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乃木坂46はこれからどこへ向かう? 6thアニバライブからグループの“存在意義の変化”を紐解く

リアルサウンド

18/7/28(土) 10:00

 乃木坂46が毎年恒例にしているバースデーライブは、6回目を迎える今年、これまでと大きく様相を変えた。7月6~8日に明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場の2会場を用いて行なわれた『真夏の全国ツアー2018 ~6th YEAR BIRTHDAY LIVE』が示したのは、これまで「内向きのお祝い」としての要素を多く含んでいたバースデーライブを、いわば「外向きのお祭り」へと作り変えてゆくような進化だった。

 従来のバースデーライブは、ライブ開催時点までのリリース楽曲すべてをパフォーマンスするコンセプトのもとに組み立てられてきた。それこそが乃木坂46のバースデーライブのアイデンティティであったし、ひとつのライブを通じてグループの歴史を幾度も追体験するその企画には、特有の達成感と貴さがあった。

 ただし同時に、それはどこまでも内向きの歴史をたどるという性格を持ち続ける。披露する楽曲数は年を追って必然的に増加し、ライブが3日間に分割された2016年以降はそれら全楽曲を各日に振り分けるために、一公演単位での完成度をどこに求めるか、シングル表題曲をいかに分散させるのかという課題も生まれることになった。

 今年の3日間では、グループの歩みを隅々まで共有することに重きを置いてきたバースデーライブ恒例のセットリストを手放すかわりに、夏仕様の大規模ワンマンライブとして内容を一新させた。2年ぶりに『真夏の全国ツアー』の日程中にバースデーライブを組み込み、現行最新シングル『シンクロニシティ』の選抜/アンダーメンバーのチーム分けを基軸にしたライブ構成は、実質的には“今”の乃木坂46を表現するワンマンライブだったと言っていい。

 また、二つの大会場を用いての同時開催にまで拡大した今回のライブは、乃木坂46単独の音楽フェスであるかのような想像力も喚起する。両会場合計で一日あたり6万人を動員する規模感、隣接会場で上演されるパフォーマンスを目にすることはできずとも、時折互いの会場の上演曲の音だけが遠くに聞こえる夏の情景、あるいはメンバーが双方の会場を行き来するバックステージの様子がコンテンツになるさまなどは、フェス的な風景が断片的に織り込まれているようでもあった。

 そして、3日間を通じて上演曲目を基本的に統一したセットリストは、バースデーライブの意味を著しく変えてみせる。シングル表題曲のほとんどを組み込み、乃木坂46のトレードマークとなる姿をみせることに重きを置いた構成は、従来のバースデーライブ特有の文脈を共有しない層に向けても届けやすい。いまや社会的に巨大な存在感をもつ乃木坂46にとって、背負う役割も誰に何を届ければよいかもかつてとは変わらざるを得ない。選抜/アンダーのチーム分けを基本として、メンバーは双方の会場を行き来しながらライブを上演していくが、いずれの会場でも共通の曲目披露を原則としているため、3日間のうちどの日のいずれの会場に足を運んでいたとしても、ほぼ同じ楽曲群を味わえるように組まれていた。2018年の乃木坂46は、多くの人々に向けてグループの代表的なカラーを表現することを選択したと言える。

 前述のフェス的な想像力を発展させるならば来年以降、セットリストをいかに構成するかという選択肢はいくつも考えうるだろう。しかしともかくもバースデーライブ史上、最も外部に開かれたものとして、今回の『6th YEAR BIRTHDAY LIVE』はあった。

 歴史の記述よりも現在形を重視したライブであるだけに、“今”の乃木坂46を提示する場として印象的な要素が多く見いだせたのも今回の特徴だった。

 毎年、夏の神宮球場ライブ開催時にセンターを背負うメンバーには、大きな期待と重圧とがかけられてきた。今回、特に注目すべきは2つの会場のセンターを白石麻衣とともに分け合ったアンダーセンターの鈴木絢音だっただろう。年始のアンダーアルバム新録曲「自惚れビーチ」や20thシングルアンダー曲「新しい世界」でセンターを担当し、次作表題曲「ジコチューで行こう!」の選抜メンバーに選ばれた2期生の彼女が今回のライブで見せた存在感は、この先に向けての大きな希望になる。

 層の厚い乃木坂46で新進メンバーが選抜に定着するのは難しい。その困難を最も引き受けてきたのは2期生であったし、状況は現在も大きく変わったわけではない。けれども、長いキャリアのなかでアンダーライブの蓄積をはじめ、1期選抜メンバーと遜色ないライブパフォーマンスを続けてきたからこそ、二つの大会場を選抜メンバーと分け合うまでの実力が蓄えられてきた。このバースデーライブでアンダーの旗手を務めた鈴木が、21thシングル期間とも重なる全国ツアーで何を開拓できるかは重要である。ともにアンダーメンバーを今日の高水準に育ててきた相楽伊織と1期生の斎藤ちはるのラストライブでもあり、本格参加を果たした北野日奈子が自身のリスタートを告げる公演にもなるなど、アンダーにとっても変化の時機を示す3日間となった。

 そして、充実期を迎えて久しい選抜メンバーの表現にも、これまでとは違う視野がうかがえた。セットリスト中に高い割合で配置されたシングル表題曲はいずれも貫禄と現在の好調さを感じさせるパフォーマンスだったが、新たな視界の獲得という面で象徴的だったのは、2会場同タイミングによる“シンクロニシティ”型の披露となった「制服のマネキン」である。

 「制服のマネキン」は、当時10代の生駒里奈を大前提とした想像力のもとで育まれてきた楽曲であり、以降も生駒が在籍している限りは常に、彼女の圧倒的な求心力を礎にしてパフォーマンスされてきた。生駒の卒業後もグループの代表曲のひとつであることは変わらないが、齋藤飛鳥を中心に白石麻衣や西野七瀬らが主導する現行の「制服のマネキン」は、同曲が作られた時点での志向性を超えたものになっていた。

 何年もの実績を積み上げてトップグループになったメンバーたちのパフォーマンスは、この楽曲が当初想定していた世界観よりもずっと成熟した表現になっている。いわば神宮球場/秩父宮ラグビー場での「制服のマネキン」は、初期乃木坂46の代表曲を、プロとして幾年も過ごした本人たち自らが換骨奪胎して作り変えるような趣をみせていた。これはグループの絶対的な象徴が去ったのちの乃木坂46像としても、とても興味深い進化だった。乃木坂46の“今”が強調されたことで、従来のバースデーライブとはまた異なる仕方でグループの過去から未来までを見通すことができる。

 もちろん、そうした進化は生駒センター期の乃木坂46を知らなければ面白みが伝わらないというものではない。最も外部に開かれたメンバーたちによる上演は、明快なメジャー感を誇っている。

 異例の会場規模や動員数も、3日間の目玉としてある両会場同タイミング楽曲披露という大掛かりな企画も、現在の乃木坂46がもつ広い層への訴求力を物語る、「外向きのお祭り」のための要素としてある。かつてとは社会的な位置づけが変わったことで、バースデーライブの存在意義もまた形を変えた。グループの最重要イベントであり続けてきたバースデーライブには来年以降、どのような視界が託されるのか。

(画像提供=(C)乃木坂46LLC)

■香月孝史(Twitter
ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。

<セットリスト>
乃木坂46『真夏の全国ツアー2018 〜6th YEAR BIRTHDAY LIVE〜』
2018年7月6日(金)〜8日(日)明治神宮野球場&秩父宮ラグビー場 セットリスト
※曲名後の(明)は明治神宮野球場、(秩)は秩父宮ラグビー場で披露された楽曲。特に表記がない場合は2会場共通。

7月6日
00. Overture
01. 自惚れビーチ(明)/裸足でSummer(秩)
02. 13日の金曜日(明)/夏のFree&Easy(秩)
03. 新しい世界(明)/太陽ノック(秩)
04. 風船は生きている(明)/今、話したい誰かがいる(秩)
05. アンダー(明)/何度目の青空か?(秩)
06. 走れ!Bicycle
07. ロマンスのスタート
08. DANCEナンバー
09. 制服のマネキン
10. 命は美しい
11. いつかできるから今日できる(明)/あの日 僕は咄嗟に嘘をついた(秩)
12. ガールズルール(明)/シークレットグラフィティー(秩)
13. 雲になればいい(明)/誰よりそばにいたい(秩)
14. でこぴん(明)/僕の衝動(秩)
15. 釣り堀(明)/トキトキメキメキ(秩)
16. Threefold choice(明)/三番目の風(秩)
17. 誰よりそばにいたい(明)/逃げ水(秩)
18. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた(明)/いつかできるから今日できる(秩)
19. シークレットグラフィティー(明)/ガールズルール(秩)
20. 僕の衝動(明)/雲になればいい(秩)
21. トキトキメキメキ(明)/でこぴん(秩)
22. 三番目の風(明)/釣り堀(秩)
23. 逃げ水(明)/Threefold choice(秩)
24. 何度目の青空か?(明)/自惚れビーチ(秩)
25. 今、話したい誰かがいる(明)/新しい世界(秩)
26. シンクロニシティ
27. 太陽ノック(明)/13日の金曜日(秩)
28. 夏のFree&Easy(明)/風船は生きている(秩)
29. 裸足でSummer(明)/アンダー(秩)
30. 君の名は希望

<アンコール>
31. インフルエンサー
32. ハウス!
33. ダンケシェーン
34. 乃木坂の詩

7月7日
00. Overture
01. 裸足でSummer(明)/自惚れビーチ(秩)
02. 夏のFree&Easy(明)/風船は生きている(秩)
03. 太陽ノック(明)/13日の金曜日(秩)
04. 今、話したい誰かがいる(明)/新しい世界(秩)
05. 気づいたら片思い(明)/アンダー(秩)
06. 走れ!Bicycle
07. ハウス!
08. DANCEナンバー
09. 制服のマネキン
10. 命は美しい
11. 誰よりそばにいたい(明)/バレッタ(秩)
12. ここにいる理由(明)/ガールズルール(秩)
13. My rule(明)/Rewindあの日(秩)
14. 思い出ファースト(明)/あらかじめ語られるロマンス(秩)
15. 未来の答え(明)/オフショアガール(秩)
16. 三番目の風(明)/やさしさとは(秩)
17. 逃げ水(明)/ここにいる理由(秩)
18. バレッタ(明)/My rule(秩)
19. ガールズルール(明)/誰よりそばにいたい(秩)
20. Rewindあの日(明)/思い出ファースト(秩)
21. あらかじめ語られるロマンス(明)/未来の答え(秩)
22. オフショアガール(明)/三番目の風(秩)
23. やさしさとは(明)/逃げ水(秩)
24. 自惚れビーチ(明)/気づいたら片思い(秩)
25. 新しい世界(明)/今、話したい誰かがいる(秩)
26. シンクロニシティ
27. 13日の金曜日(明)/太陽ノック(秩)
28. 風船は生きている(明)/夏のFree&Easy(秩)
29. アンダー(明)/裸足でSummer(秩)
30. 君の名は希望
<アンコール>
31. インフルエンサー
32. ロマンスのスタート
33. ロマンティックいか焼き
34. 乃木坂の詩

7月8日
00. Overture
01. 自惚れビーチ(明)/裸足でSummer(秩)
02. 13日の金曜日(明)/夏のFree&Easy(秩)
03. 新しい世界(明)/太陽ノック(秩)
04. 風船は生きている(明)/逃げ水(秩)
05. アンダー(明)/サヨナラの意味(秩)
06. 走れ!Bicycle
07. ダンケシェーン
08. DANCEナンバー
09. 制服のマネキン
10. 命は美しい
11. きっかけ(明)/不等号(秩)
12. ガールズルール(明)/シークレットグラフィティー(秩)
13. あの教室(明)/誰よりそばにいたい(秩)
14. 僕が行かなきゃ誰が行くんだ?(明)/僕の衝動(秩)
15. 低体温のキス(明)/トキトキメキメキ(秩)
16. 意外BREAK(明)/三番目の風(秩)
17. 誰よりそばにいたい(明)/インフルエンサー(秩)
18. 不等号(明)/きっかけ(秩)
19. シークレットグラフィティー(明)/ガールズルール(秩)
20. 僕の衝動(明)/あの教室(秩)
21. トキトキメキメキ(明)/僕が行かなきゃ誰が行くんだ?(秩)
22. 三番目の風(明)/低体温のキス(秩)
23. インフルエンサー(明)/意外BREAK(秩)
24. サヨナラの意味(明)/自惚れビーチ(秩)
25. 逃げ水(明)/新しい世界(秩)
26. シンクロニシティ
27. 太陽ノック(明)/13日の金曜日(秩)
28. 夏のFree&Easy(明)/風船は生きている(秩)
29. 裸足でSummer(明)/アンダー(秩)
30. 君の名は希望
<アンコール>
31. ロマンスのスタート
32. 転がった鐘を鳴らせ!
33. 三角の空き地(明)/ジコチューで行こう!(秩)
34. 乃木坂の詩
35. ジコチューで行こう!(明)/三角の空き地(秩)
36. ハウス!
37. おいでシャンプー
<ダブルアンコール>
38. ガールズルール

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