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jealkbが語る、“理論と感覚のぶつかり”を経た新作「しんどかっただけに愛情も喜びも大きい」

リアルサウンド

18/9/9(日) 12:00

 jealkbが9月5日、ミニアルバム『Mix Up Sonic』をリリースした。本作は“Act2”以降のヘヴィロック的な路線から一転、打ち込みやシンセのサウンドを主体とした、ライブ映えする楽曲が並んだ、楽しげな作品に仕上がっている。

 今年、メジャーデビュー10周年を迎えた同バンド。インタビューでは、同作の制作においても、さらなる変化が訪れたことを明かしてくれた。(編集部)

「ライブのどの場面にも登場できる、即戦力の曲を増やそう」(haderu)

ーー“Act2”以降は、ずっしりとしたバンドサウンドを押し出した楽曲が多かったですが、今回リリースされる『Mix Up Sonic』は、打ち込みを印象的に使ったものが増えていますね。制作するにあたってどんな作品にしようと思っていましたか?

haderu:“Act2”としてスタートするときに、jealkbの音と改めて向き合ったんですけど、たとえば(MVを撮影した)「reboot」や「IDENTITY」ってすごくいい曲だけど、ライブで登場する回数が限られてくるんですよ。jealkbは、お客さんと振りをあわせて一緒にブチアガるパーティーバンドなので、ああいう重低音の効いた世界観を持った楽曲は、登場することもあるけどずっといるわけではないんです。だとしたら、ライブのどの場面にも登場できる曲、即戦力の曲を増やそうと。

hideki:僕らはライブで20曲やるとしたら、そのうちバラードは1か0なんですよ。そこを増やすよりも、ライブの後半にくるアガるゾーンのレギュラーを増やしたかったんです。そうすればいろんな顔を見せられるし、毎回同じライブにはならないんじゃないかって。やっぱり僕らは、ライブに来てくれたお客さんに「楽しかった」と思って帰ってもらいたいし、いい曲をたくさんやって「めっちゃカッコよかったな」と思われるところには、たどり着けないと思うんですよね。

haderu:うん。いい曲を増やしても、結局使いどころがなくてその曲が死んでしまうのも、もったいないなと思っていたところもありましたね。

ーーでは、今作はライブの即戦力になる6曲を収録していると。

haderu:そうです。楽曲制作陣(elsa、ediee、sapoto)に、そういう曲を作ってほしいとオーダーして、全部で12曲できた中の6曲ですね。残りの6曲も店舗特典にしているので(対象店舗で購入すると「CD未収録曲デモ音源プレイパスコード付きアザージャケット」が先着でプレゼントされる)、このミニアルバムを作ることで新曲が12曲生まれた形にはなりました。

ーーelsaさんは「煽情」と「フルゴリラ」の2曲を作曲されていますが、「即戦力になるものを」と言われたときに、イメージはすぐ浮かびました?

elsa:いや、今回は曲を作るまでに時間がかかったんですよ。「即戦力」とか「アガる曲」と一言で言ってもいろんなパターンがあるから、ちょっと考え込んじゃったんですよね。だから、みんなでいろいろ話し合ったんですけど。

ーー具体的にはどんな話をしたんですか?

haderu:いままで出してきた自分達の曲をアルファベットでランク付けしたんです。それも良い曲かどうかではなくて、ライブの盛り上がり度だけでランクを付けるっていう。どこに出しても大丈夫な曲はSで、まあまあ盛り上がるのはA、あとはB、Cって。で、今回はSランクの曲だけを作ろうと。まだライブでやってないので、本当にSになるかどうかはわからないですけど(笑)。

hideki:でも、Sを目指した曲達ではありますね。

elsa:「煽情」に関しては、いつもライブの後半にやる「堕落」という曲があるんですけど、ランク付けをしたら満場一致でSだったんですよ。その進化版を作ろうと思って、狙い通りにできました。「フルゴリラ」は、アメリカのスラングで「120%」みたいな意味なんですけど、エンゼルスの大谷(翔平)選手の記事を見たときに、監督さんが「あいつはもうフルゴリラでいける」って話していたんですよね。響きも意味としてもいいなと思ったから、仮タイトルを「フルゴリラ」にして曲を作ったんです。それがそのままタイトルになって。

haderu:出てこなかったですね、「フルゴリラ」以上に当てはまる言葉が。「全力投球」という意味もあるから、ライブの後半で苦しくなってきたときに、バンドメンバーもお客さんも、もうひとつギアが入るようなもの、みんなで限界を超えていこうぜという歌詞にしました。

ーーちなみに、楽曲をランク付けしたときに、みなさんの意見は一致していたもののほうが多かったんですか?

hideki:みんなちょっとずつズレてましたね。

haderu:俺からすると「Julia」とか「嘆きのエンドレス」はAなんだけど、演奏する側からするとそうじゃなかったりとか。

elsa:でも、そこまで遠く離れてはいなかったです。Sなのか、Aなのかで分かれることが多くて。

dunch:楽器陣はメロディがいいものというか、それこそ「Julia」とか「嘆きのエンドレス」にすごく盛り上がるイメージがありましたけど、フロントチームとしてはそっちよりも、イベントのときにメインでやっている曲に、より強くSをつけていたかもしれないですね。

sapoto:そこのズレみたいなものは、演奏の熱が強いものと、お客さんの熱が強いものの温度差の話だと思うんですよ。同期をバンバン入れて、テンポもバシっと決まっている曲って、ギターを弾いていてもあまりおもしろくなかったりするんだけど、その曲にSがついていると、ある種の驚きがあって。だから、自分が作る曲は、演奏の熱とフロアの熱がイーブンになるものにしたいし、それが一番理想的だなと思ってましたね。

ーーそれを踏まえて、sapotoさんは「ジガサガ」を作曲されたと。

sapoto:曲を作るときは、縛りというか約束事を自分の中でいつも決めるんですけど。この曲は、ビートがかっこいいことと、メロディがキャッチーであることと、メンバー一人ひとりに見せ場があるという縛りで作りました。そのなかで、僕はedieeさんとギターソロの掛け合いがやりたかったんですよね(笑)。

ーー(笑)。実際は、sapotoさんはギターソロ、edieeさんは“口ギターソロ”をしていて。

haderu:今回の各楽曲に「固定観念をぶち破ろう」とか「思考停止はよくない」という裏テーマが自分の中にあったんですよ。だから、sapotoから口ギターソロのアイデアが出てきたときに、「それそれ!」って。そんなことしてるバンド聞いたことないから、それはぜひやってみたいなと思って。

hideki:あと、sapotoからそういうアイデアが出てきたことが嬉しかったですよね。そうやって音楽を崩すことへの拒否反応がもうなくなっているというか、完全にjealkbの正式メンバーとしての意見だなって。

ーーそして、edieeさんは「PARIPO」「gosh!」「才僕」の3曲を作曲されていますけど、すぐにイメージは湧きました?

ediee:僕はすぐ湧いちゃいましたね!

elsa:シンセをガンガン入れた曲が増えたのは、edieeの曲が多いからでもあるんですよ。

haderu:ランク付けしたときもedieeの曲はSが多かったし、それは同期を使っている曲が多かったんです。だから新たな試みとして、同期をバリバリに出しているものをリード曲に持ってくるのもいいんじゃないかと。でも、いままで応援してくれていた人に、「次はこれです」ってそれだけ出すのもちょっと嫌だったので、これまでの系譜を引き継いでいる「煽情」と「フルゴリラ」を1、2曲目にしようと。その次に「ちょっと変化が始まってますよ」みたいなところを打ち出せている「ジガサガ」があって、edieeの曲に入っていくのが曲順としても一番すんなりくるかなって。

「今回はとにかく全員が納得するまでやり続けた」(hideki)

ーー今回は「才僕」でMVを撮影していますけども、この曲で撮ろうというのはすぐ決まりました?

haderu:決まりました。elsaの曲もsapotoの曲もいいんですけど、edieeは音楽畑で育った人間ではないから、亜流ではあるんですよね。固定観念に捉われずに曲を作るから当たり外れが大きいし、たまにライブで一回もやらない曲を生み出すこともあるんですけど(笑)。だけど、そこをelsaとsaptoが支えて、edieeの曲をなんとか一軍として戦えるものにしようという話し合いを結構前にしたんです。そうしないと他のバンドに勝てないんですよね。「この曲、なんか違和感があるけどクセになるね」と思ってもらえるような曲を作らない限りはライブに足を運んでもらえないし、「他では味わったことのない経験ができるからjealkbのライブは特別だし、また来たくなる」と思わせないと。ライブに足さえ運んでもらえれば、楽しんでもらえる自信がこっちにはあるので。だから、今後はedieeの曲が肝になってくることは、2人もこのミニアルバムを作ることで理解できたんじゃないかなと思います。

ーーedieeさんとしては、「才僕」はどういうところから作り始めたんですか?

一同:(笑)。

haderu:今までの取材でもそうだったんですけど、この質問にちゃんとした答えが一回も返ってきてないんですよ(笑)。

hideki:よくわからないんです、結局。

elsa:感覚の人だからね。

haderu:もうさすがにまとまってきてるかもしれないけど。

ーーそうなっていることに期待して(笑)、いかがでしょうか。

ediee:「才僕」は「才能のある僕」という意味で、まずはそこからお話ししたいと思うんですけど。みなさん各々、才能をお持ちだと思います。それは自分の中で気づいていないうちに生まれてくると思うんですけども、人それぞれそういうものがあるんだよっていうのを表現したかったですね、この歌詞で。

ーーなるほど。

ediee:初めて「なるほど」って言われました。

haderu:確かにいままでの中では一番よかった(笑)。

ーー「才能のある僕」というワードから曲を作り始めたんですか?

ediee:はい。まず歌詞から書き始めました。

haderu:edieeはいつも歌詞とメロディを一緒に作るんですよ。他の2人は歌詞をラララで入れてきてくれるから、俺も自由に書けるんですけど、edieeはそれができないから、自分が言いたいことを書いてきてもらったんです。それをそのまま採用して、2番から俺が引き受けて書いたんですよ。「これってどういう意味なの?」とかは特に聞かずに。

ーーなぜまた聞かなかったんですか?

haderu:答えが出て意味がわかっちゃったら、それはもうedieeが全部書いたほうがいいなと思ったので。俺としては「才僕」は「サイボーグ」という意味合いで、AI化が進んで人間味がなくなってきているみたいなことを書いているのかなと思ったんですよね。だからMVの監督も(映像に)サイボーグを入れたんですけど、「才僕」が「才能のある僕」という意味だったというのは、取材であきらかになりました(笑)。

ーーelsaさんとsapotoさんとしては、edieeさんの曲を支えたというか、編曲したと。

elsa:そうですね。eddieの曲は、ちょっと変えればすごくよくなることが多いから、そこをいつも探していくんですけど、「才僕」は難しかったです。デモの段階だと軽くて煌びやかなところがよかったんですけど、実際にドラムとベースを録って入れると、かっこよくなりすぎるというか。

haderu:(デモの音が)ゲーム音みたいな感じだったから、そこにポップさがすごくあってよかったんだけど、バンドが入ってくるとがっしりしちゃって遊びの部分が消えちゃったんですよ。その後にシンセのみにアレンジしたものもきたんですけど、これだとバンドでやる意味がなくなっちゃうしなって。

sapoto:同期に関してはなんとでもなるけど、生楽器としては再現性のないものはやりたくないんですよ。やっぱりライブを見越しているので。かといって、再現性の高いものをやると地味になっちゃうんですよね。でも、そうやって頭が凝り固まっているところに、自由な発想の2人が……。

haderu:好き勝手に言うっていう(笑)。

hideki:「才僕」はマイナー進行だから、elsaとsapotoからするとこの曲は暗いんですよ。でも、僕らからするとこの曲は明るいんですよね。だから、2人からしてみると、この曲を明るい方向にアレンジをしていく方法が浮かばないんだけど、その理由が僕らにはわからなくて。

ーー理論と感覚の戦いというか。

hideki:そうです。ルールを知っている2人と、野生の僕らが「いや、どうやっても暗くなるんだけどなあ……」、「なんで!?」って。

haderu:「だとしたら、この音のせいかな?」っていろいろ紐解いてくれて。

sapoto:それもすごいタイミングでしたけどね。

elsa:ミックス作業のときに録って足したり、引いたりして。最後の最後までずっとやってましたね。

ーーdunchさんとしては、理論と感覚のぶつかり合いを見ていてどんなことを思いました?

dunch:もしかしたら自分が両方の言っていることが一番わかる立ち位置だったかもしれないです。たとえば、アニソンとかにマイナーでも勇ましかったりする曲がありますけど、そういうものも大きく言って「明るい」ということなのかなって。でも、メジャーかマイナーかで言うとやっぱりマイナーだから、暗いことには暗いっていう。

sapoto:でも、最終的には「暗い/明るい」じゃなくて、「派手にする」っていうワードが出てきたんですよ。

elsa:うん。派手か地味かっていう。

hideki:確かにそこがお互いの着地点だったかもしれないですね。

sapoto:抽象的な注文っていろんな解釈をしてしまうし、感覚的にギターを弾いたり、音楽をやったほうが絶対的に楽しいとは思うんですけど、それをレコードする作業なので、やっぱりどこかに落としどころをつけないと話にならないですからね。だから、そこは本当にいいコミュニケーションだったと思いますよ。

hideki:僕はすごく長く感じたんですよ、このミニアルバムができるまで。

haderu:いままでの制作で一番話し合ったからね。

hideki:これまでは、たとえば6曲入りのものを作るとしたら、完成した曲を入れて「はい、できました」っていうときもあったけど、今回はとにかく全員が納得するまでやり続けたんです。そこでいろんな戦いもあったけど、しんどかっただけに愛情もあるし、喜びも大きいですね。

ーー本作を掲げた全国ツアーが10月からスタートしますが、その前の9月24日にTSUTAYA O-EASTで主催フェス『オトタノ2018』を開催されます。「様々なスタイルで音楽を楽しむ」というコンセプトではありますけど、それにしてもラインナップがかなりバラエティ豊かですね。

haderu: m.c.A・Tさんとか、高橋洋子さんとか、あとは兄貴(水木一郎)もよくぞ出てくれたなって。その中でも、キュウソネコカミがOKしてくれたときは、マジで嬉しかったです。この意味合いに賛同してくれたんだと思って。2年連続で出てくれるオメでたい頭でなによりもすごく賛同してくれているし、ゆくゆくは、キュウソネコカミ、四星球、打首獄門同好会、ヤバイTシャツ屋さんとかも集まって、なにかできたらいいなと思っていますね。芸人さんも音ネタをやっている人しか呼んでいないので、コンセプトからは外れていないと思うし、来てくれたお客さんには「こういうイベントあんまりないね」って思ってもらえるんじゃないかなと思います。

(取材・文=山口哲生/撮影=竹内洋平)

■リリース情報
『Mix Up Sonic』
発売中
価格:Type-A(CD+DVD) 2,300円
Type-B(CD) 1,800円

〈CD収録内容〉
1.煽情
2.フルゴリラ
3.ジガサガ
4.PARIPO
5.gosh!
6.才僕

〈DVD収録内容〉
才僕 MUSIC VIDEO
才僕 MUSIC VIDEOメイキング映像

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