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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

吉沢亮の優しさはどこに宿っている? 『サバイバル・ウェディング』“隣で寄り添う”ことでの存在感

リアルサウンド

18/8/11(土) 6:00

 ティファニーは戦時中、医療機器を軍へ提供したり、亡命者から貴金属を買い取って、それらを販売したりすることで、時代の荒波をくぐり抜けてきたという。ブランド品は一般に、戦時下においてはあまり売れないとされる中で、ティファニーはこうして、ある意味したたかに生き延びてきた。宇佐美(伊勢谷友介)によれば、それは恋愛においても同じことが言えるという。時代がどんな風に変わっていこうと、その趨勢の変化を上手く読み取る。そして、臨機応変に戦略を変えていくことでサバイブすることができるのだとか。恋愛をある種のゲームにように捉えて奮闘していく様を描く、いかにも『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系)的な考え方である。

参考:波瑠を救った吉沢亮のメール 『サバイバル・ウェディング』伊勢谷友介が目論む“次の一手”は?

 このティファニーの逸話は、さやか(波瑠)が、目を通した恋愛の指南本には「男は追いかけるのが好きな生き物だから、自分からは話しかけるな」といった趣旨のことが書かれていたことを宇佐美に話した際、彼がそれを否定したときに出てきたものである。その指南本は1997年に書かれたというから、かれこれ20年近く前のアプローチの仕方である。そこで、第4話では「男は追いかけて、女はそれを待ち続ける」という図式にこだわり続けることはないということで、さやかは宇佐美の指示通り、次々に出会いを求めて合コンに足を運び、男性との出逢いを求めて奔走していく。

 ただ、ここで興味深いのは、こうした宇佐美の戦略はなかなか上手くいかず、彼女が納得のいく男性には一向に出逢えないという点だ。そして、物語の終盤では結局、さやかの心に刺さる男性は、宇佐美の戦略であれこれ探し回った末に見つけた男性ではなく、そうする以前から一目惚れをしていた祐一(吉沢亮)に他ならなかったことを思わせた(もちろん祐一と再会できたのは、さやかが合コンに足を運んだからではあるけれど)。

 祐一の圧倒的ルックスは言うまでもないことではあるが(それを言ったら和也(風間俊介)だって負けず劣らずの美男子である)、さやかはどうして祐一に心を動かされていくのだろうか?

 和也のような強引さが、祐一にはない。祐一の魅力の一つは、引っ張るのでもなく、甘えてくるのでもなく、ただそっとさやかの側に寄り添ってくれること。第2話のバスの中のシーンで、祐一のスーツに涎を垂らしながら眠り込んでしまうさやかであったが、祐一は文句一つ言わずにそんな彼女を受け入れる。出版社勤務で多忙を極めるさやかを慮っての振る舞いなのであろう。

 第4話ではせっかくの誕生日にも関わらず、一人ぼっちのさやかであった。そんな中、元彼の和也のマンションに誘われたかと思えば、和也の今カノのカオリ(石田ニコル)とまさかの鉢合わせ。そこでカオリから和也はさやかのことをセフレだとしか思ってないだの、散々に悪口を言われ、失意に沈み込んでしまう。

 もう誰も自分の誕生日をまともに祝してくれないのではないかと思っていると、祐一からメールが届く。「さっき、接待が終わって、今帰ってます。これから家で残業です(笑) 黒木さんも大変だと思いますが、お互い頑張りましょう! 遅れちゃいましたが 誕生日おめでとう」。ここでまた、祐一の“寄り添う”というフォローの形がにじみ出ている。「黒木さんも大変だと思いますが」という一言には、さやかの側には祐一がいてくれていることを思わせてくれる。だからこそ、さやかはそのメールからパワーをもらうことができた。もちろん、ここでの「頑張りましょう」は、あくまで仕事に関して「頑張りましょう」ということを伝えようとして送られたメールであろう。ただ、その時のさやかにとって、その「頑張りましょう」は仕事だけにとどまらず、孤独の中にいるさやかにそっと手を差し伸べてくれるかのように、エールを伝える「頑張りましょう」のように思われたことだろう。

 祐一の魅力は、絵に描いたような白馬の王子様のオーラを出しているだけではなく、そこには“押しつけのない優しさ”がある。「頑張りましょう」とは言いつつも、どこか「頑張りすぎないでくださいね」とでも言いたげな雰囲気の語り口が、さやかを安心させているように感じられる。物語が始まって以来、宇佐美の指示通りにあらゆる方向性を模索しながら、汗を流し続けるさやかにとって、祐一のこの存在はとても大きい。(当然、祐一はさやかが今置かれている状況を詳しく知らないわけではあるけれど)祐一の言葉を聞いているときのさやかは、“サバイバル”な状況からの束の間の休息を与えられている感がある。

 それまでは年下感を出してきた祐一であったが、メールの結びは「おめでとうございます」ではなく、「おめでとう」であった。この後の2人の接近を予感させるだけに、次回からの展開が待ち遠しい。(國重駿平)