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民放ドラマは今、若手俳優を育てている? 松本穂香ら7月クールドラマ主演女優陣から考察

リアルサウンド

18/8/12(日) 6:00

 近年の連続ドラマをみていると、朝ドラ(NHKの連続テレビ小説)で主演、もしくは脇役で目立った女優が主役を務めるケースが増えているが、この夏クールのドラマは特に多い。

 『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系)の波瑠は『あさが来た』、『チア☆ダン』(TBS系)の土屋太鳳は『まれ』で朝ドラヒロインを演じている。脇役では『健康で文化的な最低限度の生活』(カンテレ・フジテレビ系)の吉岡理帆と『透明なゆりかご』(NHK)の清原果耶は『あさが来た』に脇役で出演。『恋のツキ』(テレビ東京系)の徳永えりは『梅ちゃん先生』、『あまちゃん』、『わろてんか』に出演している。

【写真】7月クールドラマで主演を務める女優たち

 大規模なオーディションで選抜された後に、半年間同じ役を演じる朝ドラは、若手女優にとっては登竜門的な場所で、国民的認知度と演技力において朝ドラ出身の女優がドラマで起用しやすいというのは当然のことだろう。

 それを踏まえた上でかなり戦略的にキャスティングしているのが『この世界の片隅に』(TBS系)だ。主演の松本穂香はオーディションで選ばれたが、彼女自身は昨年『ひよっこ』に脇役として出演し、鮮烈な印象を残している。

 彼女と対峙する義理の姉に『カーネーション』の尾野真千子、隣りで暮らす女性を『ひよっこ』の伊藤沙莉。現代パートに登場する榮倉奈々も『瞳』で朝ドラヒロインを演じており、脇役までふくめるとかなり朝ドラ出演者が多い。

 脚本を担当しているのが『ちゅらさん』、『おひさま』、『ひよっこ』の岡田惠和ということもあってか、ドラマの空気も朝ドラ的で、スーパー朝ドラ大戦、もしくは朝ドラ版アベンジャーズと言いたくなる。

 『義母と娘のブルース』(TBS系)に出演している綾瀬はるかは朝ドラ出演はないが、大河ドラマ『八重の桜』で主演を務めている。そう考えると、今のドラマキャスティングの大半は朝ドラと大河ドラマを中心に回っていると言っても過言ではなく、今の民放ドラマの配役はNHKにかなり引っ張られていると言える。

 もっとも、朝ドラに出演したからといって十把一絡げに朝ドラ女優と呼ぶことには違和感がある。例えば、『高嶺の花』(日本テレビ系)に出演している石原さとみ。彼女が今のイメージを確立したのは『てるてる家族』以降、20代に入ってからであるため、朝ドラとの関連で語ると現状とズレてしまう。同作に出演する芳根京子もオーディションで主演を務めた『表参道高校合唱部!』(TBS系)のイメージが強く、『べっぴんさん』に出演する頃には、すでに女優として評価が高かった。これは吉岡里帆や伊藤沙莉に対しても同じことが言える。

 だから、なんでもかんでも朝ドラ出身女優と言ってしまう風潮には頭を抱えているのだが、逆に言うと、それだけ他のドラマが見られていないということなのだろう。逆に言うと民放のドラマからは、若手俳優を育てる環境が減っている。特に学園ドラマは減少していて、出演俳優はどんどん高年齢化している。

 そのため、若手女優の出演できる場所というと、女子高生向けの少女漫画原作の恋愛映画か朝ドラかということなのだろう。だが、そこも出演俳優がルーティン化しており、一時期は、土屋太鳳と広瀬すずと小松菜奈と菅田将暉と山崎賢人の順列組み合わせでキャスティングが回っている状態だった。この流れはさすがに沈静化しつつあるが、もう少し冒険したキャスティングが見たい。

 玉石混交で面白いのが、AKB48を筆頭とするアイドルドラマだ。2010年の『マジすか学園』(テレビ東京系)では、前田敦子、大島優子を筆頭に松井玲奈や篠田麻里子といったアイドルが予想を超えた魅力を見せた。出演女優の多くはAKBグループに所属するアイドルで、ほとんどが演技未経験。そのため玉石混交なのだが、まれにすごい女優が出てくることがある。現在放送中の『マジムリ学園』(日本テレビ系)も終わる頃には後に名女優となる片鱗を見せるアイドルもいるかもしれない。今のところNGT48の荻野由佳がいい。

 そんな中、若手女優の発掘という役割を今一番果たしているのはYouTubeやInstagram(以下、インスタ)で配信されているWEBドラマだろう。インスタでは先日まで『デートまで』という森川葵と佐藤玲の出演する縦長のドラマを配信。YouTubeでは現在公開中の映画『少女邂逅』のスピンオフドラマ『放課後ソーダ日和』が森田想、田中芽衣、蒼波純の出演で配信されている。『この世界の片隅に』で主演を務める松本穂香もYouTubeのWEBドラマ『#アスアブ鈴木』でぶっ飛んだ役を演じている。

 インスタのストーリー機能で限定配信された『それでも告白するみどりちゃん』は現在、YouTubeでも配信されており、主演のりりかには注目が集まっている。WEBドラマは、1話の時間が短くストーリー自体はささいなもので出演女優のPVのようだ。しかし、だからこそ女優さえ魅力的であれば成立する。テレビドラマが巨大化しすぎて身動きが取れなくなっている中、次代を担う若手女優は小規模だからこそ自由度の高いWEBドラマから現れるはずだ。 

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

(成馬零一)

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