Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

メトロック、ビバラ、JAPAN JAM……ラインナップに表れる、春フェスそれぞれの特色

リアルサウンド

19/3/24(日) 8:00

 春に主に関東で開催されるメガフェスの出演アーティストが軒並み発表された。この記事では、メガフェスと分類される春フェスの今年の特徴やそれぞれのカラーについて考えていきたい。

(関連:フェスは“一体感”と“個の欲求”の両立を可能にするーー円堂都司昭による『夏フェス革命』評

 まず、メトロックことMETROPOLITAN ROCK FESTIVALからみていきたい。こちらのフェスは東京と大阪でそれぞれ2日間開催される。東京と大阪で出演アーティストが少しずつ違うのが特徴の一つだが、今年、このフェスで大きな特徴となっているのは、WANIMAやあいみょんやsumikaなど、テレビメディアで存在感を示しているアーティストを複数ブッキングしていることだと思う。それが意味するところとして、メトロックはよりライトな客層を意識したブッキングをしているように感じる。能動的に音楽を聞いていない人、あまり幅広く音楽を聞かない人でも「知っているアーティスト」をブッキングすることで、ライトなお客さんにも楽しんでもらえるようなブッキングを心がけているように感じるのだ。

 このことから、フェスをある種のメディアとして捉えて考えてみたとき、メトロックはテレビ的なものに近く、より広い層のお客さん、いわゆるライトな客層を意識しているように筆者は考える(同フェスの事務局には『ミュージックステーション』や『関ジャム 完全燃SHOW』を放送するテレビ朝日も名を連ねている)。フェスの全体的な空気を考えてみたときも、ピクニック的な楽しみ方ができるようになっていて、他の春フェスと比べるとレジャーとして楽しめる環境作りが意識されているように思う。あまりフェスに行ったことがないお客さんや、ライブハウス的なものにはあまり精通していないお客さんでも満足して楽しめる空間作りに力を入れていることは確かなはずだ。

 そんなメトロックとは対照的なのが、VIVA LA ROCKだと思う。通称ビバラも、メガフェスという性質上、決して間口を狭めたブッキングをしているわけではない。けれど、メトロックのブッキングと比べてみると、よりブッキングのカラーが見えてくるし、カラーが見えるということはそれだけコアなアーティストもブッキングしていることを意味する。想定客層がより具体的に見えるところもポイントであろう。

 さて、ビバラのブッキングで明確にあるのは、日割りごとの出演アーティストのカラーの違いであろう。1日目であれば、KEYTALKやヤバイTシャツ屋さんのように、ロックで「躍らせること」を志向したバンドを中心にブッキングしつつ、今のフェスの空気感や一般的な楽しみ方が堪能できるようなラインナップを並べているように思う。2日目であれば、King GnuやCHAIのように、海外シーンのトレンドも意識しながら外向きな音を鳴らしているバンドを中心にブッキングしているように感じるし、3日目であれば、クリープハイプやSHISHAMOなど、そもそもシーンとか外とか内とかいうことすらも意識せず、もっと率直に「自分たちが鳴らせる音」を志向して音を奏でているアーティストを積極的に並べているように感じる。4日目であれば、10-FEETやSiMのように、フェスという空間においても、ライブハウスのような遊び方を推奨するバンドを並べているように感じる。

 いずれにしても、日割りごとに日本のロックを細分化させることで、全日程に遊びに行けば、今の「日本のロック」のトレンドが見えてくるような、そんなブッキングを意識的に行っているように感じる。先ほどのように、ビバラをメディアとして捉えてみると、雑誌的な要素を強く感じる。それは、音楽雑誌『MUSICA』を発行するFACT・鹿野 淳がフェスの総合プロデューサーであることからも明らかだろう。

 最後にJAPAN JAMを紹介しよう。このフェスは、あえて言葉にするならば、メトロックとビバラの中間的立ち位置にあるように思う。大衆性も意識しながらも、ライブハウスバンドも程よくブッキングしているような、そんなイメージだ。ただ、それ以上にこのフェスの特徴としてあるのは、アーティスト同士がコラボするステージを数多く用意していること。これによって、ラインナップの文脈やフェスの歴史とはまた違う部分で「そのフェスでしか体験できないもの」を与えようとしている。枠の中から混沌としたものが生まれていくという意味で、JAPAN JAMというフェスには、WEB的な要素を強く感じる(企画制作のロッキング・オン・ジャパンにはROCK IN JAPAN FESTIVALという夏のメガフェスも控えているため、春はこのような独自路線を築くことができているとも捉えられる)。今年はコラボステージの有無についてまだ発表されていないので、それについては公式からの続報を待ちたい。

 このように、一見すると似たようなアーティストがブッキングされているように見える春フェスにおいても、それぞれ明確なカラーの違いがあるし、どのフェスにおいても、そのフェスならではの体験が提供されている。それぞれのフェスの違いを意識しながら、そのフェスに遊びに行くのもまた一興かもしれない。(ロッキン・ライフの中の人)