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なぜディズニー映画の監督は2人必要なのか? 『シュガー・ラッシュ2』監督に真相を聞いてみた

リアルサウンド

18/12/21(金) 10:00

 映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』が12月21日に公開される。本作は人間たちが知らないゲームの裏側の世界を舞台に、ラルフとヴァネロペの友情が描かれた『シュガー・ラッシュ』の続編。今回、ヴァネロペの住むゲーム「シュガー・ラッシュ」のハンドルが故障したことにより、ゲームは廃棄処分の危機に陥ることになる。ヴァネロペは、親友ラルフとともに新たなハンドルを手に入れるためインターネットの世界に飛び込むが、新しい自由な世界にヴァネロペが魅了され、2人の意見が割れてしまう。

 今回リアルサウンド映画部では、本作の監督を務めた、リッチ・ムーア&フィル・ジョンストンにインタビュー。監督を2人で務めること、ヴァネロペたちのように意見が割れてしまったらどうするのかなどを語ってもらった。(取材・文・写真=阿部桜子)

ーー近年、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの作品は、監督2人体制で製作されていますよね。なぜなのでしょうか?

リッチ・ムーア(以下、ムーア):とにかくスケールの大きい作品が増えてきて、正直1人では、まかないきれないんじゃないかな。これまで僕はディズニーで3本撮っているんだけど、1人で監督したのは『シュガー・ラッシュ』1本だけ。その時でさえ脳のパワーが限界だったけど、その後『ズートピア』と本作、もっと巨大な作品を監督することになって、2人必要になった。2人だと、脳も2倍になるし、責任も分かち合うことができる。

フィル・ジョンストン(以下、ジョンストン):なにしろ、アニメーションの中でも一番大きな作品だからね。

ムーア:監督っていうのは、毎日何百もの判断を瞬時に迫られる仕事でもあるんだ。僕が1人で監督している時は、判断を下すために、もう1人の自分と口に出して相談していた時もあった。スタッフには、「おかしくなったわけじゃないよ」って伝えていたよ(笑)。もう1人の監督とやりとりできるのは、正気を失わないし、健康的だとも言えるね。

ーー劇中ヴァネロペとラルフは、意見が割れてしまうことで、関係にもヒビが入ってしまいます。映画製作でもそのような場面が出てくると思うのですが、2人はどう対処するのですか?

ジョンストン:『シュガー・ラッシュ:オンライン』は、友情についての映画だ。だから、僕らが人生の上で経験した知恵を、この物語にも応用した。確かに製作していると、意見が合わないこともあるのだけれど、スティーブン・スピルバーグは「個人個人のエゴを持つのではなくて、映画作品にエゴをもたせる作り方をせよ」と言っていた。それと同じように僕らも、意見が合わなくてもベストなアイデアが勝てばいいっていう考え方なんだ。この作品もスタッフが500人以上関わっていて、僕らだけが「こうやります」と言っているのではなくて、色んな所から出てきたアイデアに対して僕たちが判断することもある。だから、お互いに話し合えるというのはとっても良いんだよね。

ーー大切なのは、意見をしっかり交換し合うことなのですね。

ムーア:批判を恐れないで自分たちが作ったものを見せたり、意見を交換することをしないと良い作品は作れないと思う。ディズニー・スタジオでは12週間から16週間の間で、映画が全体的にこういう風な作品になりますというのを、ビデオ絵コンテや仮に声を入れて、ある程度見えるようにしなければいけない。それを12週間から16週間で1本つくって、みんなから意見をもらって、また12週間から16週間かけて作る、というのを7回くらい繰り返して映画が出来上がっていくんだ。監督というのは作品を森のように見なきゃいけないんだけど、12週間から16週間の終わり頃にはあまりにも入り込んでしまって何も見えなくなるんだ。木の皮しか見えなくなって「森が見えない!!」という状態の時に仲間に見てもらうと、やっと他の木が見えるようになる。どうしてそうなるのか僕はいまいち分からないのだけど、これが僕らのスタジオのプロセスだし、日々の生活にも応用しようとしている。完璧にできてるとはいい難いけど……。大切なのは自分がすべての答えを見ているのではないと思うことではないかな。人生を生きていく上でガイドとなるのは、外側から来ることが多いからね。

ーーインターネットはもはや当たり前のツールになりました。それでも本作の世界は、魅力的で、たくさんの驚きと発見がありました。

ジョンストン:『ズートピア』の絵のアプローチと非常に近い考え方なんだけど、インターネットの世界は、美しいけど角を曲がればネガティブな側面も持っている。最高のツールだし最高の発明だし、僕らの中心にインターネットはきっとある。ヴァネロペも「美しい! 奇跡だ!」と言うよね。でも僕はナイーブなわけじゃないから、負の側面を持っているということを分かっている。人を傷つけたり、ラルフがコメントによって傷つけられたりしたよね。みんながお互いにネット上でも優しい心で触れ合えられれば、2人が到着した時のような美しい世界になると思うよ。

ーームーアさんは、90年代に『ザ・シンプソンズ』を監督されていましたが、インターネットをこんなにも魅力的に映し出せるのは、アニメ製作を通してテクノロジーの恩恵を誰よりも受けていたからなのかと感じます。

ムーア:間違いなく僕らの仕事は楽になった。以前だったら人物や場所、参考にしたいものをグーグルで簡単に見つけられなかったからね。例えばローマを参考にしたくても、スタッフに頼んで、図書館に行ってコピーを取ってもらって、数日後に貰う感じだった。しかも質が悪いんだ(笑)。でも、例えば、飛行機に慣れてしまっている世代からすると普通のことでも、なかった人からすると空を飛べるなんて奇跡的なことだよね。車にせよ飛行機にせよインターネットにせよ、見方を変えるだけで素敵な物語ができると思っているんだ。

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