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三浦大知は“時代のあり方”を体現する存在に 「飛行船」初披露した『THE MUSIC DAY』振り返る

リアルサウンド

18/7/13(金) 12:00

 7月7日に11時間にわたって生放送された『THE MUSIC DAY 伝えたい歌』(日本テレビ系)。今年で6回目となるこの大型音楽特番には今年もたくさんのアーティストが出演し、最新のヒット曲から往年の名曲まで様々なパフォーマンスが展開された。そして、7月11日に新アルバム『球体』をリリースし、また『球体』の世界を1人で再現する独演会の全国ツアーを終えたばかりの三浦大知も、この番組に出演した。

参考:三浦大知、ポップスターが追求した“表現者としての深化” 『球体』における取り組みの意義を紐解く

 過去に本サイトでも触れている通り(参考:「三浦大知、なぜアーティストからも支持される? ドリカム提供曲「普通の今夜のことを」から考察」)、三浦大知とこの手のテレビ番組の相性は非常によい。歌や踊りといった基礎的なスキルのレベルの高さ、他のアーティストの良さを引き出す柔軟性など、彼の持ついくつかの資質がテレビでの活躍に寄与していると思われる。そんな実力を考慮されてか、この日は全部で3曲をパフォーマンスする機会が彼に与えられた。

 最初に披露したのが、今年の2月に発表された絢香とのデュエット曲「ハートアップ」。歌唱前には「絢香ちゃんの歌についていくような感じで」という彼らしい謙虚な発言もあったが、ステージでは絢香のどっしりした歌声と対になる形で高音域が続くサビのメロディラインを堂々と歌い上げた。どちらかというと中音域を聴かせるところに強みを持つ三浦大知にとっては新境地としての色合いもある楽曲である。

 続いて歌われたのが、坂本九「見上げてごらん夜の星を」のカバー。ステージでは塩谷哲のピアノ1本をバックに、シンプルなメロディの中に細かなフェイクも随所に交えながらこの曲を歌いこなした三浦。こちらは「ハートアップ」に比べるとよりまろやかな歌声で、彼がルーツの一つにもあげているアッシャー「U Remind Me」ともつながる優しくも力強い印象を視聴者に残した。

 最後にパフォーマンスされたのが、『球体』に収録されている「飛行船」である。浮遊感のあるトラックが徐々にアッパーに展開するドラマチックな曲構成、〈疑問点〉〈飛行船〉といった押韻が強調された言葉遣い、〈ただ自分でいたいだけ〉という力強いメッセージなど、『球体』のムードを体現するこの楽曲が、先日の独演会とは異なるダンサー4人を引き連れたフォーメーションでテレビ初披露された。静と動を行き来する曲の世界をよりダイナミックに伝える「飛行船」のステージは、とかく「お祭り騒ぎ」になりがちな大型音楽番組に何とも言えない緊張感を持ち込んでいた。

 今回の3曲は、音楽番組において三浦大知が果たすことのできる役割を過不足なく示したものである。「ハートアップ」「見上げてごらん夜の星を」はそれぞれコラボレーションおよび企画の一部としてのカバーであり、昨今の「テレビのお約束」に応えながら質の高いパフォーマンスを披露した。また、「飛行船」が呼び込んだシリアスな空気は長尺の番組を引き締める上で必要不可欠なものであり、2017年の『ミュージックステーション ウルトラFES』(テレビ朝日系)における「Cry & Fight」でのSOIL&”PIMP”SESSIONSとのコラボ、同年の紅白歌合戦での同じく「Cry & Fight」の無音シンクロダンスなどで同様の実績がある。番組の流れに乗ることも逆らうこともできる三浦大知のパフォーマンスの振れ幅は、チームで協調しながらアウトプットを生み出すことに喜びを感じる一方で自身の中に明確な芯を持った彼のアーティスト性そのものである。

 「テレビにメディアとしてのパワーがなくなった」というのはよく言われる話だが、この先も大型音楽番組には一定の需要があると思われる。そういったプログラムの中でこそ真価を発揮する三浦大知は、2010年代の音楽を取り巻く環境にばっちりフィットしている。いわゆる「ブレイク」までには少し時間のかかった彼は、今では時代のあり方を最も体現していると言っても過言ではない存在になった。(レジー)

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