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いま、最高の一本に出会える

EXILE ATSUSHI、矢野顕子、スカパラ×エレカシ 宮本浩次……“コラボ”の妙が楽しめる新作

リアルサウンド

18/11/27(火) 8:00

 ジャンルの融合、アーティスト同士のコラボレーションがさらに加速、刺激的な作品が次々と生み出されている現在の音楽シーン。今週はコラボ(フィーチャリング)のおもしろさをたっぷりと味わえる新作を紹介したい。才能、センス、技術が有機的に絡み合い、結びつくことで生まれる音楽の楽しさ、素晴らしさを存分に体感してほしい。

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 EXILE ATSUSHIのソロ楽曲、彼が率いるバンド・RED DIAMOND DOGSの楽曲による両A面『Suddenly / RED SOUL BLUE DRAGON』。EXILE ATSUSHI名義の「Suddenly」は、突然、恋人から〈他に好きな人がいるの…〉と告げられた男性の心情を描いたナンバー。ピアノ、ドラム、ベース、ホーンによるジャズテイストのサウンド、叙情的なメロディ、憂いを帯びたボーカルがひとつになった、大人のための失恋バラードだ。ATSUSHI(Vo)、PHEKOO(Key)、Duran(Gt)、FUYU(Dr)によるRED DIAMOND DOGSの「RED SOUL BLUE DRAGON」は、以前からATSUSHIと交流があり、今年、見事なカムバックを果たした中日ドラゴンズの松坂大輔投手に向けられた楽曲。90年代のR&B、ヒップホップ、ロックをハイブリッドさせたバンドグルーヴのなかで、果てしない挑戦を続ける男を鼓舞する応援歌が響き渡る。DOBERMAN INFINITY、JAY’ED、MABUなどのフィーチャリングアーティストにも注目してほしい。

 Reed and Caroline、吉井和哉、YUKI、奥田民生、松崎ナオ(鹿の一族)、大貫妙子、平井堅、上妻宏光、U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS、奥田民生、前川清、細美武士との共作曲を収録した矢野顕子のコラボアルバム『ふたりぼっちで行こう』。矢野顕子&奥田民生の「父」(新曲)、矢野顕子&吉井和哉「パール」(THE YELLOW MONKEYカバー)、矢野顕子&平井堅「Smile」(チャールズ・チャップリンカバー)など、ジャンルと世代を超えた名曲ばかりである。コラボ相手の音楽的な特徴を深く理解し、“良いところを引き出す”という意識に貫かれた矢野の思慮深さ(と技術の高さ)は本作においてさらに向上している。人と真摯に向き合い、楽曲を徹底的に研究し、何をどう表現するべきか? をどこまでも追求する。その姿勢そのものに強く心を打たれ、もっと丁寧に生きよう……と襟を正す筆者である。

 アーティスト同士が交わるには“ここしかない”というタイミングがあり、その瞬間を捉えることがコラボレーションの成功の最大の秘訣であるということを改めて実感させられた。今年30周年を迎えたエレファントカシマシの宮本浩次、来年30周年を迎える東京スカパラダイスオーケストラのコラボがついに実現。谷中敦が作詞、沖祐市が作曲を手がけた表題曲「明日以外すべて燃やせ feat.宮本浩次」は男気だけが溢れまくるバンドサウンドとメロディとともに、“すべてを受け入れ、オマエ自身を生きろ”というメッセージを突き立てるアッパーチューン。スカパラと宮本のこれまでの生き様、現時点における充実ぶりが強く反映された、凄まじいばかりの説得力を持った楽曲である。

 劇場版『進撃の巨人』シリーズ、ドラマ『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(関西テレビ・フジテレビ系)など数多くの劇伴を手がけてきた澤野弘之によるボーカルプロジェクト・SawanoHiroyuki[nZk]の7thシングル『narrative / NOISEofRAIN』は、LiSAをフィーチャーし、“ヘビィロック×クラシック”なサウンドとともに構築されたミディアムチューン「narrative」(映画『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』主題歌)、そして西川貴教が参加した重厚かつダイナミックなロックナンバー「NOISEofRAIN」による両A面。圧倒的な個性と卓越したテクニックを備えたふたりのボーカリストのポテンシャルを的確に引き出しながら、自らの作家性をしっかりと押し出し、ジャンルを超越した楽曲へと導く澤野の作曲センス、プロデューサーとしての能力の高さに驚かされる。

 「Crazy」(Co-Produced by BON3AI)、「Break up」(Co-Produced by ☆Taku Takahashi)、「Answer」(Co-Produced by 蔦谷好位置)、「リセット」(Co-Produced by CELSIOR COUPE)、「Pure」(Co-Produced by 高橋海)をはじめ、J-POP、バンドシーン、クラブミュージックなどを自由に行き来しながら制作された向井太一の2ndアルバム『PURE』。現在進行形のオルタナR&B、ヒップホップ、エレクトロなどのトレンドを抑えながら、決してマニアックにならず、前作以上に開かれた印象の本作によって向井は、さまざまなジャンルを融合するハブとしての存在感を発揮している。音楽的な質の高さとわかりやすいポピュラリティを絶妙なバランスで両立させた充実作だと思う。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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