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岸井ゆきの×深川麻衣の刺激的な共演 『まんぷく』『愛がなんだ』で鮮やかな対比を見せる

リアルサウンド

19/2/27(水) 6:00

 NHK連続テレビ小説『まんぷく』でヒロイン・福子(安藤サクラ)の姪で4人兄弟の長女タカを演じる岸井ゆきのと次女の吉乃を演じる深川麻衣。実年齢は妹役である深川麻衣のほうが1歳年上であるが、積極的な姉と落ち着いていてマイペースな妹という役柄以上に2人の個性が鮮やかなコントラストをなし、その対比が面白い。

参考:『まんぷく』第124話では、坂部(今野浩喜)に萬平(長谷川博己)たちが詰め寄る

 岸井ゆきのが本作に福子の姉・克子(松下奈緒)と画家の忠彦(要潤)の娘、タカとして登場したのは物語が終戦を迎えた第25回の放送からだ。邪気のない、弾けるような笑顔で26歳にして14歳からのタカを好演。その違和感のなさ、少女らしさに衝撃が走る。

 しっかり者のタカは、ヒロインの夫・萬平(長谷川博己)が戦後に東大津で塩づくり始めたときに事業を手伝い、そこで働く塩軍団の男子たちのアイドル的存在となった。塩軍団のみんなにちやほやされるも、最初から神部茂(瀬戸康史)への思いは特別だったようで、タカは一途に恋を実らせた。

 塩づくりから栄養食品のダネイホンづくりに萬平の会社が方向転換した際、神部に東京行きを告げられたタカは「毎週手紙を書くから。一日たりともタカちゃんのこと忘れへんから」と言われ、「指切りげんまん。針一万本飲ます」とまで言い切った。東京と大阪とで遠距離恋愛中、神部はタカのことと針一万本の約束を忘れず、せっせと手紙を送っていた。

 岸井はベビーフェイスで胸に刺さる情熱的な言葉を放つ。NHK大河ドラマ『真田丸』で演じたのも“たか”という役名だったが、あどけない表情の中にある芯の強さ、熱さが印象的だった。

 一方、吉乃を演じる深川麻衣が子役からバトンタッチしたのは第80回。舞台が泉大津から池田になり、萬平が池田信用金庫の理事となり、福子がパーラ白薔薇で働き始めた週からの登場となった。放送が始まってから第25週目、その世界観が出来上がっている中にこれまた違和感なく、すんなりとけ込んでいることに、まず驚かされた。

 岸井ゆきのとの対比も鮮やかで、嫉妬や感情がストレートに出て分かりやすい姉に比べ、妹の吉乃はたおやかな雰囲気を醸し出し、クールに構えているところがある。元塩軍団のメンバー、岡(中尾明慶)と森本(毎熊克哉)とパーラー白薔薇で出会い、2人から熱烈なアプローチを受けつつ、否定も困惑もせず普通に受け止めて3人でデートする約束もしている。

 そして、3人で映画デートをする予定だったにもかかわらず、待ち合わせ場所に行く途中にラーメンづくりに没頭する萬平を見かけ、映画よりも面白そうだからとデートをドタキャン。悪びれる様子もなく、その後も2人とは普通に接している。祖母の鈴(松坂慶子)がお見合いを熱心に勧めても、どこ吹く風。

 タカが好悪や感情をはっきりと表現し、恋愛でも一途に思い続けている対比として、吉乃は言いたいことは言うけれど、感情に流されて何かを決断するということはない女性だ。この面白い対比は、今泉力哉監督の最新作、映画『愛がなんだ』(4月19日公開)でも存分に生かされている。

 原作は角田光代の同名小説。主人公で28歳の会社員テルコを岸井ゆきのが演じ、その親友の葉子を深川麻衣が演じている。片思いで自分が都合のいい女だと気づいているのに、ずるいダメ男のマモちゃん(成田凌)のそばにいたいためにすべての時間を捧げてしまうテルコ。そのテルコとは逆に、ナカハラくん(若葉竜也)に片思いされ、尽くされているが彼を振り回す葉子。

 深川麻衣は、今泉力哉監督作品『パンとバスと2度目のハツコイ』で映画初出演にして初主演を務めている。自分を客観的に捉えるような、独自の結婚観を持つ主人公が中学時代の初恋の相手と再会し、揺れ動くのだが、そのマイペースでクールな視点を持つ役柄というのが最新作の『愛がなんだ』にも通じるものがある。

 友だちの助言も聞き流し、彼に呼ばれれば電話1本で(あくまでも必死ではなく、というさりげなさを装い)駆けつけ、平日デートに誘われようものなら、躊躇なく会社をさぼってクビ寸前になってしまうテルコだが、困ったときに行くのは葉子の家で、彼女の前では本当の自分も見せる。

 愛に生きる女性を演じる岸井ゆきのと、そんな愛を客観的に見つめ、自分の生き方を模索している女性を演じる深川麻衣の共演は今、とても刺激的だ。共感するだけでなく、彼女たちの表現から自分が探す愛のかたちに気づく女性も多いのではないだろうか。(池沢奈々見)

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