔磔

ナタリー

18/12/14(金) 18:00

全国のライブハウスの店長の話を通して、それぞれの店の特徴や“ライブハウスへ行くこと”の魅力を伝える本連載。第3回は京都・磔磔の現店長である水島浩司氏に登場してもらい、今年で築101年目を迎えた同店の歴史やこだわりを話してもらった。

“磔磔”と名前がついたのは44年前

「この店は大正時代に建てられた建物をそのまま使っていて、今年で築101年目を迎えました。店の天井には今でも“大正6年5月15日”と築年月が書かれた梁が残っています。もともとは、今の大家さんのおじいさんにあたる方が日本酒の仕入れ蔵として使っていました。長い間日本酒を販売されていたのですが酒蔵を閉めることになったときに、初代店長の方が建物を借りたいと当時の大家さんにお願いしたんです。彼はその建物を “磔磔”と名付けて、レコード喫茶をオープンさせました。それが今から44年前のことですね。僕の父は店でアルバイトとして働いていたのですが、1、2年後には父が店を任されるようになり、ライブハウスとして経営を始めたことで“ライブハウス磔磔”の歴史がスタートしました」

ライブハウス磔磔の店長としては2代目

「父は約35年間店長を務めていて、僕が店長になったのは2010年頃です。なので僕はレコード喫茶時代を含めると3代目店長ですが、ライブハウス磔磔の店長としては2代目です。店には物心が付いていない頃に親と来ていたそうですが、僕は大人になってからの記憶しかありません。最初は父に『スタッフが1人辞めるから代わりに働かないか』と言われて、そのまま数年間ほど働いているうちに“もっとここはこうしたい”という思いが出てきて、いつの間にか父がオーナー、僕が店長という立場になっていました」

ウィルコ・ジョンソンのセッションライブ

「思い出に残っているのは、2013年のウィルコ・ジョンソンのライブ。昔から何度も出演してもらっていたのですが、2013年1月に彼がガンを患って余命が残り数カ月もないと診断されたんです。そんな状態の中、彼は日本に来てライブを行いました。日本好きな彼は『売上は全額東日本大震災の被災地に寄付したい、そして自分のことを好きな日本のアーティストと最後にセッションをしたい』と言っていました。それは東京と京都で実現したのですが、磔磔の公演では、地元のアマチュアバンドが集まってウィルコとセッションをしました。フロアの壁には今も、スタッフが書いたイラストと出演者のサインが入ったボードを飾っています。また幸いにもウィルコのガンは完治し、現在は1、2年に1回ほど来日公演も行っています」

おすすめのドリンク、フード

「スタンディング公演の際、ワンドリンクチケットで引き換えられるのはペットボトルの飲み物のみのケースが多いのですが、席がある公演では瓶ビールと引き換えられるようにしていて。ライブハウスの中では珍しいと思いますし、お客さんにも喜ばれますね。フードのメニューも充実しています。音漏れの問題で21時には必ずライブを終わらせて、そのあと居酒屋営業や打ち上げ会場になることが多いんです。“F式らっきょう漬け”というメニューがあるのですが、バンド関係者の藤田さんという方が作ったらっきょう漬けを仕入れているので“F式”という名前が付きました。確か愛知のTokuzoもこのメニューを置いているんじゃなかったかな。あとは父が長崎出身なこともあって、皿うどんもオススメですね」

この建物がダメになったら磔磔はそこで終わり

「来年は磔磔が45周年なので、春に記念ライブを1カ月以上に渡って実施します。ライブハウスとひと口に言ってもいろいろあるかと思いますが、ここは“場所ありき”で、この建物がダメになったら磔磔はそこで終わりだと思っています。この店は木造であるおかげで、音がすごくいいんです。もともと演奏するための建物ではないのでたまたまなんですけど。そういったこともあって、もしほかの場所でライブハウスを構えることになってもそれは磔磔ではなくなる。僕がいなくなった100年後、200年後もこの建物があって、その時代の京都の人を中心に、たくさんの人たちに楽しんでもらえる場所であり続けてほしいんです。そのためにも今は僕が店を続けていかなければと思います」

出演者とお客さんが一緒に飲んだり食べたりできる日も

「ライブって、同じ場所で同じ人の演奏を聴いても毎回違うものになると思うんです。そんな“そのときしか観られないもの”が観られるのが、ライブハウスの魅力じゃないでしょうか。磔磔の特徴は、アーティストとお客さんとの近さですね。アーティストはフロアにいるお客さんの間を通らなければステージにたどり着けないし、ステージは低くてフロアと近い。日によってはライブが終わってから出演者とお客さんが一緒に飲んだり食べたりできる日があるのも当店ならではだと思います。建物の歴史とアーティストとの距離の近さを体感しに、ぜひ磔磔へ足を運んでもらえたらうれしいです」

店舗情報

住所:〒600-8061 京都府京都市下京区筋屋町139-4
アクセス:阪急河原町駅より徒歩3分
営業時間:公演により異なる
定休日:不定休
ロッカー:なし ※公演によりクロークあり
駐車場:なし
再入場:公演により異なる
キャパシティ:250~300人 ※スタンディング時
ドリンク代:600円
フリーWi-Fi:なし
貸切:可
※情報は12月14日時点のもの。

取材・文 / 酒匂里奈(音楽ナタリー編集部) 撮影 / 秋和杏佳

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