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いま、最高の一本に出会える

エド・シーラン、唯一人のステージで世界最高峰のエンターテインメントを体現した東京ドーム公演

リアルサウンド

19/4/24(水) 18:00

 2017年3月にリリースされた3rdアルバム『÷(ディバイド)』が世界中で驚異的なロングヒットを記録。ここ日本でも爆発的なヒットとなり、今年2月には「Shape Of You」が国内のストリーミングサービスで1億回再生を突破するなど、数々の記録を作り続けているエド・シーラン。昨年の日本武道館、大阪城ホールでの公演に続く今回のツアーの会場は東京ドームと京セラドーム大阪。筆者は日本武道館ライブを観る幸運に恵まれ、「ほんとに一人だけでこんなにすごいライブをやるんだ! すげえ!」と驚愕したのだが、今回のスケールはその数倍。この日もエドは、ギター1本と歌だけで5万数千人のオーディエンスと向き合い、感動と興奮を極限まで引き出す驚異的なステージを繰り広げた。

 17時45分、まずはオープニングアクトのONE OK ROCKが登場。ブルーの照明のなかメンバーがステージに現れると、会場から「おぉー!」という歓声が上がる。世界を視野に入れた活動を続けている彼らのステージは、エド・シーランのファンにもしっかりとアピールしていた。

 そして19時ジャスト、ついにエド・シーランのライブがスタート。バックステージから移動するエドの姿がスクリーンに映されると、凄まじい歓声が巻き起こる。

 ステージに登場したエドは、いつものようにTシャツとジーンズ姿。すぐにアコギを鳴らし、ボディを叩き、ループペダルで音を重ね、最初のナンバー「Castle On The Hill」を響かせる。会場からは手拍子と歓声が沸き上がり、エドの「Sing!」という声をきっかけに大合唱が起きる。歌とギターだけで数万人のオーディエンスを一つにする、彼にしか実現できない魔法のような空間が生まれ、早くも心を奪われてしまった。

 「日本は世界でいちばん好きな国。東京ドームでライブができたらどんなにいいだろうと思っていたけど、今夜、ここでライブをやれているのが信じられない」という感謝に溢れたMC、そして、「僕はひとりでライブをやるけど、ループペダルを使って、その場で音を重ねながらライブをやるんだ」といった説明を挟み、「Eraser」へ。アコギのリフとコーラスでトラックを作ると、本人はハンドマイクを持って前方に進み、アグレッシブなラップを披露する。観客のテンションは早くもピーク。自分がどういうミュージシャンで、どんなライブをやって、どんなふうに楽しんでもらいたいかをわかりやすく体現するパフォーマンスを目の当たりにして、「世界でトップに立つミュージシャンとは、こういうものか」と改めて実感させられた。

 この後は、トーク、曲、トーク、曲の順番で進行。思わず「さだまさしか!」と突っ込みたくなったが、これも“オーディエンスと密に接したい”という気持ちの表れだろう。アルバムタイトルの“÷”にも、巨大な樹木にも見えるオブジェ全体をスクリーンにした映像、楽曲のリズムと正確にリンクした照明も素晴らしいが、軸になるのはやはりエドのギターと歌(だけ)。しつこいようだが、ステージに立っているのは最初から最後までエド・シーランだけで、ギター、歌、ルーパーによって、すべての楽曲をその場で創造していく。「The  A “TEAM”」では観客がスマートフォンの白いライトを掲げ、「Don’t」では手拍子によって壮大なグルーヴが生まれるなど、オーディエンスと一体になりながら、豊かで奥行きのある音楽が生み出されるのだ。「次の曲は静かに聴いて」という言葉に導かれた「Tenerife Sea」では、静寂に包まれた空間のなかで、繊細なアルペジオと美しいメロディ、そして、〈I’m So in love,so in love〉というフレーズがゆったりと広がり、大きな感動へとつながった。

 カントリーミュージックに根差した「Lego House」「Kiss Me」「Give Me Love」のメドレーではシンプルな弾き語り、「Wayfaring Stranger 」「I See Fire」をつなげるセクションではダークな憂いに満ちたムードを描き出すなど、楽曲に込められた世界観を増幅させるようなステージングも印象的。そして、シャープなカッティングを軸にしたトラックと観客のハンドクラップが心地よく高揚感を生み出した「Nancy mulligan」によってライブはピークへ。

 本編ラストは、エドが何度も何度も「歌って!」と呼びかけ、この日もっとも大きなシンガロングが鳴り響いた「Sing」。観客のコーラスが大きく広がるなか、エドは一旦、ステージを降りる……と思ったら、コーラスが鳴りやまらないうちに再び登場し(野球・日本代表“侍ジャパン”のユニフォームを着用)、耳なじみのあるシンセのイントロから「Shape Of You」へ。さらに「You Need Me, I Don’t Need You」を披露し、ライブはエンディングを迎えた。一人だけでステージに立ち、ルーツミュージックと現代的なポップスを有機的に結びつけながら、5万数千人の日本のオーディエンスの心と体を揺さぶりまくる、“こんなの見たことない!”という前代未聞のライブだった。

 ルーツミュージックと現代的なポップスを独自のスタイルで結び付け、“ひとりステージ”で世界最高峰のエンターテインメントを体現。その姿は東京ドーム、京セラドームに足を運んだすべてのオーディエンスの胸に強く刻まれたはずだ。

(文=森朋之/写真=岸田哲平)

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