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いま、最高の一本に出会える

春らしい華やかな演目が揃う三月大歌舞伎が開幕

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19/3/3(日) 0:00

三月大歌舞伎が本日3月3日(日)、歌舞伎座で初日を迎える。早春にふさわしく、華やかで歌舞伎らしさにあふれる演目が揃った。

今月昼の部ではちょっと珍しい演目が上演される。『女鳴神』だ。ご存じ歌舞伎十八番の『鳴神』の女方バージョン。『切られお富』や『女暫』などにも見られる面白い趣向だ。この演目の初演は元禄時代。前回上演されたのは1991年だから実に28年ぶりとなる。

鳴神尼が龍王ヶ峰に祭壇を作り雨を降らせる神々を滝壺に封じ込めたため、里の人々は日照りに苦しんでいる。その鳴神尼の住む深山へやってきたのは美形の雲野絶間之助。これは『鳴神』の雲の絶間姫をもじったネーミングだ。この絶間之助を自分のいいなづけと思い込んだ鳴神尼は、絶間之助と夫婦の盃を交わし、滝壺の注連縄を切る。雷鳴とどろき、ざあざあと雨が降り始める。だが絶間之助が、実は父の仇である信長の命を受けてやってきたのだと覚り、怒り狂う鳴神尼は……。

今回、鳴神尼には片岡孝太郎、鳴神尼を捕えにやってくる佐久間玄蕃盛政に中村鴈治郎。

昼の部はほかに清元の舞踊『傀儡師』、近松門左衛門作『傾城反魂香』。

夜の部の最後、『弁天娘女男白浪』は「白浪五人男」で知られる演目だ。通しで上演される場合は『青砥稿花紅彩画』と書いて「あおとぞうし はなのにしきえ」と読む。大家のお嬢様といった風情で、若党を共に呉服の浜松屋にやってきた娘。と思ったら実は少年の盗賊・弁天小僧だった。正体を明かして「知らざあ言って聞かせやしょう」と啖呵を切る。そこへ「待ってました!」と大向こうの声。胸のすくような一瞬だ。

この弁天小僧を今回は松本幸四郎と市川猿之助の日替りで上演。主に立役の幸四郎と、立役・女方の両方をつとめる猿之助。全く雰囲気の違う弁天小僧となりそうだ。

夜の部はほかに義太夫狂言の中でも名作中の名作『盛綱陣屋』、常磐津の舞踊『雷船頭』。

3月27日(水)まで。

文:五十川晶子