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中島健人×遠藤憲一の結末はいかに 『ドロ刑』にみるアジアノワールのお約束

リアルサウンド

18/12/15(土) 12:00

 日本テレビで土曜10時に放送中の『ドロ刑 -警視庁捜査三課‐』は、週刊ヤングジャンプで連載中の同名漫画が原作だが、実際にその原作を読んでみると、斑目という若い刑事と煙鴉という伝説の泥棒が出てくるということ以外は、かなり脚色されていると感じる。

 もともとの斑目は大柄な見た目でタックルが得意技というキャラクターだが、ドラマでは中島健人が演じるために今どきの若者という風貌で、プライベート重視で暑苦しいところのないキャラクターになっている。また、いつも髪を指でくるくるしたり、かわいい表情をわざとつくったりする自意識の強いタイプで、そのことを先輩刑事からつっこまれたりもしている。

 対して遠藤憲一演じる煙鴉は、漫画の中では、痩せていて、いい意味でやさぐれた中年男性であるが、普段はハルトという名前で斑目とは接している。ドラマの中では、中島健人演じる斑目よりも煙鴉のほうが大きいために、漫画のキャラクターとは真逆の関係性に見えるのである。

 ところが、このキャストにあわせてあてがきをされたと思われる物語も、それはそれでとても引き込まれるものになっている。例えば、斑目は表向きは今どきの自由な若者で、かわいさを前面に押し出して老若男女問わずに甘えることに、なんの躊躇もない。しかも、ダメ新人と周囲からは思われているのだが、1話で行きつけのバーで煙鴉と隣になり、捜査情報のあれこれを考え無しに話しているように見えて、実は隣の中年男が煙鴉と見抜いているというシーンにはゾクっとした。

 頼りなくてちょっと抜けた感じで愛されるだけが取り柄のような斑目だが、本当は何かすごい能力を持っているのかもしれないと思わせるシーンだ。そんな斑目を見て、煙鴉は彼を一人前の刑事に育てようと、あの手この手で協力をしていく。よくアジアのノワールでは、相反する組織の男2人が、なにかお互いに「敵として不足はない」、という感情が生まれたからこそシンパシーを感じて惹かれあうということは多いが、このドラマにもそんな部分が見えたのだ。

 しかし、第8話の終わり、そんな2人の蜜月ともいえるような関係性ががらりと変わってしまう。今まで斑目を一人前にしようと見守り、2人の間に確固たる感情がわいていると信じていたというのに、実は煙鴉は、斑目に間違った情報を与え、利用していたことがわかるのだ。

 そのことを指摘すると煙鴉は、「当たり前だろ、泥棒だぞ俺は」というセリフを吐く。今まで楽しい時間があったとえはいえ、やはり警察とは相いれない泥棒であったのだと見ていて我に返らざるを得ない瞬間だった。

 こうした、お互いの感情が混じりあっていたというのに、実はどちらかは何らかの事情を抱えており、結局は苦い結末を迎えてしまい、その感情だけがおいて行かれてしまうというのも、アジアのノワールのお約束である。

 このドラマは、全10話であるから、その間に、数々の事件も挟み込まれるのだが、この10話を斑目と煙鴉という2人が近づき、そしてまた関係性が変わっていく2時間の映画にしたら、良質なノワールになるだろう(今のドラマでも十分そうであるが)。

 9話で斑目が煙鴉に撃たれたことを、同じ部署で働く先輩刑事の皇子山隆俊(中村倫也)が「てめえ、まだショックなのか、恋人に撃たれたことが」と斑目に指摘するシーンを見て『名もなき野良犬の輪舞』を思い出さずにはいられなかった。斑目がヒョンス(イム・シワン)、煙鴉がジェホ(ソル・ギョング)、イメージは違うが、皇子山がビョン・ガプ(キム・ヒウォン)である。しかも、『名もなき野良犬の輪舞』のポスタービジュアルのように、ヒョンスがジェホに銃口を向けるあの構図のようなシーンもある。『ドロ刑』では、その立場は逆ではあったが。

 このドラマにはコミカルな部分も多い。しかし、だからこそ、2人の関係性の変化が切ないのだ。また、誰もが見られるテレビドラマであるだけに、最終話での斑目と煙鴉が、もしかしたら幸せな結末になる可能性もある。煙鴉は一体何に巻き込まれていて、斑目に何を訴えようとしていて、何を解いてもらいたいのか、最後まで見逃せない。

 日本のドラマは、キャスティングありきで作られることも多く、そのことが必ずしもいい方向に作用するわけではないことも多い。だが、本作はキャストにあわせて鮮やかにキャラクターをあてがきした(と思われる)ことによって、元の物語とは少々違う印象にはなるが、新たな作品として生き生きとしたものになった。(西森路代)

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