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「刀剣乱舞」の物語は無限に存在し得る? ゲームの設定いかした多彩なメディアミックス

リアルサウンド

18/12/26(水) 6:00

 2019年1月18日から公開となる『映画刀剣乱舞』。「任務、織田信長 暗殺――」というコピーが躍る映画のビジュアルにドキドキさせられる。

参考:『おそ松さん』舞台化になぜ賛否両論? ギャグ作品を2.5次元化するハードルの高さ

 この映画に出演するのは、舞台『刀剣乱舞』がスタートしてからずっと三日月宗近を演じてきた鈴木拡樹のほか、『ジョ伝 三つら星刀語り』や、小田原城で上演された一夜限りの野外公演『外伝 此の夜らの小田原』など、すべての『刀剣乱舞』の舞台に出演してきた山姥切国広役の荒牧慶彦、舞台版で薬研藤四郎を演じた北村諒、へし切長谷部を演じた和田雅成、同じく不動行光を演じた椎名鯛造が本作でも同じ役を演じるのに加え、日本号役に岩永洋昭、骨喰藤四郎役に定本楓馬、鶯丸役には廣瀬智紀がキャスティングされている。

 この映画化の第一報が報じられたのは、2018年の3月のことであった。その脚本を『仮面ライダーオーズ/OOO』などの特撮作品で知られる小林靖子が担当するということで、2.5次元ファンのみならず、特撮ファンの間でも大いに話題となり、また、2019年の公開までに、両ジャンルを“履修”(ときおり、ジャンルの過去作品などを見て勉強することをこう呼ぶ)しておかなければとコメントするファンの姿も見られた。

 「刀剣乱舞」は、そもそもゲームとして2015年にスタートし、同じ年にはミュージカルが立ち上がり、翌年には舞台版がスタート。アニメも『刀剣乱舞-花丸-』と『活撃 刀剣乱舞』の二種類が存在していて、独自の物語を展開している。そんな中、新たに映画が制作されるのも、自然な流れと言えるだろう。

 映画の「原作もの」では、アニメや漫画が非常に多い。そのため、その大元になったストーリーをどう切り取るか、全体のストーリーをどう解釈して2時間程度にまとめるか。この2つが実写化では重要となる。

 しかし、「刀剣乱舞」は“どこを切り取るか”という作り方にはならない。いくつかのルールに則ってさえいれば、物語は無限に存在し得るのである。

 ゲームに始まった『刀剣乱舞』の物語の基本は、名だたる刀剣を付喪神の“刀剣男士”として顕現させる技を持つ審神者(さにわ)が(それはゲームにおいてはプレイヤーを指す)いて、審神者の本拠地・本丸で刀剣男士たちは普段は平和に暮らしている。しかし、歴史の改変を目論む時間犯罪者“歴史修正主義者”による過去への攻撃が始まったときに、その中から最大で6名の刀剣男士が選ばれ、時代へ派遣され、歴史を守る戦いをするというものだ。

 その根底さえ守れば、いくつのもの世界が存在してもよいというのが「刀剣乱舞」の面白いところである。また、ここまでの広がりを持った所以である。

 筆者が過去に映画化に際して鈴木拡樹にインタビューしたときにも、「ゲームの設定が生きていると思います。ゲームってプレイヤーごとに、違う世界が存在しますよね」「舞台版、映画版でも、同じ原作をベースにしているし、刀剣男士のキャラクターは一緒でも、それぞれの歩んできた道は違うので、違う物語のようになる」「そこが面白いと思いますね」と語っていた。まさにこれこそが、「刀剣乱舞」が、さまざまな物語が同時に存在し得るということを物語っている。

 さて、映画版で今回、歴史修正主義者が送り込んだ時間遡行軍が改変を目論んだのは、「本能寺の変」。時間遡行軍が「燃える寺から信長を逃がして歴史を変えた」ということは、公式からも発表されている通り。織田信長を演じるのは、数多くの時代劇で活躍してきた山本耕史である。

 本能寺の変は、京都本能寺に滞在していた織田信長を家臣の明智光秀が襲撃した日本史上最も有名と言っても過言ではない事件だ。そんな事実をねじまげられ、明智光秀の襲撃を一時期は逃れた織田信長が、元の通りの歴史に戻るには、どうすれば辻褄が合うか。歴史修正主義者者から真の歴史を取り戻すために、二次元から生まれたキャラクターたちが、生身の人間によって演じられ、戦国時代を舞台に活躍する。

 実に、現実とは違う場所で生きている刀剣男士たちの世界観と、織田信長や明智光秀たちという実際に過去に生きた人々のリアルな世界観がうまく融合された物語になっていて、普段とまた違う意味でも、次元のミクスチャーを感じる作品となっている。

 もちろん、「刀剣乱舞」の世界観やそれぞれのキャラクターをきちんと踏襲し、美しい映像で切り取られていることも見逃せないのだが、これまでゲームや舞台、ミュージカルやアニメを追っことがなく、初めて「刀剣乱舞」に触れる人が観ても、誰もが知る歴史を下敷きにした展開に舌を巻くのではないだろうか。(西森路代)

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