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平井 大、星野源、秦 基博、平井 堅……『映画ドラえもん』主題歌はなぜ子供から大人にまで響く?

リアルサウンド

19/3/31(日) 8:00

 年に一度公開される『映画ドラえもん』シリーズだが、2014年の『STAND BY ME ドラえもん』以降「大人が泣ける映画」としてブームが再燃している。子ども時代にアニメや映画を見ていても一度は“卒業”したドラえもんで、ここまで大人たちが「泣ける」という理由。その中には、愛くるしいキャラクターたちが繰り広げる物語に加えて、主題歌も一つの要素になっているのではないだろうか。今回は、楽曲の歌詞や歌っているアーティストに触れながら、改めて『映画ドラえもん』と主題歌の親和性について紐解いていきたい。

 最新作『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の主題歌である平井 大の「THE GIFT」は、2019年3月25日付のBillboard JAPANアニメチャート“Hot Animation”で2週連続1位を獲得した。また、『映画ドラえもん』シリーズの中で興行収入1位の映画『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌である秦 基博の「ひまわりの約束」は、同じくBillboard JAPANの総合ソング・チャート“HOT100”にて2014年8月11日付の初登場以来160回以上のチャートインを記録している。

 誰もが知る国民的アニメの映画主題歌を務めてきた大役は、ここ10年ほどで振り返ってみても、スキマスイッチ、絢香、BUMP OF CHICKEN、山崎まさよし、平井堅、星野源などが挙げられる。どのアーティストもJ-POPのメインストリームで活躍しているアーティストたちだが、それは単に流行に乗った起用ということではない。物語のテーマに沿ったメッセージをしっかりと映画を見た人に伝えることのできるアーティストたちが、<J-POP×ドラえもん=名曲>の方程式を生んでいるのだ。だからこそ、ヒットの代名詞となるほど映画と足並みを揃えて主題歌になる楽曲が多くの人の心に届いているのだと思う。

 また、人々が「共感できる」と頷く歌詞も、主題歌が響くと言われる理由の一つだ。ここでは、近年のドラえもん再ブームの火付け役ともいえる『STAND BY ME ドラえもん』で主題歌を担当した秦 基博「ひまわりの約束」から最新作で主題歌を担当した平井 大「THE GIFT」まで、近年の『映画ドラえもん』の主題歌となった楽曲の歌詞に注目しながら考察してみよう。

(関連:平井 大『映画 ドラえもん』主題歌になぜ抜擢? 「THE GIFT」からSSWとしての手腕を紐解く

■秦 基博「ひまわりの約束」

 「のび太の結婚前夜」や「帰ってきたドラえもん」など、コミック版『ドラえもん』の名作エピソードが3DCGで蘇った『STAND BY ME ドラえもん』で主題歌となった秦 基博の「ひまわりの約束」は、〈どうして君が泣くの/まだ僕も泣いていないのに/自分より悲しむから/つらいのがどっちかわからなくなるよ〉〈そばにいたいよ/君のために出来ることが僕にあるかな〉と、映画のタイトル通り相手に寄り添い思いやる温かさに溢れた楽曲。

■平井 堅「僕の心をつくってよ」

 真夏の暑さに耐えかねたのび太たちが向かった南太平洋に浮かぶ巨大な氷山。その下に閉ざされた、巨大な古代都市をめぐる冒険が展開される『映画ドラえもん』の原点回帰とも言える作品『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』(2017年)の主題歌である平井堅の「僕の心をつくってよ」。〈誰といても僕じゃない気がして/誰かの後ろを見てた/隠れても隠れても/君だけは僕を見つけてくれた〉〈ねぇ 君のずるさを晒してよ/ねぇ 僕のダメさを叱ってよ/これからも この先も/僕の心をつくってよ〉と歌うこの歌は弱い「僕」と守ってくれる「君」の関係性と相手への信頼感を強く感じさせる。

■星野源「ドラえもん」

 のび太たちがドラえもんのひみつ道具“宝探し地図”を手掛かりとし、ノビタオーラ号と名付けられた船で宝島に向かい、島に眠る宝を探しに行くという冒険ストーリーが展開される『映画ドラえもん のび太の宝島』(2018年)。星野源が担当した主題歌のタイトルは「ドラえもん」。〈少しだけ不思議な 普段のお話〉と「少し不思議」(略称は「SF」、藤子・F・不二雄が自身の作品をそう語っている)な作品の本質を突くようなスタートから、〈ここにおいでよ 一緒に冒険しよう/何者でもなくても 世界を救おう〉〈いつか時が流れて 必ず辿り着くから/君に会えるよ どどどどどどどどど ドラえもん〉とど直球に『ドラえもん』の世界を歌っている。曲の節々にキャラクターやストーリーを想起させるフレーズやメロディが織り交ぜられており、星野の『ドラえもん』愛が伝わる歌詞になっている。

■平井 大「THE GIFT」

 のび太が「月にウサギがいる」と主張したことから、“異説クラブメンバーズバッジ”を使って月の裏側にウサギ王国を造ることになったドラえもんたちの冒険を描くシリーズ最新作『映画ドラえもん のび太の月面探査記』。映画のテーマに沿って月をテーマに描かれた平井 大による「THE GIFT」 は、〈忘れないで 僕らが出会えたキセキを/そしてキセキは信じるものだけに 贈られるモノ This is a gift from the moon〉と、優しい歌詞が心に残るバラードとなっている。本作で監督を務めた八鍬新之介は、同曲について「とても素敵な、映画のテーマを見事に捉えた曲」と語っている。

 映画版では壮大なスケール感の中で描かれるのび太とドラえもんの信頼関係、登場キャラクターとの間で育まれる友情が毎回一つのテーマになっている。ドラえもんへの大きなリスペクトと愛をもってアーティストたちが映画の物語に寄り添って書き下ろした歌詞からは、それらが十分に伝わってくる。また、「君」と「僕」といえばのび太とドラえもん、「僕ら」といえば2人とジャイアン、スネ夫、しずかちゃんを誰もが思い浮かべながら聴くことができる。何より、ドラえもんの世界観に感情移入しながらも、自身の生活や気持ちに重ね合わせて聴けるという点が幅広い世代に伝わりやすくJ-POPとの相性も良いのだろう。

 なお、1979年4月2日に放送が始まったTVアニメ『ドラえもん』は40周年に突入することを記念して、第1話として放送された「ゆめの町、ノビタランド」が2019年4月5日にリメイク放送決定。さらに、『映画ドラえもん』シリーズは、1980年に第1作目『映画ドラえもん のび太の恐竜』が公開されてから来年で20周年を迎える。平成が終わりを迎え新しい時代が幕を開けても、国民的アニメに華を添える名曲の数々が生まれることを期待したい。(神人未稀)