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SM ユ・ヨンジン、JYP パク・ジニョン、Big Hit パン・シヒョク……K-POP支えるプロデューサー陣

リアルサウンド

19/6/30(日) 8:00

 韓国には数多くのK-POPグループがいるが、彼らの個性を生み出す陰の立役者がプロデューサーだ。プロデューサーは“音楽の色”を作り出す職人ともいえるだろう。中には音を聞いただけで、誰がプロデュースしたかがわかるくらい特徴的な個性を持つプロデューサーもいる。

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 例えば、東方神起やSHINeeなどが所属するSMエンターテインメントの場合、「SMミュージック・パフォーマンス(SMP)」という独自の音楽スタイルを確立している。ダンスサウンドに激しい踊りと力強い歌詞が乗っかる音楽とパフォーマンスを見たら「これがSMの音楽だ」と感じるであろう、インパクトのあるスタイルだ。このスタイルを生み出したのがユ・ヨンジンという一人のプロデューサーだ。

 今回はK-POP界で独自の色を生み出してきた3人のプロデューサーに着目してみたい。

■SMのスタイルを作り出したユ・ヨンジン
 「SMの音楽面における顔」と言っても過言ではないほどSMアーティストたちの色を作り上げてきたユ・ヨンジン。1971年生まれの名プロデューサーのキャリアのスタートはダンサーだった。1989年から1990年までダンサーとして活動したのち、兵役を経て1993年にSMエンターテインメントより作曲の能力を認められ、歌手としてデビューを果たした。

 1996年に同じ事務所のアイドルグループ・H.O.Tのデビューアルバムのプロデュースを手掛けたことをきっかけに、ユ・ヨンジンはSMの音楽の顔となる「SMP」を生み出した。アイドルたちといえばキラキラした人たちというイメージがあるが、そんな彼らが、流行りのダンスミュージックに社会批判を含む強い歌詞を乗せ、激しくダンスパフォーマンスをするというのは大きなインパクトがあり、多くの人たちを引きつけた。そして、このスタイルがSMの形となっていく。

 特に、SM所属の男性歌手たちの高音でバイブレーションを効かせた独特な歌唱法は「ユ・ヨンジン式歌唱法」と言われているという。これはR&Bに強く影響を受けたユ・ヨンジン自身の歌い方からきている。また、ユ・ヨンジンはダンサーであり歌手でもあったので、この両面を生かしたプロデュースを行うのも特徴だ。SMアーティストの魅力は歌手としてだけでなく、ダンスの部分も大きく占めている。ここにも元ダンサーであるユ・ヨンジンのスタイルが引き継がれているのではないだろうか。

 最近では東方神起のユンホのソロアルバムでもユ・ヨンジンの名前を見ることができる。一部の曲ではユ・ヨンジンがコーラスとして参加している。また、2016年にはEXOのD.O.とユ・ヨンジンでデュエット曲「Tell Me (What is Love) 」も発表しており、「元歌手」としての美声を聞くこともできる(まだまだ現役と呼べるほどの声量と歌唱力に驚く)。

 他にも東方神起の「Why? (Keep Your Head Down)」、SHINeeの「Lucifer」、EXOの「MAMA」など彼が手掛けた作品は数多くある。この機会に、SMのスタイルを作り上げたユ・ヨンジンの作品に触れてみてほしい。

■韓国音楽シーンの“プレイングプロデューサー”、パク・ジニョン
 JYPエンターテインメントの顔と言えば、パク・ジニョンだ。2PMやGOT7、TWICEらが所属するJYPエンターテインメントを立ち上げた張本人であり、各グループのプロデューサーを行いながらも、現在も現役の歌手として活動を行っている。2016年に開催されたJYP所属アーティストたちが参加するコンサート『JYP Nation』にも、アーティストの一人として参加した。まさに韓国音楽界の“プレイングプロデューサー”と言えるだろう。

 1992年にグループ、パク・ジニョンと新世代でデビューをしたのち、1994年にソロ歌手として再デビューをする。セクシャルな衣装と独特なダンスは当時話題を呼び、人気を得ていった。

 歌手活動と並行しながら事務所から独立し、1997年にJYPの前身となる芸能事務所・テホン企画を設立する。この時からプロデュースを行うようになり、ボーイズグループ・godを生み出しヒットさせた。その後、Wonder Girlsや2PMなどのグループを続々と生み出し、JYPを韓国3大芸能事務所の一つにまで成長させたのだ。

 パク・ジニョンの生み出す作品の特徴は、大衆的でキャッチーであるということだろう。大ヒットしたWonder Girlsの「Tell Me」のように、わかりやすいメロディラインと、一度聴いたら忘れられないサビ、そして誰もが簡単に覚えられる歌詞。パク・ジニョンが作り出したこのスタイルは、そのままJYPのカラーにもなっている。

 2015年にデビューしたTWICEでは「SIGNAL」(2017年)をパク・ジニョンが手掛けている。一緒に歌い踊りたくなるメロディと歌詞、そして誰にでもできそうなポイントダンスの振り付けは、JYPのカラーそのものだ。先に紹介したSMのユ・ヨンジンとは対照的とも言えるスタイルだが、そこも面白いところだ(SMのダンスは複雑で、簡単には踊れる要素は少ない)。

 パク・ジニョンの目指すスタイルは、大衆的であり多くの人に愛される音楽なのかもしれない。彼自身が現役歌手であるからこそ、直に音楽シーンを把握し敏感に取り入れながらも、ファンの目線も忘れない。そのスタイルを今後も貫いていくのではないだろうか。

■BTSを生み出したパン・シヒョク
 今や世界的なグループとなった BTSの生みの親といえば、所属事務所・Big Hitエンターテインメントの代表、パン・シヒョクだ。彼はソウル大学を卒業した後、作曲能力を認められ、JYPに入社。パク・ジニョンの元で作曲家、プロデューサーとしてのキャリアを積んでいく。パン・シヒョクは「パク・ジニョンからプロデュースについて全てを学んだ」とのちのインタビューで語っている(参考:SPICE)。

 2005年にJYPから独立し、自らBig Hitエンターテインメントを立ち上げる。JYPに所属していたボーカルグループ・2AMが移籍し、2014年まで在籍していたが、彼ら以外にはなかなか大きなヒットには恵まれなかったようだ。BTSがデビューしたのは、事務所設立から約8年経った2013年になる。

 パン・シヒョクは2010年に2AM「죽어도 못 보내(死んでも離さない)」をヒットさせている。2AMの代表曲とも言える名バラードで、甘く切ない歌詞とメロディが特徴のこの曲は、ヒップホップ中心のBTSとは異なった雰囲気。しかし、BTSでも時折見られるパン・シヒョクによる切ないサウンドは、この頃からあったようだ。

 BTSの人気に火をつけたのが「I NEED U」だと言われているが、この曲はパン・シヒョクが作曲に関わっている。その後に発表する「RUN」や「FAKE LOVE」も彼の作品だが、共通して感じるのが激しさの中にある“切なさ”だ。強くありながらも弱さを見せるようなどこか物悲しげなメロディ。それに重なる悩み多き若者たちの姿を描いた歌詞が、多くのファンを引きつけたのかもしれない。

 パン・シヒョクはBTSを大きくヒットさせた後、新しいグループ・TXT(TOMORROW X TOGETHER)をデビューさせた。王道のアイドルらしいTXTは、BTSとは全く正反対のスタイルのように見えるが、その軸にある“若者たちの心の揺れ”は変わっていない。パン・シヒョクはTXTでどんな世界を見せてくれるのだろうか。

■今注目したい若手プロデューサーチーム・Flow Blow
 そんな中で特に注目したい若手プロデューサーがいる。それが2人組のプロデューサーチーム、Flow Blow(フローブロー)だ。彼らが最初に注目を浴びたのは、『PRODUCE101 シーズン2』でPENTAGONのフイが作詞作曲したコンセプト評価曲「NEVER」を共作したことからだった。その後、同じくフイ作詞作曲のWanna Oneのデビュー曲「Energetic」を共に手掛け、さらに大きなインパクトを与えた。それからPENTAGON、JBJ(JBJ95も)、『PRODUCE48』、オン・ソンウ(元Wanna One)など、多くのアイドルたちと仕事をしていくことになる。

 彼らの特徴は、手掛けたアイドルたちの良いところをさらに引き出すプロデュース力だろう。Flow Blowらしさを持ちながらも、それぞれのアイドルたちに合わせて自分たちの音を作り上げていくテクニックがある。彼らが手掛けた曲は異なったスタイルを持ったものが多いが、それぞれの個性にうまく合っており、手掛けたアイドルたちの魅力を引き出している。

 最近は“セルフプロデュース型”のアイドルたちが増えてきているが、そんな彼らも信頼のおけるプロデューサーたちと仕事を共にしている。前述したPENTAGONはFlow Blow、SEVENTEENの場合は「Adore U」「Mansae(万歳)」などに作曲・編曲者として参加しているBUMZU。アイドルたちは才能ある若いプロデューサーと仕事をすることで自分たちのスタイルを確立し、プロデューサーたちは、さまざまなアイドルたちと仕事をしながら自分たちの名を広めていくのだろう。

 音楽的才能を持つアイドルたちと、彼らの才能を引き出していくプロデューサーによる出会いは、さらなるシナジーを生み出し、世界的なヒット曲をこれから生み出していくはずだ。(西門香央里)

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