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欅坂46 平手友梨奈は主人公であり続けるーー新曲「黒い羊」の一人称“僕”から感じたこと

リアルサウンド

19/1/24(木) 8:00

 欅坂46(以下、欅坂)が、2月27日に8thシングル『黒い羊』をリリース。早くも表題曲が『未来の鍵を握る学校 SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM/以下、『SCHOOL OF LOCK!』)で初解禁された。2018年はメンバーの卒業や二期生の加入など大きな変化があっただけに、欅坂第二章を飾る前向きな曲になるかと思いきや、グループの本質とも言える、心情を深くえぐりぶち撒けるかのような感傷的な楽曲に。〈全部僕のせいだ〉という衝撃的なフレーズからもわかるように、進化ではなく内面へとより深化している印象を受けた。

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 1月14日オフィシャルサイトに、階段に白いペンキがかかったジャケットという意味深なティザーが掲げられ、半年振りの8thシングルのリリースが告知される。その直後にラジオ番組に出演した菅井友香や小池美波は「胸が締め付けられる曲」という共通の感想を口にし、齋藤冬優花はブログに「今回も作品、そして主人公をみんなで大切に育てていきたいです」と綴っていた。それから間もなく、タイトル「黒い羊」が発表され、その言葉の意味について菅井がブログで「除け者や厄介者の意味を持つ言葉です」と解説。今回もまた人間関係や社会の中での自分に対する葛藤を訴えるような実に欅坂らしい曲となった。

 そんな「黒い羊」は、街の雑踏から始まり、ピアノの旋律が流れると、平手の低い歌声が響く。この瞬間、今回もやはり“主人公”は平手友梨奈だと感じ、安堵すると同時に、あまりにもストレートな歌詞が胸に突き刺さる。それは、平手が今置かれている状況を彷彿とさせ、彼女の心の叫びのように聞こえるからだ。以前から秋元康はラジオや紙面で、欅坂の曲を作詞する上で、メンバーが今何を考えているのか、それに対してアドバイスを贈るようなメッセージ性を意識していると語っている。今回の歌詞も例外ではないはずだ。

 これまで欅坂を背負い続けてきた平手は、昨年休業したことで、一度グループを路頭に迷わせたのも事実。それだけに平手に〈全部僕のせいだ〉という言葉を歌わせるのは、あまりにも重い。そして、それを言わせた周りのメンバーもまた追い込まれているように感じる。さらに〈止まってた針はまた動き出すんだろ〉という歌詞からは、今泉佑唯がソロ曲「日が昇るまで」で〈時間よ 進め…〉と歌っていたことを思い出し、卒業したメンバーにも当てはまる曲と解釈できる。

 「黒い羊」の初解禁直後、『SCHOOL OF LOCK!』のMCであるとーやま校長ことグランジ・遠山大輔が「ついに来たなという感覚」と感想を述べていた。今までは美しいダンスナンバーやパワフルな表題曲に対し、カップリング曲は「エキセントリック」や「月曜日の朝、スカートを切られた」、「避雷針」など、表題曲の裏とも言える、彼女たちの本質的で辛辣な内容の歌が並んでいた。それがついに表に出て来たのだ。「黒い羊」は、受け入れ難いカルト的な曲だと捉える人もいるかもしれない。だが、約3年半の活動を経て、欅坂と平手がどういう存在なのかが浸透してきた今だからこそ、世間に媚びることなく、自分たちの真のスタイルを貫くことを改めて決意し、それを表明した勝負曲のように感じた。

 秋元康が「エキセントリック」が解禁される時に、755のトークで「そのうち、こういう曲を表題曲にしたいですね」とで呟いていたが、そのタイミングが今回だったのだろう。“僕”という一人称は、表題曲では「サイレントマジョリティー」から「風に吹かれても」まで続き(「ガラスを割れ!」は“俺”、「アンビバレント」は“私”)、それ以降はカップリング曲で使われていたが、今回満を持して主人公“僕”が表題曲に帰って来た。激動の2018年を経験した欅坂が出した答えが、平手と心中する覚悟というように感じた。

 曲調に関しては、ピアノの旋律と低めの声で囁くような歌い出し、そしてたまに入る語りなど、どこか映画『響 -HIBIKI-』の平手が歌う主題歌「角を曲がる」を彷彿とさせる。歌詞もまた「自分の棺」や「夜明けの孤独」などの平手のソロ曲に近い印象だ。まだ発表されていないが、もし平手がセンターだとするならば代理が難しい曲だと考える。また約5分もある言葉が多いこの曲に、どういう振りが付くのだろうか。

 欅坂の曲は、MVを見ると印象が変わるものが少なくない。齋藤もブログに「私はMVを通して、この曲への想いといいますか、聴こえ方が変わった気がしています」と綴っていたため、MVへの期待がより高まる。欅坂の初詣で、長濱ねると上村莉菜が茶髪になっていたことがファンの間で話題となっていたが、もしかして〈髪の毛を染めろという大人は何が気に入らない/反逆の象徴になるとでも思っているのか〉という歌詞を表現していたのだろうか。

 表題曲が感傷的な曲となったことで、逆にカップリング曲がどう弾けたものになってくるのか楽しみだ。すでに、けやき坂46はカレーハウスCoCo壱番屋のキャンペーンソングである「君に話しておきたいこと」が収録されると発表されている。お互いのグループのカラーがより対照的になってきたことで、今後の2グループの関係性も気になるところ。続報が待ち遠しい。(文=本 手)

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