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『アンナチュラル』を想起せずにいられない 『メゾン・ド・ポリス』人間の様々な“脆さ”が露呈

リアルサウンド

19/2/9(土) 6:00

 ひより(高畑充希)と伊達(近藤正臣)が、メゾンで飼っている元警察犬のバロンを散歩している途中、様子のおかしい老婆・春子(島かおり)と出会う。どうやら認知症を患っていると思しき彼女は、ひよりに「人を殺しました」と告白する。2月8日に放送されたTBS系列金曜ドラマ『メゾン・ド・ポリス』第5話は、「事件」があってその「犯人」を見つけるという、ごく一般的なミステリーの順列に従ってきたこれまでの本作の流れと逆のアプローチで物語が運ぶ。容疑者たる人物が先に登場して、その人物が“自供”している「事件」があったのかを調べ上げていき、その先に「もうひとつの事件」が現れるのだ。

参考:『メゾン・ド・ポリス』軌道を微調整? 角野卓造ら“おじさま”たちの過去や内面に踏み込んだ物語に

 そういった点で今回のエピソードのつくりは、実に複雑でありながらも興味深く、そして濃密なヒューマンミステリーに仕上がっていたといえよう。少年院あがりの若者たちを積極的に採用していた町工場の創業者夫婦。その娘が30年前に連続幼女誘拐殺人事件の被害者となり、その加害者は当時14歳で少年法の保護下に置かれた少年だったという形容しがたい悲しさに満ちた事件が前提にあり、そして夫に先立たれた春子は従業員たちと家族同然の絆を作り出す。

 そんな中で、自分の娘を殺した加害者を見つけ復讐を試みるも失敗。その加害者・安達が記憶を失ってしまったことで、春子は安達を町工場の従業員として迎え入れ、3年もの間復讐の機会を伺いながら世話をしていく。そして偶然にも安達の同級生だった男が取引先におり、彼が安達を強請る現場を目撃した春子は、安達の記憶喪失が嘘と知ると同時に、安達がその男を殺す現場を目撃。結果、凶行を決意した春子は、娘がされたのと同じように安達を生きたまま埋め、復讐を成し遂げるのである。

 ひよりと夏目(西島秀俊)にすべての真相を話したのち、安達を埋めた現場で苦しみながら生き絶えてしまう春子。彼女が最後に作ったカレーを前に従業員の3人の男たちが悲痛な涙を浮かべるシーンには、様々な想いがこみ上げる。はたしてそれが、長年にわたり議論されている“少年法”というものの是非なのかといえば、そうではない。彼ら従業員の3人の男たちも、少なからずその法律の保護を受けて真っ当に更生することができているのだから。

 つまりそれは、ひとつの犯罪が生み出してしまう憎しみと悲しみ、そして犯罪の連鎖と復讐という、人間の様々な“脆さ”が露呈した悲劇的な部分であろう。今回のエピソードからは、昨年の同クールに放送された『アンナチュラル』(TBS系)の、奇しくも同じ第5話を想起せずにはいられない。恋人を殺された青年が犯人を捜し復讐を遂行する、けれども恋人は戻ってくるはずもなく、空虚な雨が打ち続ける。いかにもテレビドラマ的なご都合展開に落とし込まない救いようのなさは、我々に様々なことを考える機会を与えてくれるのかもしれない。(久保田和馬)

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