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ケヴィン・ファイギ (C)2019 MARVEL

なぜ“終止符”が打たれるのか? マーベル映画のトップが語る『アベンジャーズ/エンドゲーム』

ぴあ

19/4/25(木) 7:00

2008年の『アイアンマン』からスタートしたマーベル映画のシリーズ“MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース”がついに『アベンジャーズ/エンドゲーム』でクライマックスを迎える。10余年に渡って驚異的な成功を収め、全世界がその動向を注視するマーベル映画はケヴィン・ファイギがプロデューサーを務め、スタジオを率いてきた。彼はなぜ、このタイミングでシリーズに“終止符”を打とうとするのだろうか? ファイギは語る。「素晴らしい物語には“結末”が必要なのです」

学生時代に映画プロデューサーの見習いを始めたファイギは、『X-メン』などの作品で研鑽を積み、2007年にマーベル・スタジオの社長に就任。人気コミックを映画会社に“貸す”のではなく、自ら映画製作に乗り出すことを決めたが、彼はいつも「私はまず最初に映画ファンで、それからコミックを読み始めるようになりました。だから、私たちの最大の目標は、原作の見た目や世界観をいかにスクリーンに転換するかよりも、“いい映画をつくること”なんです。私たちの製作チームは“コミック・ファン”ではなく“フィルム・メイカー”の集まりなんです」と説明する。

その上で彼はふたつの“前人未到のチャレンジ”に挑む。ひとつは、続編ではない別の映画であっても、それらが“同じ世界観”を共有するようにしたことだ。「私はコミックスが相互につながったユニバースを持つ、という考えが大好きです。そこで思ったのです、なぜ、誰もこのアイデアを映画でやらないのだろう? このアイデアは僕たちがやるべきなんじゃないか? とね」。彼らは新作を次々に製作し、そこで登場したヒーローたちが影響を与えあったり、時には最強のチーム“アベンジャーズ”を結成する大作映画を手がけた。さらに彼らは複数の映画をフェーズ(期)でまとめて、1本ずつでも楽しめるし、続けて観ると壮大なドラマが浮かび上がってくるように脚本を執筆した。

その結果、世界観とドラマの壮大さ、複数の映画の設定やストーリーが化学反応を起こす楽しさに魅了されたファンが急増。あらゆる興行記録を塗り替える成功をおさめるようになったが、ファイギはもうひとつ“誰もやっていないチャレンジ”を仕掛ける。それは、フェーズ3をもって壮大なドラマの幕を閉じることだ。「シリーズ小説ですと『ハリー・ポッター』などでもちゃんと結末を迎えますよね? ところがコミックというのは、新しいバージョンはいくつもありますけど、結末というのは描かれないわけです。だから私たちは、様々なコミックの物語を集結させて、ドラマの“はじまり”と“真ん中”と“結末”を描きたかったのです」

彼らは結末を描くためにシリーズ開始から数年で準備を始めたという。「どんな素晴らしい物語にもエンディングはあります。素晴らしい物語には“結末”が必要なのです。結末を描こうと決めた時、物語はそこに向かって走り始めますし、ある物語が終わる時、私たちはそこで初めて“新しいはじまり”について考えることができるでしょう。ひとつの物語が終わり、新しく何かが始まる。これはとても胸躍る考えだと思います」

言うまでもないことだが、こんな壮大な計画を成功させ、シリーズの人気が下降するどころか上昇し続けている段階で終止符を打つことができるのは、ファンがマーベル映画を支持しているからだ。「ファンのみなさんの反応や映画の成功が、私たちにインスピレーションを与えてくれましたし、私たちを進むべき道に向かわせてくれているのだと考えています」

だからこそファイギと仲間たちはこの10余年、“映画を愛する”ことだけに集中してきた。「私たちは映画を愛していて、そのことだけを考え、優先順位の一番にして仕事をしてきました。ですから、他の人がどんな映画をつくっているとか、業界でどんなことが起こっているかには時間を割きませんでした。他の人が手がけた新作映画を観に行くのは純粋にその映画が観たいからで(笑)、私たちは自分たちのミッションに集中してきました。昨年にマーベル映画が10周年を迎えて、多くの方がこれまでの10年について記事を書いてくださったのを見て初めて『そうか。僕たちがやってきたことは、まだ誰もやっていないことだったんだな』と気づいたぐらいです。もちろん、その後はすぐに映画づくりに戻るだけです(笑)」

ファイギたちはハリウッドの流行やネームヴァリューに流されず、こんな言い方もどうかと思うが、ひたすら“真面目”に映画づくりを続けてきたのだ。

「私たちはすべての作品に対して同じ姿勢を貫いてきました。スタジオが始まった時、私たちは本当に小さなグループで、コミックスから映画の企画を作ろうとあれこれ試みるも、そのアイデアは長い間、使いモノになりませんでした。それでも私たちは諦めずに企画を練り続けました。というのも、もし『アイアンマン』が成功しなければ、スタジオは成立しないし、誰も私たちに映画を作らせてはくれないだろうと思ったからです。そして今でも私たちはあの時と変わらず“今回の映画がうまくいかなければ、それですべてが終わってしまう”と考えています。だからこそ私たちは“最高のアイデアこそがすべてに勝る”と思い、常に良いアイデアを加え、新しい映画をどんどん足していくことにしたわけです。ディズニーのような大きな会社が信任してくれたことで、私たちは“どの俳優が人気なんだろう?”とか“今週末にヒットした映画みたいな作品を自分たちも作った方がいいのだろうか?”などの恐怖から解放されました」

1作ずつ物語が積み上げられてきた壮大なサーガはついにクライマックスを迎える。その内容は一切、明かされていないが、これもまたファイギたちがマーベル映画を愛するファンのためにしていることだ。彼らは前例がなかろうが、知名度がなかろうが関係ない。マーベル映画は観客を驚かせ、楽しませることだけを考える。そして世界中のファンは彼らの姿勢を支持する。マーベル映画10余年最大の奇跡は、金でも記録でもなく、ファイギたちとファンの幸福な関係ではないだろうか。 「思い返せば12年前。私と映画監督のジョン・ファヴローが小さなオフィスで話をしていた時に誰かが『アイアンマン役はロバート・ダウニーJr.はどうだろう?』と言いました。私たちは『うーん……どうなんだろう? 彼がこの役をやってくれるのかな。やってくれたらクールだけどね』と反応したのですが、そのアイデアが頭から離れなくなりました。当時、そんな風にしてキャスティングをするスタジオはハリウッドにはありませんでした。でも、結果としてこのアイデアが成功を導き、私たちは以降も、このやり方を続けるようになりました。私たちはいつだって、自分たちを驚かせ、ワクワクさせる物語を探し求め、観客の方が同じように反応してもらえたらうれしいと願ってきたのです」

彼らが純粋に良いアイデアだけを追い求め続けてたどり着いた“結末”は一体、どんな内容なのだろう? マーベルの壮大なドラマが“素晴らしい物語”になるために、そして私たちが“新しいはじまり”を迎えるために今、最終決戦が幕を開ける!

『アベンジャーズ/エンドゲーム』
4月26日(金)より全国公開

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