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アジアンカルチャー再編の潮流に? TWICE×『センセイ君主』MVなどに見るK-POPのダイナミズム

リアルサウンド

18/7/17(火) 8:00

 2017年の日本デビュー以来、目覚ましい活躍を見せるTWICE。K-POPグループらしい高い歌唱力と洗練されたダンスパフォーマンスに、色鮮やかで華やかなビジュアルイメージの相乗効果で、圧倒的な「陽」のオーラを日本にふりまいている。

 7月9日に公開された新曲「Dance the Night Away」(『Summer Nights』リード曲)のMVでは、初の水着姿を披露し、撮影場所が沖縄のビーチだったことでもファンを騒がせた彼女たち。日本での活動としては、人気少女漫画を原作とした日本映画『センセイ君主』の主題歌として、The Jackson 5の名曲「I WANT YOU BACK」をカバー。先駆けて公開されていた同曲のMVに加え、6月末、同作のキャストとコラボしたオリジナルMVも公開された。

『センセイ君主』×TWICE オリジナルMV【主題歌:I WANT YOU BACK】

 TWICEの日本のリスナーへの浸透度が伺えるコラボだが、彼女たちのこれまでの活動を見渡すと、こうした展開にはすでに布石が打たれていたと言える。『ラブライブ!』シリーズなどの監督として知られる京極尚彦を起用し、アニメ調にデフォルメされたメンバーたちが歌い踊る「Candy Pop」がその例だ。

TWICE「Candy Pop」Music Video

 TWICEのきびきびとしたダンスが見事にアニメに落とし込まれていることはもちろん、実写とアニメパートを自由に行き来しながら紡がれるストーリーも微笑ましい。このような漫画やアニメといった日本文化とK-POPのコラボは異色にも思えるかもしれない。しかし、日本人メンバーや台湾人メンバーを擁するTWICEの特色には非常にマッチしている。加えていえば、彼女たちに限らずK-POPアイドルグループの多国籍化は近年の傾向でもある。

 また、海外でのK-POP受容を考えても、日本のポップカルチャーとK-POPという組み合わせには合点がいく。K-POPのファンは漫画やアニメのファンとしばしば重なり合っていて、わかりやすい例を出せば、大のセーラームーン好きとして話題を呼んだロシアのフィギュアスケーターのエフゲニア・メドベージェワは、EXOの熱心なファンでもある。

 もちろん、今回取り上げたTWICEの漫画やアニメとのコラボは、日本ローカルのマーケットに向けた戦略のひとつだ。しかし、上記のような状況を鑑みれば、日本のポップカルチャーがK-POPなどを包括するアジアンカルチャーの文脈に再編される潮流のひとつとして、より広い視野で捉えることもできる。

 K-POPのミュージックビデオはしばしば「○○風」とくくれるような引用やパスティシュを巧みに取り入れるが、そのなかでも、日本的なアイコンがフィーチャーされている例をほかに見てみよう。BLACKPINKの「WHISTLE」だ。

BLACKPINK – ‘휘파람'(WHISTLE) M/V

 ビデオ冒頭にメンバーのリサがスーパーファミコンのコントローラーを改造するシーンがあるほか、何度かスーパーファミコンやドリームキャストといった日本発のゲームコンソールが登場するカットが見られる。果たしてどういった脈絡で挿入されているのかは定かではないが、それだけに強い印象を残す。なんらかの隠喩というよりも、アジアを示すエキゾチックな記号として引用されているのかもしれない。

 また、日本発のポップカルチャーがかつて韓国のポップカルチャーに与えた影響が如実に感じられるミュージックビデオに、LOONA/ViViの「Everyday I Love You (Feat. HaSeul)」がある。

 甘酸っぱいダンスポップにあわせ、K-POPらしいビビッドな色彩で描かれるのは、90年代の韓国をオマージュしたラブストーリー。カセットプレイヤー、大きなデジカメといったガジェットに加えて、90年代に人気を博した韓国のマンファ(漫画)『フルハウス』などが登場する。いかにも少女漫画的な画風のマンファや、KONAMIの音ゲーに影響されたアーケードゲームには、日本人にも訴えるものがある。現在隆盛を極めるK-POPの視点から、かつての韓国のポップカルチャーがノスタルジックにデフォルメされているのが印象的だ。

[MV] 이달의 소녀/ViVi (LOONA/비비) “Everyday I Love You (Feat. HaSeul)”

 産業として、文化として勢いづいているK-POPの何よりの特徴は、あらゆるポップカルチャーのエッセンスを取り入れる貪欲さにある。日本のポップカルチャーも、またそれに影響を受けたかつての韓国のポップカルチャーも例外ではなく、現在の視点からダイナミックにシャッフルされ、新たな文脈に置き直される。このK-POPのダイナミズムは、アジアンカルチャーに対する外側からの視線もまた再編することになるだろう。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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