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いま、最高の一本に出会える

綾瀬はるか、杉咲花、黒島結菜、菅原小春らが躍動 『いだてん』に登場した女性たちの魅力

リアルサウンド

19/6/30(日) 8:00

 『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)の第一部が最終回を迎えたが、一部の主人公・金栗四三(中村勘九郎)が二度のオリンピック出場を果たした後の展開に惹かれた。理由は、四三がドイツでスポーツを楽しむ女性たちに接したときの気持ちを日本に持ち帰り、「次はおなごの番たい」と女子教育に力を注ぐ中で、魅力的な女性たちがたくさん登場したからだ。

 まず四三が出会った人として大きいのは、先にも書いたドイツの女性である。彼女の夫はベルリンオリンピックを目指していたが、中止となり戦地に赴くことになり、そこで戦死したという過去を持っていた。そんな彼女が「槍でも投げなきゃ、やってられないわよ」と、「くそったれ!」と言いながら力強く槍を投げる映像にはしびれた。

 四三はその後、名門女学校の東京府立第二高等女学校、通称・竹早に赴任する。そこで四三が出会うのが、村田富江(黒島結菜)という女学生である。富江は最初は四三に反発して、女生徒を代表して抗議をしにいくが、その威勢の良さが体育に熱中することにつながっていたのかもしれない。

 その富江が四三から「一度だけ先生の頼みば聞いてくれんね」と懇願され、着物の上っ張りを脱ぎ、髪を結っていたリボンを襷がけにし、そしてここでもあのドイツの女性のように「くそったれ」と言いながら槍を投げる。この映像を観ていると、女性たちのどこか抑えていた気持ちがシンクロしているように思えた。

 女性たちが生き生きとしはじめてからの『いだてん』には、こうした映像で「語る」シーンがほかにもある。

 富江は、テニスに魅せられ、自分で西洋風のテニスウェアをミシンで作り、そのことで新聞などにも報道される人気者となる。あるとき、遠征で岡山のテニス大会に招かれたときに出会うこととなるのが、後の日本人女性初のオリンピック選手の人見絹枝(菅原小春)である。登場から「男のように身体が大きい」という声がコートに聞こえていて、その強さは群を抜いていたが、絹枝本人は、身体が大きいことにコンプレックスを持ち、ただ負けたくないということでスポーツをやってきていたのだった。

 自分も陸上を志していた、シマ先生(杉咲花)は彼女の才能を見出し、四三に陸上に向いているのではないかと推薦する。四三は「足ば見たら、君が陸上向きかどがんかわかる」と袴の上からさわろうとするのだが、そのときに咄嗟に四三を蹴り上げる。そのシーンが、急にスローモーションになり、高くまっすぐあがった足が、投げられた槍のように鋭く美しかった。

 シマは彼女の才能を高く評価し、その後も絹枝に手紙を書くのだが、シマ自身は関東大震災により行方不明となってしまう。しかし、シマのオリンピックに出たいという思い、四三と出会ったことで、スポーツの楽しさを知ったその思いは、絹枝に伝わった。

 シマからもらった手紙に勇気づけられた絹枝は、岡山の競技会の走り幅跳びで日本新記録を出したそのお礼にと、四三が開いた復興運動会に現れたのだ。このときの絹枝に、かつては「男のようだ」と言われ、しぶしぶスポーツをやっていたときのような自信のない表情はなく、自分と自分の能力を肯定しているのがわかった。

 『いだてん』の第一部は、四三の妻のスヤ(綾瀬はるか)も含めて、女性の物語も描かれていたし、最後の一カ月は、シマから絹枝への「継承」の物語でもあったとも言えるだろう。継承というと、肉親への継承の話も多いが、『いだてん』では、シマの残した子供の息子が、古今亭志ん生(森山未來/ビートたけし)の弟子の五りん(神木隆之介)だったという意味での継承と、絹枝への継承のふたつの意味で描かれていた。(西森路代)

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