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『まんぷく』本当の“ヒロイン”は長谷川博己? 『シン・ゴジラ』矢口を彷彿とさせる名スピーチ

リアルサウンド

19/1/20(日) 6:00

 折り返し地点を過ぎ、最終回まで残り約2カ月となった朝ドラ『まんぷく』(NHK総合)。長谷川博己演じる立花萬平は、常に挑戦し、試練にぶつかる度に再び立ち上がってきた。しっかり者の福子(安藤サクラ)に対して、少しドジなところもあり、誰からも愛される萬平は、物語を大きく動かす存在としても、「ヒロインよりもヒロインらしい」と視聴者からの声もあがっている。第16週「あとは登るだけです!」は、萬平のダメなところも、良い部分も両方が詰まった、まさに“ヒロイン”としての1週間だったと言えよう。

参考:『まんぷく』第92話では、無職となり寂しい正月になると思った萬平(長谷川博己)だったが……

 池田信用組合の理事長として、かつての発明者魂を抑えていた萬平だったが、万能調理器を製作する織田島製作所と出会ったことにより、本当に自分がやりたいことへの気持ちが目覚めてしまう。織田島製作所を応援したい思いから、自分の家と土地を担保に、融資金を調達。まだ世に出ていない万能調理器と言えども、売れる保証はどこにもない。加えて世の中は不景気で、ほかの企業から資金回収ができる目処が立っているわけでもない。傍から見れば、あまりにもリスクが大きい選択だ。信用組合の理事長として、一家の長として、賢明な判断とはとうてい言えない。案の定、融資先の梅田銀行の担当者変更、融資の方向転換により、巨額の資金回収を言い渡されてしまう。

 萬平は、過去の塩作り、ダネイホン作りにおいても、リスクを考えずに突っ走り、相応の失敗を経験してきた。ただ、あくまでそれは少数の社員(塩軍団)、福子や鈴(松坂慶子)への問題であり、福子の機転や塩軍団たちの頑張りによってそれを乗り越えることができた。しかし、今回ばかりは勝手が違う。萬平の選択が、池田信用組合の社員、融資先の多くの企業とその社員と家族の人生にまで影響を与えてしまうのだ。

 結果的に、立花家の家は差し押さえられ、織田島製作所への融資も打ち切りに。萬平が招いた種であるだけに非難の声が集まってもおかしくない。しかし、福子をはじめ、誰もが萬平を見捨てることはしない。SNSでも視聴者から萬平への非難はほとんどない(昨年の朝ドラ『わろてんか』の藤吉(松坂桃李)の失敗の際はかなり目立っていたが……)。萬平が私利私欲のためではなく、あくまで誰かのために行動を続けているからだ。

 萬平は自身が池田信用組合の理事長を退任し、融資先の梅田銀行に経営を委ねることを決意する。梅田銀行での会議シーンは、新担当者・矢野を演じるのが矢島健一だったこともあり、長谷川も出演していた『シン・ゴジラ』の一幕とも錯覚するほど。梅田銀行は萬平の提案を受け入れ、池田信用組合は存続が決まる。保身に走るようなことはせず、取り立ての中心“悪役”とも言える矢野にも、感謝の思いをきちんと伝えることができる萬平だからこそつなぐことのできた結果だったと言えよう。

 萬平は最後に社員たちに伝える。

「47歳からの再出発は厳しいとおっしゃる方もいるかもしれません。でも私はそうは思っておりません。むしろ、これからもう一花咲かせてやろうと張り切っております」

 山あり谷ありの人生を送ってきた福子と萬平だが、職と家を失い今は再びどん底に。だが、萬平のモデルとされる安藤百福氏の「始めるのに遅すぎることなんてない」という言葉通り、ここからが彼らの、そして物語の真骨頂だろう。次週からはいよいよラーメン作りも開始される。萬平たちの飛躍の際には、これまで登場した人物や関わりのあった人物が手助けをしてきたこともあり、ラーメン作りにあたり、意外な人物の再登場もありそうだ。(石井達也)

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