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相葉雅紀が伝えた「虹の橋」に涙 『僕とシッポと神楽坂』“悪役”のいない物語の暖かさ

リアルサウンド

18/10/20(土) 6:00

 東京・早稲田と飯田橋の間にある神楽坂。都心のと真ん中でありながら、一歩足を踏み入れるとそこには不思議な空気が漂っている。石畳のある道、昔からの伝統を受け継ぐ老舗、そして地名のとおり、緩やかな坂から急な坂まで多数の坂や路地、横丁があり、訪れるたびに新しい発見がある街だ。そんな神楽坂を舞台としたドラマ『僕とシッポと神楽坂』(テレビ朝日系)は、街の魅力と同じように新しい気付きを私たちに与えてくれる。

参考:相葉雅紀の“優しさ”が物語の魅力に 『僕とシッポと神楽坂』は1週間の疲れを癒やしてくれる

 相葉雅紀演じるコオ先生こと高円寺達也は、加瀬トキワ(広末涼子)を看護師に迎え、『坂の上動物病院』の院長として再出発する。田代(村上淳)との繋がりなどから、トキワは充実の設備を備えたナルタウン動物病院に務めることもできたはず。しかし、達也のペットと飼い主に真摯に向き合う姿勢に惹かれ、トキワは坂の上動物病院を選んだ。トキワに好意を寄せる田代からすれば、決して面白い話ではない。そんな矢先に、症例発表会で達也と田代が相まみえる。

 田代は足に骨肉腫を患う犬・ジュリの治療に、新薬を使った投薬治療を行っていることを説明。一方、達也は「ペットと飼い主の心の治療と在宅ケア」についての講演を行う。異なる主張、働く環境もまったく異なる2人。定番の型に当てはめれば、田代は“悪役”的立ち位置のキャラクターだ(金の腕時計が余計にその印象を強くする)。しかし、本作はそんな期待をいい意味で裏切っていく。

 ナルタウン動物病院に愛犬・ジュリの治療を任せていた飼い主・大沢香子(喜多乃愛)は、投薬治療に苦しむ姿を見て、症例発表会で知り合った獣医学生・堀川(小瀧望)と共に坂の上動物病院へ転院させる。ジュリを診断した達也は、すでに投薬治療が限界に達していること、痛みを取り除くには足の切断という処置を取るしかないことを香子に伝える。その伝え方には威圧感は一切ない。ただひたすら、ジュリの幸せはどこにあるのか、自分たちに何ができるのか、一緒に考えていくことを提案する。「頑張って、頑張って、偉かったねえ」。達也がジュリに投げかける言葉は暖かい。達也を演じる相葉本人の持つ優しさ、そして芯の通った強さが見事に役柄と合致したワンシーンだった。

 ジュリの転院を余儀なくされた田代だが、彼も私利私欲のために治療を行っていたわけではない。ジュリのためになんとかしたいという気持ち、香子の母・頼子(ホーチャンミ)からの要望にも応えないといけないという板挟みだったのだ。達也が行うジュリの手術時間を気にする様子や、動物とじゃれ合う姿を見て、田代の持つ優しさに笑みがこぼれた方も多いだろう。このドラマには“悪役”がいない。みなが誰かのために、ペットのために、何をするべきかを考えている。それが作品全体の暖かさにつながっている。相葉雅紀を包み込む光の柔らかさもあいまって、ある種のファンタジーとも言えるかもしれない。

 無事に手術が成功したジュリは補助輪を付け、再び香子と散歩にも出られるように。しかし、幸せはつかの間、数ヶ月後にこの世を旅立ってしまう。達也は悲しむ香子に「虹の橋」を語る。この世を去ったペットは天国の手前にある虹の橋で、1番元気だった頃の体で大切な人を待っているという。どんなものにも別れはやってくる。でも、必ずまた再会できる。だから、心の中で生き続けていくのだと。虹のかかった草原で走り回るジュリの姿は、ペットを飼ったことがある方はもちろん、大切な何かとの別れを経験したすべての方にとって、胸が熱くなったことだろう。

 心暖まる物語と、モフモフのペットたち、そして相葉雅紀の笑顔。『僕とシッポと神楽坂』は、金曜日の夜に癒やしの時間を与えてくれている。(石井達也)

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