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志尊淳ら特撮ヒーロー出身俳優が勢揃い! 『走れ!T校バスケット部』は重みのある青春映画に

リアルサウンド

18/11/13(火) 10:00

 『走れ!T校バスケット部』に出演するのは、志尊淳ら今をときめくイケメン俳優たち。キラキラとしたスポ根モノかと思ったが、フタを開けてみれば、人として大切なことを教えてくれる、重みのある青春ストーリーだった。

 キャスト名を見た第一印象といえば、「特撮ヒーロー出身俳優が多いな」ということ。『烈車戦隊トッキュウジャー』の志尊をはじめ、『特命戦隊ゴーバスターズ』の鈴木勝大、『仮面ライダーゴースト』の西銘駿、ヒーロー役ではないが『仮面ライダーウィザード』に出演していた戸塚純貴。さらに、友情出演の千葉雄大は『天装戦隊ゴセイジャー』、竹内涼真は『仮面ライダードライブ』(全て、テレビ朝日系)で主演を務めている。

【写真】本作で再会を果たした志尊淳と竹内涼真

 このメンバーが揃い、かつ“企画製作幹事・テレビ朝日×配給・東映”と、これだけで胸アツなのだが、実は本作はスポーツ庁とのキャンペーンも行われるなど、教育的要素の強い作品。子どもへのメッセージ性がある映画だと知り、この配役が腑に落ちた。

 物語は、バスケの強豪校に入学した田所陽一(志尊)が、いじめに遭ってT校への転入を決意するところから動き出す。ひとりで立ち向かうことはせず、逃げる選択をしたからこそ、陽一は最高の仲間と出会うことができたのだ。だが、そこにたどり着くまでも葛藤がなかったわけではない。幼いころに母親を亡くし、父子家庭で育った陽一。これ以上迷惑をかけたくないと、転入する際に「もう部活はやらない」と父・正道(椎名桔平)に告げたことが、足かせとなってしまう。

 新たな仲間とバスケがしたいという自分の気持ちに正直になれば、父親にウソをつくことになる。そんな風にすれ違う父子関係の描き方も丁寧で、「言いたいけど言えない」という複雑な心情を、志尊は細やかに表現。また、仲間たちとバカ騒ぎするシーンと、父親と2人きりで過ごすシーンの強弱も巧みで、ゆえに父である正道の言葉や表情のひとつひとつが胸に刺さる。

 と、なんだかしんみりしてしまったが、ストーリーの中心となるのは、あくまで弱小バスケ部が挑む全国大会出場への道。3か月に渡り、元日本代表の半田圭史氏からバスケの本格指導を受け、CGや代役を一切使わず、役者たちがリアルな汗を流して臨んだという試合シーンは迫力満点。人気俳優たちのカッコよさを存分に堪能できる青春映画であることに違いなく、ときめきポイントも盛りだくさん。もちろん、気負って観るような作品では一切ない。

 また、キャスト陣のキャラクターへのハマり方も秀逸で、それぞれの魅力がうまく引き出されている。陽一を囲むのは、正義感の強いキャプテン・俊介(佐野勇斗)、バスケオタクのガリ(戸塚)、モテたい一心のゾノ(佐藤寛太)、俊足で運動神経抜群の透(鈴木)、気弱で優しいコロ(西銘)、201cmの巨漢を誇る健太(阿見201)…と、キャラかぶりゼロの個性豊かな面々。負けん気の強いマネージャー役の早見あかりや、バスケのルールを知らない顧問役のYOUも、ドンピシャリの適役である。

 さらに、部活仲間らしいチーム感も見どころで、アドリブであろう掛け合いから、部員たちの仲睦まじさがバンバン伝わってくる(鑑賞中、彼らがちょいちょい挟む小言のやりとりに、何度吹き出して笑ったことか)。志尊は本作の製作発表時(https://realsound.jp/movie/2017/12/post-135458.html)に「フェイクドキュメンタリーというか、僕らの今までの練習期間やカメラが回っていない所で、積み上げてきたコミュニケーションや空気感をのびのびと出せた作品だと思います」と語っているが、その自然さが物語に得もいえぬリアリティを生み出している。

 マンガや小説を原作とした映画は、内容の詰め込みすぎでテーマがブレてしまうものも多いが、『走れ!T校バスケット部』の“仲間との絆”や“信じることの大切さ”というアツいメッセージは、終始ブレることがない。スポーツものとしての一面だけを切り取ってしまえば王道のストーリーかもしれないが、そこに陽一のバックボーンや、ドキュメンタリーに近い空気感が加わることで、より心に響くものがあるというのが、本作の強みだろう。

 「やっぱり仲間っていいな。部活っていいな」と素直に思える青春映画でありつつ、豪華キャストと『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)を手がけた脚本・徳尾浩司、『今日、恋をはじめます』の監督・古澤健をはじめとするスタッフが、いじめとの向き合い方に切り込んだ教育的作品ともいえる『走れ!T校バスケット部』。今度の休日には『トッキュウジャー』世代の息子の手を引き、再び映画館に足を運んでみようと思う。

(nakamura omame)